保険料には払込猶予期間があり、口座振替できなくても自動振替貸付。
生命保険を契約すると、定期的に保険料を払わなくてはなりません。ほとんどのケースでは、銀行の口座から自動的に保険料が、振替えられるようになっています。
口座振替はいちいち保険料の振込みを気にしなくてよいので、とても便利なのですが、銀行口座の残高を確認しないといけません。うっかりしていると、残高不足で保険料が落ちないというようなことが起こります。
保険料が口座振替できなかった場合、いきなり保険契約が失効し、保障がなくなるわけではありません。
保障はどうなるのか、払込猶予期間はいつまであるのか、払込みの方法はどうすればよいのかをまとめました。
また、万が一失効というようなことになった場合の対応方法、そして保険を有効に復活させることはできないのかについても詳しく解説しています。
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◆ 保険料の払込期限と払込猶予期間はいつまでか?
保険料の払込みは、払込猶予がどこまであるか、気になるところです。保険料の払込猶予期間がどこまであるか知っておく必要があります。
年払いを例にとりますと、払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで振込猶予期間があります。(ただし、契約応当日が2月、6月、11月の各末日の場合には、それぞれ、4月、8月、1月の各末日まで)
ずいぶんややこしく感じますが、例えば6月10日が契約応当日の年払契約の場合、払込期間は6月30日までですが、保険料の払込猶予期間は8月10日までとなります。
それを過ぎると失効というわけです。
図をご覧ください。契約応当日とは、月ごと、あるいは年ごとの契約日です。月払いの場合4月10日が契約日であれば、5月の契約応当日は5月10日です。年ごとの契約応当日ということになれば、翌年の4月10日になります。
保険料の支払期間は、契約応当日の属する月の末日までとなります。それ以降が払込猶予期間ということになります。
払込猶予期間は、月払いと年払い(半年払い)では、期間設定のパターンが異なります。
月払いは保険料払込期間の翌月末まで、年払い(半年払い)は、保険料払込期間の翌々月の契約応当日までとなります。
◆ 口座振替ができなかった場合の、保険会社の対応。
口座振替は、自動で処理されます。口座の残額が不足して振替えができなかったときに、いつまでに振込めば間に合うかかという払込猶予期間という問題が出てきます。
実際は、一般的に下記のような対応になります。しかし保険会社により対応が微妙に異なりますので、必ず確認が必要です。
≪月払契約の場合≫
当月分の保険料が残高不足で振替えできなかった場合についての事例です。もし保険料払込猶予期間内であれば、翌月に2カ月分の保険料を口座から振替えるという処理が一般的です。翌月の振替日の前営業日までに、2カ月分の保険料を口座に用意すれば問題はありません。
≪年(一括)払・半年(一括)払の場合≫
年払いのケースです。口座の残高不足で振替えできなかった場合は、保険料払込猶予期間内であれば翌月に再度保険料を口座から振替えると言うことになります。翌月の振替日の前営業日までに振替予定金額を口座に用意すれば事なきを得ます。
口座振替の振替日は、保険会社により異なる場合があります。また金融機関休業日の場合は、翌営業日が振替日となります。早めに入金しておくと安心です。
保険料が口座から落ちなかった場合、保険会社から払込票が付いた「保険料お払い込みのお願い」などが送られてくることがあります。2回目の口座振替に間に合わなかった場合、払込猶予期間までに払込票で振込んでください。そうすれば、生命保険契約は有効に継続します。
◆ 保険料の自動振替貸付(保険料の立替えシステム)
払込猶予期間の月末までに保険料の払込みがなければ、いきなり失効するわけではありません。解約返戻金の範囲で保険料の自動振替貸付が適用されます。
ただし契約中の保険に、保険料を立て替えるだけの解約返戻金があることが条件になります。契約して年数が短い場合や保険の種類によっては、自動振替貸付が適用できないこともあります。
また自動振替貸付が行われていても、解約すれば自動振替貸付はなかったものとして取り扱われることになっています。生命保険を失効させないため、二重三重のセイフティーガードが用意されています。
保険料の自動振替貸付が適用されている契約について、解約返戻金の範囲で未払込保険料を自動的に立替えて保険料に充当した場合はどうなるのでしょうか。これは、あとから足りない分の保険料を払い込めば、自動振替貸付がなかったものとして取り扱われます。
ただし、自動振替貸付の取消期限などの対応は保険会社各社異なる場合があります。契約している保険会社にお問い合わせいただき、間違いない処理をお願いします。
◆ 保険料の払込猶予期間が過ぎると失効へ。
保険料の払込猶予期間が過ぎ、自動振替貸付が出来なかった場合、生命保険契約は失効へと進みます。
保険契約が失効すると、保障がなくなります。失効後、保険事故が発生しても保険金が支払われないということになります。
振込期間までに振込みがなければ、一般的には「保険料お支払いのお願い」が届きますので、普通はここで保険料が口座振替できなかったことに気づきます。
翌月の口座振替までに2カ月の保険料を口座に用意しておけば、2カ月分が口座振替され、一件落着となります。もし猶予期間を過ぎてしまうと、復活期限と失効のリスクを書いた督促のような振込案内が届きます。
ここまでになる前に、保険料を振り込むことで失効を回避することができます。考えてみればそりゃそうです。一回振込み忘れで即失効は厳しすぎます。
■法人保険の失効は、思いがけずリスクが大きい理由を具体的に。
◆ 払込猶予期間が過ぎて失効した場合の復活手順。
さまざまな事情で、払込猶予期間を過ぎてしまい生命保険契約が失効しても、それまでの保険料を払い込むことで生命保険契約を復活させることができる場合があります。
失効から復活できる可能期間は、一般的に3年と言われています。しかしこれは保険会社や保険商品により、異なることがありますので注意が必要です。
中には数カ月であったり、復活を認めていなかったりするケースもあります。方々間違いがないよう保険会社に確認を入れてください。
失効した場合の注意事項として、失効しても復活という手がありますが、被保険者が健康体であればという条件が付きます。
復活できなければ、一般の生命保険契約で、失効中の保険を置いておく意味はありません。解約して解約返戻金があればそれを受取って終わりです。もちろん保障はなくなります。
・法人契約では失効先延ばしもあり。
法人契約の生命保険では、失効後解約せずの放置しておくことがあります。解約すれば、解約返戻金に含まれている雑収入が課税対象になります。利益の繰り延べを目的としていれば、失効後どの時点で解約するかは、出口対策との相談になります。
キャッシュを預かる経理部門にとって、翌期で良いなら翌期に解約したい気持ちもあるでしょう。そういう意味で解約を先送りするテクニックとして、失効が使われることがあります。
■低解約返戻金型終身保険の罪作り、ピンチで解約すれば大損デメリット。
◆ 保険料払込猶予期間、まとめ。
口座振替の生命保険の保険料が落ちなかった場合、どこまで猶予期間があるか、猶予期間を過ぎるとどうなるか、失効するとどのような問題が発生するのか、また復活可能な期間について解説してきました。
保険会社にとっても、保険料が払い込まれなければ、契約がなくなり保険料収入がなくなります。契約者の利便性を図りながら、払込猶予期間や自動振替貸付、さらには復活という、あの手この手の救済処置を用意しています。
口座振替できなくても、翌月の保険料の振替日までに2カ月分の保険料を用意しておけば、問題はありません。経済的に余裕があれば、払込期間内に口座振替ができるよう残高を確認しておくことがベストです。
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