
生命保険を比較していると、似たような保障内容なのに保険料がかなり違うことがあります。月に数百円程度の差ならまだしも、条件によっては数千円の差になることもあります。
「同じような保障なのに、なぜ保険料が違うのか」
保険営業をしていたころ、お客様からよく受けた質問です。
結論から言えば、生命保険の保険料は単純に保障額だけで決まるわけではありません。保険会社の運営コスト、予定利率、商品設計の違いなどが保険料に反映されるためです。
そのため、保険料が安いから得、高いから損という単純な話にはなりません。
生命保険は家の次に高い買い物とも言われます。
ところが実際には、その価格の違いがどこから生まれているのかを理解しないまま
加入しているケースが少なくありません。
生命保険の保険料に差が出る理由を、元保険営業の立場からできるだけわかりやすく解説します。
◆ 保険料は「純保険料」と「付加保険料」でできている。

生命保険の仕組みを学ぶと、最初に出てくるのが純保険料と付加保険料という考え方です。
純保険料とは、将来支払われる保険金の原資になる部分です。
死亡率や平均寿命などの統計データをもとに計算されます。
一方の付加保険料は、保険会社を運営するための経費です。
営業職員の人件費や事務コスト、システム維持費、広告宣伝費などが含まれます。
つまり保険料は、純保険料+付加保険料という構造になっています。
死亡率の基礎となる生命表は共通性がありますが、予定死亡率の設定や商品設計には各社の考え方が反映されます。しかし死亡率などの基礎データは各社で大きく変わるものではありません。
そのため保険料の差は、主として付加保険料や商品設計の違いから生まれます。
◆ 保険会社ごとにコスト構造が違う。

生命保険会社も企業です。当然ながら会社ごとにコスト構造が異なります。
全国に多くの営業職員を抱える会社もあれば、インターネット中心で販売する会社もあります。テレビCMを大量に流す会社もありますし、広告費をほとんど使わない会社もあります。
こうした運営コストは最終的に保険料へ反映されます。
同じ保障額に見えても保険料が違う理由の一つは、会社ごとの経営コストの差にあります。
一般企業の商品価格と同じで、保険もまたコストの影響を受けるのです。
◆ 予定利率の違いも保険料に影響。

保険会社は契約者から預かった保険料を運用しています。
その運用によって得られる収益を見込んで設定されるのが予定利率です。
予定利率が高いほど、保険会社は運用収益を見込めるため、
契約者から集める保険料を抑えることができます。
反対に予定利率が低い時代になると、同じ保障を維持するためには保険料が高くなります。
現在は超低金利の時代が長く続いているため、昔と比べると生命保険料は
予定利率の影響を強く受けています。
1990年代前半までの契約には高予定利率の商品も多く、現在でも解約返戻金が
大きい契約が残っています。
◆ 同じように見えて保障内容が違う。

生命保険の比較を難しくしている理由は、保障内容が完全には同じではないことです。保険会社はさまざまな特約を組み合わせて商品を設計しています。
一見すると同じ死亡保険でも、
・解約返戻金の有無や低解約返戻金型かどうか
・配当があるか
・特約が付いているか
・保険期間や払込み期間が違うか
など細かな差があります。
パンフレットだけ見れば似たような商品に見えても、
中身まで比較すると意外に違うことがあります。
そのため単純に保険料だけを比較しても、本当の意味での比較にはなりません。
◆ 保険料だけで選ぶと失敗することがある。

保険営業をしていたころ、「一番安い保険はどれですか」
という質問を受けることがありました。
気持ちはよくわかります。
誰でも同じ保障なら安い方が良いと思うからです。
しかし生命保険の場合は、何のために加入するかによって必要な保障が変わります。子育て中の家庭と、子どもが独立した夫婦では必要な保障額が違います。
会社経営者と会社員でも考え方は変わります。
そのため本来は、どの保険が安いかではなく、どんなリスクにどんなリスクに備えたいのかを先に整理する必要があります。
必要な保障が決まって初めて、保険料の比較が意味を持つのです。
◆ 元保険営業として感じる生命保険比較の難しさ。

生命保険は家の次に高い買い物と言われます。
それにもかかわらず、十分な比較ができているとは言い難い商品です。
理由は簡単で、中身が見えにくいからです。
自動車なら性能や燃費を比較できます。家電ならスペックを比較できます。
しかし生命保険は将来の約束を買う商品です。
実際に保険金を受け取るのは何年も先かもしれません。
そのため価格だけでなく、保険会社の信頼性や保障内容も含めて考える必要があります。
比較することは大事ですが、保険料の安さだけで判断すると本来必要な保障を
見失うことがあります。
◆ 生命保険の保険料に差が出る理由、まとめ。

生命保険料は一般に
・予定死亡率
・予定利率
・予定事業費率
という3つの要素をもとに計算されます。
そのため、保険会社によって保険料が違うのは、この見込みや
商品設計に違いがあるためです。
生命保険の保険料に差が出る主な理由は、
・保険会社ごとの運営コスト
・予定利率の違い
・商品設計や特約の違い
にあります。
同じように見える生命保険でも、中身まで完全に同じということはほとんどありません。そのため保険料だけで比較すると、本当に必要な保障が見えなくなることがあります。
現場では「A社とB社で月額2,000円も違うのはなぜですか」と聞かれることがありました。しかし実際に比較すると、解約返戻金や特約の内容が違うことが少なくありませんでした。
生命保険を選ぶときは、まず自分や家族に必要な保障を整理することです。
その上で複数の保険会社を比較すれば、保険料の違いにも納得できるようになります。
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