役員退職金は保険で準備すると節税できる理由。
中小企業のオーナー経営者は社長を長年続けるケースが多いですね。20年30年はよくありますが中には40年間経営の指揮をとり続けている方も見かけます。
このくらいのベテラン経営者になると会社の中のことはすべてお見通しで、どこそこの支店で鉛筆が一本倒れてもわかると豪語されます。
役員の退職慰労金計算は在職年数をかけますから、長きにわたり経営者であれば当然退職金も多額になります。
役員退職金といっても老後資金と言うよりは多くの場合相続税の納税資金になります。それだけに企業の継続ということからみてもそれなりの額が必要になります。
(参考例)
役員退職金=(退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率)+功労加算
(例:役員報酬5,000千円、在任年数30年、功績倍率3倍、功労金3割加算)
役員退職金基本額:5,000千円×30年×3倍=450,000千円
功労金加算3割=135,000千円
役員退職金支給合計=585,000千円①
この退職金を会社の利益剰余金から支払うのはいかにももったいない気がします。企業の利益剰余金は税金を払った後での蓄積です。退職金税制は緩やかにできていますが、その後にくる相続税はご承知の通り厳しい税率です。税金の二重三重払いと言えるでしょう。ここに役員の退職金準備に保険活用の価値があります。
退職所得控除額:(20年超) 70万円 ×(勤続年数 – 20年)+ 800万円
退職所得控除額合計:700千円×(30年-20年)+8,000千円=15,000千円②
退職金課税=(退職金①-退職所得控除額②)÷2×税率(分離課税)
(585,000千円-15,000千円)÷2=285,000千円
退職金課税は退職所得控除を引いた残りに1/2課税、かつ分離課税という有利さです。
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生命保険を活用すれば解約返戻金という形で必要なときに現金化できます。それまでの間は保険料として一部または全部を費用化できるのです。この間の税負担は押さえることができなおかつ簿外に解約返戻金というキャッシュを積み立てることができます。
法人保険には事業保障という役割がありますからよほどのキャッシュのピンチでもない限り解約はしないものです。どうしても緊急のキャッシュが必要な場合は契約者貸付という仕組みを利用することもできます。もともと自社のお金ですから審査も手間もなく短期でキャッシュを都合できます。利息が高いので早めに返さないと損しますがね。
生命保険の解約返戻金は出口対策ができていなければ単なる雑収入でしかなく課税対象になります。これを役員退職慰労金にあてれば見事に節税できています。現金で銀行に残しておいても退職金支給の時期まで残るものではありません。生命保険ならではのうまい仕組みだと言えるでしょう。
ただしこの生命保険設計は複数の保険会社の商品を扱うそれなりのプロに依頼してください。その上で
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