脱税は犯罪、保険で儲けてもマルサは突然やってくる、冷や汗体験談。
マルサの正式名は、国税局査察部の国税査察官です。
さすがにマルサの強制捜査を受けたり、反面調査の立ち合いをしたりした経験がある財務担当者はそれほどいらっしゃらないと思います。
よほど悪質な脱税行為をしていないとマルサ(国税査察官)に捜査されることはないわけですから、マルサの調査に立ち会ったのは貴重な体験と言うわけです。
◆ マルサ(国税査察官)とは何者か?
定期的に税務署から税務調査に来る上席や統括官は、国税調査官と言います。きちんとアポを取り、礼儀正しく訪問して適正な申告が行われているかを実地調査します。
ところが国税査察官は、アポなしで突然やってきます。警察の捜査と同じで悪質な脱税者に対して強制捜査を行う権限があります。証拠隠滅をされないよう、有無を言わさず踏み込んで捜査・差押さえをします。そして脱税の証拠を押さえると検察官に告発します。有罪となれば、刑事罰が待っています。
同じ国税でも調査と査察では、対応が大きく異なります。宮本信子の映画で「マルサの女」というのがありましたが、まさにそれです。
◆ マルサの反面調査も予告なし。
マルサは脱税の裏付け証拠を押さえるために、取引企業に反面調査に来ますが、これもアポなしで突然やってきます。
脱税の捜査は国税犯則取締法で定められた犯罪捜査であるため、証拠の隠ぺいや逃亡を阻止する目的で事前連絡や同意なく行われます。これは調査を受ける企業は、断るに断れず大変な迷惑になります。
黒ずくめの国税査察官が2名、大きな黒バッグを下げて玄関先に立たれると何者かという緊張が走ります。2つ折りの身分証明書をかざし、無遠慮な態度で調査協力を要請してきます。反面調査される企業が、逓増定期の名義変更を何本も行って資金移動をしていると、脛に傷ある身の上を感じてついに来たかと身構えます。
OB税理士の先生に連絡をとり、すぐにおいでいただくよう手配します。OB税理士の先生が来るまでお待ちいただきたいと言うと、国税査察官は「しまった。」という顔をします。名刺もださなければ、出されたお茶に手も付けません。
この時はある企業の捜査における反面調査中で、取引内容を確認するために来たのでした。実害がなさそうなので調査に協力することになり、言われた保険証券のコピーを提出しましたが、正直言って内心冷や汗ものです。
◆ マルサに狙われる保険代理店。
バレンタインショック以前では、節税保険や名義変更スキームが花盛りでした。保険代理店は巨額の生命保険契約で、莫大な利益を得てきた時期がありました。税額も半端ではありませんから、節税に躍起になります。
高級外車は複数台、海外旅行や海外への資金移転などを頻繁に行っています。まともに納税する気にならない、代理店経営者も多数おられたわけです。
そんな中で行き過ぎた節税策や海外への資金移転をやり過ぎると、マルサと呼ばれる国税局査察部の査察を受ける羽目になります。前項にも書きましたが、マルサは税務調査とは違います。国家権力を駆使した強制捜査です。出されたお茶に手を付けることもなく、見解の相違などの言い分は聞く耳をもたず、まるで犯罪者扱いの捜査です。
脱税を擁護するわけではありませんが、一度身についた贅沢とステイタスは手放せないとしたもので、金に対する執着は強まります。代理店にすれば、節税のつもりが、国税から見れば、悪質な脱税ということもあります。
節税と脱税の切り分けは、立場かかわれば見方も変わります。節税ならぬ脱税は、犯罪意識がなくても国税側からすれば、犯罪ですから仕方ないのかもしれませんが・・・。
■保険業法で規制されている独自資料のやり放題、保険代理店の野放し。
◆ 脱税は犯罪、マルサは突然、まとめ。
マルサ(国税査察官)が捜査を行い脱税を犯罪として立証し、検察官に告発する割合は7割程度だそうです。告発されると相当な率で有罪判決となるようですから、もはや見解の相違では済まなくなります。甘く考えていると、前科一犯と言うわけです。
マルサのターゲットとなるのは、最近の資料では第一に消費税、その次に無申告、そして国際取引となっているようです。保険では消費税を預かることはありませんから、無申告と国際取引が狙われそうです。保険契約で手にするコミッションは保険会社から代理店に支払われますから、ここは嘘も隠しもできないガラス張りです。
節税保険が封じられてから、もはや保険で一旗揚げることは夢物語となりました。保険代理店では、今や事業承継も絵になりません。マルサもターゲットを富裕層に絞るほうが効率が良くなるでしょうから、保険代理店がマルサに狙われるようなこともなくなると思います。
いまさらながら保険営業の野心的に言えば、マルサに狙われるくらい儲けてみたいものです。
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