外貨建て生命保険のリスクとメリットについて考えました。
こういう場合世間では「半端ない。」というそうです。
正確に言えば半端ではないという意味です。
半端ではないということはかなり大きなリスクがあると言い換えることが出来ます。
パラダイス文書に名前が登場しそうな保険代理店はドル建て生命保険に活路を見出しています。これが当たってモーターが2台ついた自動運転のステラで営業にきます。寝ている間に目的地に着くそうです。
うまそうな話に乗るとリスクが待ち受けています。
税務署の調査ではなく、怖いのは為替リスクです。外貨建て生命保険の最大のリスクは為替です。
この辺の怖さを身に染みている方もいらっしゃいいます。ドル建て生命保険のリスクを真に理解している方は少ないのではないかと思料致します。
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・予定利率最低時代の選択
生命保険の予定利率が最低時代に突入し、業界としても金融商品としての生命保険の価値が下がる中、競って新商品開発に取り組んでいます。しかし以前のような面白味のある保険商品はもはや期待できない状況です。
・ドル建て生命保険は有利な金融商品
そんな中、気をはいているのが外貨建ての生命保険です。外貨建てでは多くが米ドルになっています。運用するのが予定利率3%台の国ですから解約返戻率もよくなります。
予定利率最低時代の選択肢としてはドル建ての生命保険は意味があると思います。
・外貨建て生命保険の為替リスク
予定利率がよいのは確かに大きなメリットですが、ドル建てゆえのデメリットとして為替リスクがあります。保険金も解約返戻金もドルで受け取るわけですから為替が円安に振れれば予定以上にメリットがでます。
しかし為替には円高という局面もあり得るのです。急に資金が入用になったとき円高に振れていると解約返戻金を円転したときに、思いがけない損失になることがあります。
・為替リスクのオプション取引
メガバンクや地銀に限らず証券会社も躍起になって、中小企業に対して通貨オプション(為替デリバティブ)を販売した時期がありました。特に原料を輸入する企業では安定的に将来のドルを押さえたいと考えたのです。
この通貨オプションは、契約で定められた価格よりも円安の場合には、会社は利益を得ることができますが、円高の場合には、無制限の損失を受けるおそれがあります。
でも売っている証券マンも支店長もリスクを理解していませんでした。大きな痛手を被った企業や倒産に至った企業もあったのです。
円高になると使い慣れない「ボラティリティー」なる言葉を持ち出して追加担保の提供を求めてきたものです。当然、経営者はピンチに陥り裁判になった事例もあったのです。
解約もできない仕組みなので、時期が来れば予約した為替でドルを買うしか道がありません。毎期決算書の営業外損失で財務は赤字を余儀なくされたのです。
通貨オプション契約の危険性ということはありますが、為替は予測できないリスクの高いものだということです。
・外貨建て生命保険のメリットデメリットまとめ
外貨建ての生命保険にはメリットも大きいですが、デメリリットもあります。
為替の変動は人知を超えたところで起こります。
想定外の円高が資産を毀損する場合があるのです。
かつてのオプション取引のような巨額の損失にはなりませんが、為替リスクを甘く見ないことが必要です。
円建ての保険であれば契約時の保険金や解約返戻金は生命保険会社が倒産でもしない限り保証されています。
法人でも個人でも、目一杯の資金で外貨建ての生命保険にかけないことです。
資金余裕があるときに外貨建ての保険を考えるということが必要ではないかと思います。余裕がない時は保障を円建てでしっかり確保しておくことが優先になります。