相続申告期限に間に合わないととんでもない税額がかかります。
相続税は相続発生から10ヶ月以内に遺産分割協議をまとめて申告書を税務署に提出しなければなりません。
もし遺産分割の話がもめて、まとまらなければ相続税の申告ができず、様々な優遇措置が使えなくなりとんでもない税額がかかることがあります。
しかし申告期限から3年以内に遺産相続協議をまとめて、あらためて申告をしなおすと納めた税金が還付されます。
この場合、一度は法定相続分を相続したとして全額を納税しなければなりません。還付されるまで多額の納税キャッシュが必要になります。
資金的に余裕があれば納税することは可能ですが、資金が少ないと物納もできず追いつめられます。
遺産分割協議をまとめて申告までたどり着くには10か月は短いと思います。
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◆予想される不利益をあげると。
1)配偶者の税額軽減が適用できない。
配偶者の税額軽減は法定相続分(半分)か1億6千万と巨額になります。税額軽減が適用できないと一時的とはいえ重い相続税負担になります。
2)小規模宅地等の減額特例が適用できない。
遺産の大半が自宅不動産の様な場合、同居や家なき子等の適用要件が厳しいですが、条件が整えば小規模宅等の評価減はとても大きな金額になります。
3)相続税の取得費換算の特例が適用できない。
遺産分割協議が不調だということは未分割なわけですから、相続財産を売却することはできないと思います。申告期限から3年以内である相続財産の売却はその不動産に対応して納めた相続税を譲渡益から差し引く優遇措置が時間切れになるリスクがあります。
4)物納が原則としてできなくなる。
相続物件が不動産等に偏っていると納税資金に困ります。物納の要件はとても厳しいですが、物納ができなくなるとさらに困難になります。
注意)
・配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額特例などで相続税がかからない場合でも申告は必要です。申告により税額軽減が認められます。
・期限内に申告しても相続税の納税をしなければ延滞税がかかります。
・無申告の場合ペナルティーとして無申告加算税がかかります。(税務調査までに申告すれば5%、税務調査後は15%)
◆遺産分割協議と不調と生命保険の行方。
遺産分割協議が仮に不調でも、生命保険金は受取人固有の財産となります。みなし相続財産として相続税が課税されますが、原則として遺産分割協議の対象となりません。
納税資金が足りないときは即キャッシュとして心強い味方になります。また相続協議がまとまらないときに代償分割としても生命保険金は威力を発揮します。
相続に活用できる生命保険の仕組み、契約者と被保険者そして受取人指定を正しく活用することが重要です。
◆遺産分割協議がまとまらないと争族です。
相続の審判や調停で家庭裁判所に持ち込まれる件数だけでも年間15,000件前後、周りを見回すと、実際の相続をめぐる争いはこの一桁上の数であろうと思います。
仲がよい親族や家族でも相続となると人が変わります。こればかりは身をもって感じるところです。何かのタガが外れるとそこからは別人のように思いやりが欠落します。
それもそのはず相続で手にする資産は非日常の棚ぼた世界、濡れ手に粟の不労所得ですから目の色が変わり亡者になることもいとわなくなります。
この争いは遺産の多寡や相続税がかかるかどうかに関係がありません。
生命保険を活用した納税資金対策を行うことで、納税資金を活用し、家族の争族を未然に防ぐことも可能です。「保険は相談するな!」ではブログの至る所に保険活用の知恵が盛り込まれています。
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