法人保険は事業承継の裏ワザ|400号到達。

法人保険は事業承継の脇役、裏ワザフル活用。

CIMG3465「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うことはいろいろあります。ずいぶん勉強もさせいただきました。

今が法人保険を通じて事業承継・相続設計の全体像が一番よく見渡せているような気がしています。

法人保険の有効性をテーマに書き続けてきましたが、400号を機に法人保険を活用した事業承継・相続設計の裏ワザというかテクニックを項目ごとに簡単にまとめました。

 ◆ 法人保険は事業承継と相性が抜群。

法人保険の目的が多彩であることは幾度も申し上げてきました。事業保障や利益の繰り延べによる節税などが華々しいところですが、それだけにとどまりません。

法人保険はその機能をうまく活用することで事業承継や相続設計に組み込むことができます。

事業承継と相続設計はある意味では資金の引き継ぎでもあります。資金移動が円滑にできないと後継者は難儀することになります。それを税金というコストを最小限に抑えて可能にできるのが法人保険なのです。

多少の知識とテクニックは必要になりますが、法人保険を事業承継は相性が抜群に良いと申し上げることができます。以下にいくつかの法人保険の活用パターンを簡単なまとめとしてご案内します。詳細は個別ページを検索いただくとよろしいかと思います。

事業承継に長期契約の法人保険活用がメリット大!

 ◆ 退職金準備

法人保険では事業保障と退職金準備を兼ねるケースがほとんどです。保険料を費用で落とし税金を回避しながら簿外に資金を蓄積していきます。解約するとそれまでに払い込んだ保険料が解約返戻金として雑収入になります。

この雑収入を役員退職金にあてればものの見事に出口対策となっています。法人保険の大きな目的のひとつが経営者の退職金準備です。

◆ 後継者への資金移動

事業承継では後継者にいかに資金を集めるかが重要になります。経営するには自己資金が豊富でないとどうしようもありません。金融機関の信用だけでなく資金の裏付けがないと打つべき手が滞るというものです。

後継者に資金を集中する基本的な手法は役員報酬の増額ですが、一気に移すことはできません。この問題をクリアして法人保険で後継者へ資金を移動する方法はいくつかあります。

このサイトでも何度か紹介していますが、逓増定期の名義変更というスキームはまだ有効です。何本かの逓増定期保険を複数社で契約すれば数年でまとまった資金移動が可能です。一時所得を得た後継者は確定申告を忘れずに行うと同時に、次の保険加入を検討し逓増定期の名義変更を連続させます。できれば税務調査が予想される年には名義変更が起こらないよう調整に配慮いただく方がよろしいようです。

もう一つの方法はどこの会社でも昔の保険契約を何本が抱えているはずです。なかには払い込みを終えた保険もあるかもしれません。また払い込みが続いている保険は払済にしてしまいます。この時点では契約者は法人、被保険者は現経営者、受取人は法人となっていると思います。この保険を解約返戻金相当額で後継者に譲渡します。受取人も後継者に変更します。買い取り資金は会社が貸し付けるか逓増定期の名義変更を活用した資金を利用します。

これで相続発生時に後継者が死亡保険金を一時所得で受け取ることができます。解約返戻金と死亡保険金との差額が儲けというか税的には一番お得な一時所得となります。ミソは相続発生時に資金に変わりますが相続税の対象ではなく、後継者の個人的な資金となります。古い保険ほど予定利率が高くレバレッジが効いているので差額が大きくなり資金移動としての価値が高くなります。

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

◆ 相続税対策

上記のように法人保険を使った後継者への資金移動はそれだけで相続税の納税資金対策になっています。換金できない自社株を引き継がなければならない後継者には納税資金として保険金というキャッシュが必要なのです。

相続税対策とは相続税の節税より納税資金確保を優先すべきです。とくに中小企業の自社株は換金性がありませんから、業績好調な企業は相続の時バカ高い評価に苦しむことになります。借金をして納税しなくてはならないのでは後継者の意欲もなえると言うものです。それゆえあの手この手で後継者に資金を集中し納税資金をしっかり確保することが大事かと思います。

◆ 争族対策

後継者が買い取りきれない現経営者が被保険者の法人保険は役員退職金として現物支給すCIMG3466ることもあります。会社としては引退する現社長の生命保険を持っていても仕方ないところもあるでしょうから、できれば退職を機に譲渡したいと思います。

引退する現経営者が退職金として生命保険を現物支給されると、契約者が会社から引退する現経営者に変更となり相続発生時に保険金が相続財産に合算されます。

受取人を会社から相続人に変更することになりますが、ここで受取人を指定すると生命保険金は相続財産からはずれ(相続税の課税はあります。)受取人の固有の財産となります。これで経営に関与しない他の相続人の遺留分を満たすことができます。

うまく使えば保険は争族対策の手段としてもすこぶる優れものなのです。

◆ まとめとして「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うこと。

2014年の7月に「保険は相談するな!」を開設し仕事を別に持ちながら足かけ4年半、週末に書き続けて400号に到達しました。ブログという形態はとっていますが、法人保険や相続・事業承継関連の情報発信サイトとして実務に即した内容を心がけてきました。

これまでの文字数はざっくりですが80万字、単行本5冊分に相当するコンテンツに育ちました。

さすがにジャンル拡大しカテゴリー枠にはまりきらなくなり無理がでてきましたが、  ① 事 業 承 継 ② 保 険 余 話 ③ 法 人 保 険 ④ 相 続 と 保 険 ⑤ 節 税 保 険 ⑥ 経 営 と 保 険 ⑦ 贈 与 と 保 険 の7分類をとりあえず守っています。

(2021年から 医 療 費控除 、保険受取人変更、保険解約、役員退職金、支払調書、相続時精算課税、相続登記、逓増定期、遺言書を追加しました。)

基本的なターゲットは中小企業のオーナー経営者としていましたが、読者の主力はどうも保険関係者のように感じています。最近では医療費控除の確定申告関係の読者が急増しています。継続は力なりと申しますが続けるためには相当の情報収集能力と気力を必要とします。

また自分の自由時間を削り書き続けるには多大なエネルギーを必要とします。ただひたすら、どこかで誰かのお役に立っていると信じつつ今後も続けて行く所存です。ご愛読賜ればこれにまさる喜びはございません。

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