契約者貸付のデメリットは督促なし、先取りキャッシュの甘いワナ。

契約者貸付のデメリットは督促なし、先取りキャッシュの甘いワナ。

生命保険には、種類や時期に応じて解約返戻金があります。緊急に資金が必要なとき、解約返戻金の7割から9割の範囲(保険会社によって異なります。)で契約者貸付を受けることができます。

生命保険の契約者貸付は、便利な仕組みですが、あまりおすすめできません。保険業界の隠語で略して契貸(ケイガシ)と呼んでいます。個人契約で、契約者貸付を受けている人のかなりのケースで、返済されずに解約に進みます。

◆ 契約者貸付は、解約返戻金を担保にした無審査貸付。

一般の融資と違って、審査なしでお金を借りられるのは、契約者貸付の大きな特徴です。そのため、初めてのキャッシングでも借りやすいと思います。自分が契約している保険会社に申し込めるというのは、安心できるのでハードルが下がります。

契約者貸付は、生命保険の解約返戻金を担保にして、借り入れをする仕組みです。そのため仮に返済できなくても、責任を問われることはないわけです。

生命保険の契約者貸付には、ローン審査に通らない人でも、お金を借りられるというメリットがあります。言ってみれば、自分のお金を一時的に借り出しているだけという安心感があります。

◆ 契約者貸付は、手続き簡単、入金までは一週間程度。

インターネットから手続きをすれば、条件次第で即日入金する場合もあります。通常は手続きから、入金までに1週間程度かかるのが一般的です。

急ぎの場合、土日祝や銀行の営業時間外では、翌営業日の振込みになるので、注意してください。

契約者貸付制度を利用したい場合は、加入している生命保険の担当者へ連絡しても対応してくれます。またはWeb会員ページで申請すると、人に知られずに借り入れが可能になります。

◆ 契約者貸付のメリットは保障を温存。

お金を借りるとき、生命保険の契約者貸付であれば契約を解約しなくても利用できるのが魅力です。

しかし最初から生命保険を解約すれば、返戻金を受け取れるから、借りる必要がないのではと思う人もいるかもしれません。

生命保険は一度解約すると、年齢や持病などの理由から再加入できなくなったり保険料が高くなったりする可能性があります。また、解約をしてから再度契約するまでの間に、万が一のことがあった場合に保障が受けられなくなります。

一番怖いのは生命保険が失効すると、万が一の際に保障を受けられなくなることです。

養老保険などでは、お金を借りているときに保険満期を迎えると、満期保険金から借入金額と利息が差し引かれた金額が受取金額になります。契約者貸付を受けている間に保険事故が発生した場合、貸付金額を差し引いた保険金が支払われます。

経済的にピンチになっても、契約者貸付を利用して保険契約を解約しないでいれば、保険金が助けになることがあります。

◆ 契約者貸付できる保険の種類と初期低解約返戻金型のリスク。

契約者貸付制度は解約返戻金の一部を借り入れるため、解約返戻金のある保険を契約している必要があります。貯蓄性があり、解約返戻金のある保険は、以下のとおりです。

終身保険

養老保険

学資保険

個人年金保険

ただ貯蓄性がある保険でも、初期低解約返戻金型の保険もあります。このような保険の場合、通常の保険の解約返戻金の7割程度に抑えられています。

そのため契約貸付の限度額は、さらに厳しくなります。この手の保険では、契約者貸付で借りられるお金はすくなく、返済できずに失効すれば、保障を失うことになり、踏んだり蹴ったりです。

生命保険を契約しようとするときは、将来的なことを意識することが大事です。初期低解約返戻金型の生命保険のデメリットも、しっかり見るようにした方がよいと思います。

◆ 契約者貸付の手順と必要書類。

保険会社により、手順が若干違いますが、申し込みをするために必要な書類は2つです。

保険証券

振込先口座

これらを手元に用意してから、契約者専用のWebサービスに申し込みをするとスムーズにできます。(契約者専用のWebサービスを利用する人は、会員登録が必要)

契約者貸付の申し込みフォームに、借り入れ金額とご自分名義の銀行口座の2つを入力します。

保険会社の営業職員に依頼して、手続きを進めることもできます。またカスタマーサポートに電話して、関連書類を郵送してもらい、必要事項を記入して返送するような手続きでも可能です。

