教育資金の一括贈与は待ったが正解。

教育資金の一括贈与くどいように再延長されています。はっきり申し上げて一般庶民がこの非課税制度を使う意味はないと言えます。贈与税の非課税範囲で暦年贈与を行い、生命保険に加入する方が、よほど手間いらずで安心です。

また教育資金の一括贈与は、孫への贈与という形をとりますが、実質的には教育費費を負担すべき孫の親、つまり子への贈与と何ら変わりません。大金を手にすると人が変わり生活が変わります。それゆえ、教育資金の一括贈与は待った!と言いたいのです。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の特例は時限立法です。
2026年1月時点の情報を整理しました。
・適用期限   令和8年(2026年)3月31日まで(時限特例)
・非課税限度額 受贈者1人につき 最大1,500万円(学校以外は500万円)
・対象年齢   30歳未満 の受贈者(契約時)
・要件     ① 直系尊属からの贈与
② 管理契約・口座開設
③ 期限内の手続き
・留意点    30歳到来時に残高があると課税対象に

◆ 教育資金1,500万の非課税枠は庶民に無意味。

この制度は、そこそこのお金持ちで、相続税がそれなりにかかる人を優遇する非課税制度です。孫が5人ほどいれば併用可能な暦年贈与と組み合わせれば、 5年の贈与で一億以上の財産を非課税で贈与することも可能です。

それでもなお財産が有り余る方には、相続税の節税効果があり恩恵を受けることができます。

貧乏人やサラリーマン世帯、相続財産が家屋敷などで現金化が難しい場合には、残念ながら縁遠い制度です。たとえば相続税はかかるがキャッシュがないという理由で、家屋敷を抵当に入れて借金をしてまで教育資金の一括贈与をする気になるでしょうか。

また教育資金贈与であれば祖父母でも両親からでも、もともと非課税ですから慌てて贈与を急ぐこともありません。

生前贈与を非課税に|何から始めてよいかわからない方へ。

 ◆ 教育資金の一括贈与をお考えの方に対するアドバイス。

この制度は税理士任せというわけにはいかなくて、医療費控除の申告と同じく、手間がかかります。

贈与側の手間は最初だけですが、受贈者側(贈与を受けた側)の両親が、節税のために真面目に領収書を集めておられます。適用範囲がよく変わり、判断がとても複雑になってきました。

教育資金の一括贈与にはデメリットもあります。ここを押さえた上で贈与するかどうかお考え下さい。ご注意いただきたいのは、この制度は一度選択すると元に戻れないというルールです。

教育資金として一括贈与したお金は事情が変わっても返せとは言えないのです。いえ、返せとは言えるのですが制度は元に戻すことを認めないのです。

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 ◆ 辛抱の歯止めが外れるリスク。

まだ、お若いときは元気で気力十分ですから、あげたお金を後になって返せと言うはずがないとお考えでしょう。でも身近にそうでもない事例も結構あります。

あげる側の祖父母はご自分が相続税を払うわけではありません。それゆえ節税を考えすぎて、財産を減らさないようにすることが大事ではないかとさえ思います。

この制度を活用されるのは多くが祖父母ではないかと思います。かわいいお孫さんの教育資金ですから惜しくはないのですが、立ち止まってよくお考えになることです。

形式的にはお孫さんへの一括贈与になっていますが、よく考えれば孫の父母(ご自分の子)への贈与と何ら変わることがありません。

もともと教育費は親の責任です。その経済的負担を祖父母が肩代わりし軽減しているのですから祖父母が父母(ご自分の子)に贈与しているのと同じことです。

名目的には教育費にかぎられますし、金融機関が厳密に管理してくれますから無駄使いの心配はありません。ついつい安心して贈与してしまいますが、父母の手元にはその分の余剰資金が残ります。

その結果高級車を買ったり、マンションを住み替えたり、海外旅行などという無駄使いが身についてしまう心配があります。3人の子に教育資金の一括贈与を受けた場合、親にとれば領収書をかき集めるだけで子にかかる教育費4,500万が浮いてくるのです。

