国税庁のタレコミサイトが陰険な訳。

国税庁のタレコミサイトが陰険な訳。

タレコミとは密告の隠語です。あまり知られていませんが、国税庁のサイトの中に「課税・徴収漏れに関する情報の提供」というページがあり、内部事情を知るものや恨みをもって退職した社員などがいるとここから密告することができます。

■国税庁、課税・徴収漏れに関する情報の提供

◆ 社員に恨みを買うと怖い内部通報サイト。

幹部社員でも一般社員でも、基本的に組織内では面従腹背(めんじゅうふくはい)がサラリーマンの基本姿勢です。表向きは従うふりをしても心の中では反発し背いているという状態です。ましてやカリスマ経営者に使える幹部社員は、盲従復背(新造語です。)と言っても間違いではないと思います。

表向きは笑顔渋面で、納得できない仕事を忠実に指示通りこなしていても、決して満足して忠誠を示しているわけではないのです。そういう幹部社員でもしかるべき地位にいれば、会社の最重要機密に触れることがあります。

面従腹背社員が、会社を売るとか裏切るとか言っているわけではありませんが、社内で迫害されたり濡れ衣で責任を取らされたりすると恨みが残ります。そういう社員が会社や自分を追いつめた経営者に対して仕返しを考えるとき、一般的には内部通報制度という仕組みがある会社もありますが、この制度では内部通報者であるチクった本人がばれてしまいます。

ところが、国税庁の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」というページでは、通報者の欄は正直に書く必要はありません。(秘密は厳守されるということですが、信用しないほうが良いと思います。)自分の名を明かさずに脱税などの情報をタレこむことができます。これはまさに知らぬが仏、経営者にとれば、社員に恨みを買うと怖い内部通報サイトになりそうです。

◆ 税務調査は万能ではなく、節税は知恵比べ。

正しく申告し納税するのが企業の社会的責任ですが、多くの中小企業はそれどころではありません。利益が出れば何とか節税して、社内に少しでも利益を残して将来の嵐に備えようとします。

税金ばかりは企業の継続という面では、ほとんど納税したという自己満足だけで経営上のメリットがありません。

税務署からお中元もなければコーヒー一杯いただけるわけでもない、不毛のコストであり単なるキャッシュのマイナスでしかありません。

それだけに、脱税にならない範囲でせっせせっせと節税を考えます。税務調査では、見解の相違だけでなく叩けばほこりが出るのが企業というものです。税務調査は、事前に資金の流れを確認したうえで、詳細に的を絞って切り込んできますが、税務署といえども節税策のグレーゾーンをすべて見抜くことはできません。

税務調査で難を逃れた節税策は、企業のもうけとなるわけですから少々グレーでも危ない橋を渡りたくなるという経営者心理があります。

税務調査の翌期は、経費で多めに落としておいても調査範囲から外れるので見つからないとか、期末の雑費や消耗品費に気を付けろといろいろありますが、言ってみれば税務署との節税知恵比べのようなところがあります。

利益が多めに出るときなどは、きわどい手も使いたくなります。生命保険やオペレーティングリースで課税の繰り延べならまだ合理的な説明ができるかもしれませんが、グレーゾーンの節税対策を山積みにすると税務署も黙っていません。

◆ 国税庁のタレこみサイトとは。

国税庁の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」では密告者が、書きやすくなるよう事細かに事例をあげています。一部引用すると「所得税・法人税関係」では下記のように詳細です。

【所得税・法人税関係】
売上金(収益)や必要経費(費用)について、架空又は事実と異なる経理を行うことで不当・不正に所得金額等を少なく(又は還付税額を多く)申告している納税者に関する情報。さらには、その具体的な手段・方法に関する情報、事業が活況を呈している(繁盛している)にもかかわらず、税の申告をする必要はない・申告しないなどと公言・吹聴している者に関する情報、他人名義での取引、他人名義の口座等を利用している者及びその銀行口座に関する情報、架空又は事実と異なる契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼などを含む。)を行っている者に関する情報

他に、消費税関係(ここは税務調査の焦点となりそうです。)・滞納・徴収関係などがありますが、その他には下記のような項目があります。節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避に関する情報とくると、生命保険による節税スキームによる課税の繰り延べが浮かびますので身に覚えがあるとドキリとします。

【その他】
節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避に関する情報や、その組成・販売をしている者に関する情報海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報、上記の各項に掲げるような者の協力者に関する情報

情報提供に当たっての確認事項に同意して情報提供ホームにログインします。提供情報入力画面が開きますので、わかる範囲で入力し情報提供することになります。ここから先はご興味があればご自身で確認ください。企業のしかるべき立場にいれば、入力項目は容易です。

◆ 国税庁のタレこみサイトが陰険、まとめ。

ひょっとして、国税庁はここから多くの脱税の情報を得ているのかもしれないと思うほど、誘惑にかられます。人知られず恨みを晴らすことができる、必殺仕事人サイトのような陰険さを感じます。

身に少なからず覚えのある経営者は、このようなタレコミサイトが国税庁にあると知ったらゾッとするでしょうね。

すべてを秘密にして投稿できるという触れ込みですが、そのような建前は信用しない方がよいと思います。こういうことは、どこかから漏れ出し、犯人捜しの詮索が始まると考えた方がよいのです。紹介しながら情報提供をおすすめしないのは、情報提供者にもいくばくかのリスクを感じるからです。

腹に据えかねるほど恨みがあり、覚悟を決めて情報提供するなら退職して会社と縁を切ってからの方がよろしいようです。国税庁も陰険というか、まことに因果な課税・徴収漏れに関する情報提供サイトを運営しているものです。

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