◆ 契約者貸付の利率はサラ金やカードローンより安いが、複利のリスク。

生命保険の契約者貸付は、ほとんどが年3~7%の低金利な設定になっています。契約者貸付は、生命保険の解約返戻金を担保にお金を借りる、有担保融資になります。

保険会社は金利で儲ける必要がないので、カードローンなどの10%超の金利と比べると低利になっています。

ところが契約者貸付は複利になっています。この複利計算が曲者(くせもの)なのです。複利は元本プラス利息に金利がかかってきます。たとえば長期に返済せず放置すると、複利によって雪ダルマ式に借金額がふくらんでいきます。この点は、生命保険の契約者貸付でとくに注意が必要な点です。

複利は、原則的に貸金業法で禁止されているので、銀行や消費者金融、カードローンに適用されることありません。

しかし生命保険の契約者貸付は複利ですので、元金と利息の合計額が生命保険の解約返戻金の額を超えた場合に問題となります。かりに返済できなければ、保険契約が失効というリスクがあります。

失効とは万が一のときの保障を失うということです。そうなれば、何のために生命保険をかけてきたのか意味がなくなります。

契約者貸付を利用した場合は、たとえ面倒でも返済計画を立てて、返済状況の把握を怠らないようにしましょう。

◆ 契約者貸付は、返済日が決まっていないので先送りリスク、返済は自己責任。

生命保険の契約者貸付は、返済に決まったルールがあるわけではありません。自分の都合でまとめて返済しても、分割で返済しても自由です。

一見、余裕を持った返済ができるメリットがあるように思います。しかし、実際は返済の計画をしっかりと立てないまま安易に利用してしまうと、元利金が年々ふくらんでしまいます。

その結果、返済に困り、保険契約の失効などということになります。

契約者貸付でお金を借りた後の返済計画は、自己責任です。

保険会社からは、契約内容や貸付金に関して「契約内容のお知らせ」が年一回は届くので、無視しないで、必ずこまめに返済額を確認し返済計画を見直してください。

保険会社は、解約返戻金と言う確実な担保を押さえていますので、サラ金のような取り立てをする必要がありません。

◆ 契約者貸付の返済を怠ると、保険契約が失効リスク。

個人の生命保険契約で契貸を受けている人のかなりのケースで、返済されずに解約に進みます。

何故かと言うと、もともと自分のお金という意識があることが原因です。形こそは貸付ですが、自分の貯金を下ろして使っているような気になります。無理して返済しようと言う義務感が起こらないようです。

また当座のお金に困って契貸を受けるケースが多いですから、はなから返済するアテがありません。

これは顧客サービスのように見えて、保険会社にとっておいしい仕組みであり、契約者にとっては厳しい仕組みなのです。

生命保険の契約者貸付は、返済せずに放置しておくと保険契約の失効に進みます。契約者貸付が返済できないくらいですから、保険料の支払いも滞っているかもしれません。

その結果、気がついたらバカ高い利息を払うことになります。そして雀の涙ほどの解約返戻金が残り、大事な保障を失う結果になります。

生命保険の契約者貸付が返済できないなら、というか返済する気がないなら生命保険に入ることは、そもそももったいない話です。

◆ 契約者貸付の甘いワナ、まとめ。

資金的な急場がしのげるというのは有り難いですが、返済計画のない契約者貸付はくれぐれも慎重にと申し上げておきます。

くどいようですが、保険会社は解約返戻金という絶対的な担保を押さえて貸付を行いますから、リスクが全くありません。それゆえ返済の督促もありません。

借金は、返済の督促があり、返済期限があるからプレッシャーもあります。それが全くない生命保険の契約者貸付は、やはり先取りキャッシュの甘い罠と言えるのではないでしょうか。

しかし、キャッシュが不足したからと言って、慌てて解約するより契約者貸付を利用して急場を乗り切るほうが、保障が続くという点で価値があります。

一番恐れるべきは、契約者貸付を返済せずに放置して失効した後に、保険事故が起こるようなことです。これではあとに残された家族を守ることはできません。

生命保険の契約者貸付には、メリットもありますがそれだけではありません。返済できなくなる前に、返済計画をしっかり立ててできるだけ早く返してしまうようにして下さい。

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