贈与税の配偶者控除はローン返済に使えるかという熟年夫婦の問題を検証。

配偶者(妻)が遺産相続でもらった資金を、贈与税の配偶者控除で夫のローン残債の返済に充てることができるのでしょうか。それを贈与税がかからずに、合法的にできればありがたい仕組みです。
ローンに追われる自分にそのまま当てはまるだけに、真剣に検証してみました。
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◆ 年間2,110万円まで非課税贈与が可能。

贈与税の配偶者控除という、あまり知られてない制度があります。国税庁のサイトにはNo.4452夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除を特例として案内しています。
これによると配偶者間で一年に2,000万と贈与税の基礎控除110万を合わせると2,110万まで非課税で贈与することができます。
何かと条件が厳しいですが、このケースに当てはまりそうな人は、サラリーマン末期の住宅ローン返済がまだ10年以上残っている人です。もう少し実態に即して書けば、継続雇用で定年ながらかろうじて首がつながったものの、収入が半減という方が今回の話題の対象者になります。
・下記に国税庁の制約条件を上げます。
(1)婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
(2)特例を受けるための適用要件
A) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
B) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
C) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
(注)配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
◆ ローン返済が重荷になる継続雇用と相続による返済のタイミング。

それほど資産がなくて、長年ローン返済を続けてきましたが、まだ10年ほど残っています。それなのにいよいよ定年になりました。どうにか首はつながったものの継続雇用となります。収入は大幅に減少し、ローンの負担が家計に重くのしかかります。
先行きのことを思うと、住宅ローンを払いきれない不安や老後の困窮、破産が頭をよぎります。
そういとき親が亡くなり、遺産が入る場合があります。自分の親ならそのまま一括返済に充てれば、長年苦しんでいたローン返済はなくなります。親が亡くなって喜んでいる場合ではないですが、返済できると気持ちはとても落ち着きます。
■贈与税は高すぎるという誤解、あおり商法のカモにならないために。
◆ 配偶者(妻)のもらった遺産はローン返済に使えるか?

ところが自分の親ではなく配偶者(妻)の親が亡くなり、たまたま遺産が入った場合ということが起こります。配偶者は相続で受け取っていますから(相続税がかからないレベル)税金はかかりません。しかし相続で受け取った遺産は配偶者のものです。それを夫名義のローン返済に充てると、贈与と言うことになり贈与税の対象となります。
普通に考えれば同じ財布でしょうから、夫の収入はローン返済に充てて配偶者の遺産は生活費に充てれば贈与ではなくなります。しかしこの際一括返済したいし、何より楽になりたいと誰でも思います。それで配偶者から夫にお金を貸し一括返済し、夫からは毎月返済してもらうようなことになります。(うちはこのパターンです。)
夫にすればローンは返済したものの、今度は配偶者という債権者に責められることになります。(苦笑)
◆ 贈与税の配偶者控除はローン返済に使えるか、専門家に確認。

ひょっとしての思いつきで、贈与税の配偶者控除を考えてみました。夫も配偶者ですからこの制度が使えれば、非課税で贈与できるはずです。一気に問題が片付き、肩の荷がおりるのではないかと思いました。
これはしめたと思いつつさらに調べると、贈与対象の条件に「居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合」とあります。
言っていることは住宅ローンの返済は「居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与」にはならないと言うわけです。
取得するための費用ではなく、取得が終了し借入金の返済をしているので取得費用ではないという、例のお上の筋論です。
どうも腑に落ちない話ですが、専門家(OB税理士)に確認しても同様の回答ですから仕方がないです。
◆ 知恵を絞った裏ワザの成否、配偶者の権威。

それならとこちらも知恵を絞ります。思いつく必殺の贈与は、今住んでいるマンションを贈与税の配偶者控除を使いローン丸ごと配偶者に贈与してしまいます。(20年近く住んでいますから二束三文です。)
それで配偶者が相続したお金で、繰り上げ一括返済するなら贈与にはなりません。どうせ同じ財布ですからなかなかの名案です。でもマンションの名義は配偶者に変わります。
それと登記の変更を伴いますから、所有権移転登記コストが発生します。なんか名案のようでばからしいとこもあります。夫婦で貸し借りはなくなりますが、夫としての発言権は著しく低下しそうです。
◆ 贈与税の配偶者控除はローン返済に使えるか、まとめと結論。

それは困るとお思いの方は、やはりぼちぼち返済することです。年間110万円ずつ贈与税の基礎控除の範囲で贈与すれば、そのうち終わります。借金の支払いを配偶者にまけてもらうと返済は早く済みます。でもこれはみなし贈与です。
金銭借用書をきちんと書いて、ハンコも押して残す必要があります。この程度の手間を惜しんでいる場合ではないので、あとで問題にならないよう手順を尽くすことも大事です。
どちらにしろ、配偶者の遺産に助けられたわけです。老後破産リスクが軽減されたことにここは感謝しつつも、大きな顔はできないわけです。これからずっと。

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