その後、確実に不労所得としての相続財産も入る予定ですから、そらこっそり皮算用もするはずです。サラリーマン家庭にとれば経済観念が狂うのも当然のことです。

それで汗水たらして靴をすり減らして上司に怒鳴られながら安月給取りを続ける気になるでしょうか。

安易な贈与は、もらった側の辛抱の歯止めが外れるリスクがあることを贈与する側は理解しておかなくてはなりません。

◆ 相続税がかからなくなるリスク。

資産状況によっては将来、相続税がかからなくなることがあります。株や不動産が多ければ今は相続税がかかる水準であっても将来的に価格水準が下がる可能性もあります。

また医学が進歩した結果、長生きリスクもあります。贈与した祖父母にとり自分自身の今後の生活費や医療費、老人ホームの費用など、しっかり老後資金を用意しておいても長生きすると際限なく費用がかさみます。

その他にも大病リスク、災害リスクなどの思いがけない大金の緊急支出もあり得ます。これは家族を含めて全員におこるリスクです。

相続税がかからなくなれば、節税効果はなくなりますから金融機関が手数料をもうけただけです。今は良くても先のことは誰にもわかりません。

意外と相続税がかからなくなるリスクは大きいと言えると思います。

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 ◆ 一括贈与は喜ばれないリスク。

「贈与は小出しに。」本サイトの贈与コンセプトです。教育資金の一括贈与で喜ぶのはもらった孫ではなく父母なのです。

それも大金を渡しているのに、感謝の気持ちやお礼の言葉は一回きりです。孫は事情がわかりませんから、祖父母から自分がもらったなどと思いません。喜びもしません。

親心は子が少しでも楽な暮らしをして欲しいという純粋な気持ちですが、もらう方は縛りがあるとはいうものの棚ぼたの一時金です。本来相続が発生するまでは手に入らないはずの相続財産の前取りですから、これはもうしめしめとほくそ笑むのは自然の流れです。

教育資金に限らず現金の一括贈与はオススメしない理由がここにあります。贈与する方も、もらう方も決して良い影響ばかりではないと言えると思います。

考えてみて下さい。不思議なことですが、銀行に預けた今すぐ使えない1,500万より、現金でその都度10万でもお小遣いをあげてみて下さい、どれだけ喜ばれるか。

贈与というのは、目の前のキャッシュの方がよほど喜ばれます。

◆ 不公平な一括贈与リスク。

娘が二人いれば、孫が5人いても不思議ではありません。他家に嫁いでいれば外孫です。長男の子(内孫)だけに教育資金の一括贈与を行うと娘たちから不平が出ます。

そうかと言って嫁ぎ先の両親の立場もありますから、こちらの勝手に教育資金を一括贈与するのもはばかられます。

現金を直接渡しておけばバレる気遣いはないのですが、制度として利用できるのは受贈者(もらう人)単位ですから祖父母の数だけ制度を利用できるわけではないのです。(たとえば500万ずつ2者から贈与は可能です。)公平にはできませんが、不公平になると不満が出るということも起こります。

さらには、ひ孫ができたらどうするか、贈与にまつわる悩みはつきません。孫かわいさから出たせっかくの贈与で恨まれても損なだけです。

不公平な一括贈与リスクを回避する方法は、教育資金の一括贈与などむやみに利用せずに「贈与は小出しに。」と言えるのではないかと思います。

教育資金一括贈与は無意味か安心確実か?

◆ まとめ。

国も変な制度を考えるものですから「教育資金をその都度贈与することは非課税」ということを知らなかったという方も珍しくありません。

相続財産が数億以上あり手持ちのキャッシュが潤沢な方には相続財産を減らす効果がありますから、相続税の節税効果が見込めます。

状況にもよりますが、相続税がかかるかどうかというレベルの方が教育資金の一括贈与を利用するのは早計ではないかと思います。

お元気であれば、その都度の贈与で十分という考えもあります。考えすぎて後戻りできない制度を使うより相続税を納めた方がよいということもあり得るのです。

それこそ非課税範囲の暦年贈与でご自分を被保険者にした生命保険契約に加入したほうが、無駄使いを防ぐ効果もあり節税効果もそれなりに期待できます。

贈与は孫にするとゼッタイお得な理由。

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