保険の基本は終身保険、メリットと特性に注目。

保険の基本は終身保険、メリットと特性に注目。

生命保険には、基本的な区分があり、大きく5つの型があります。

・終身保険

・定期保険

・養老保険

・年金保険

・医療保険

これらが組み合わされ、特約が付加され複雑な形になっています。その中で最も保険らしい保険が、終身保険と言えるのではないかと思います。終身保険についてその特性やメリットを解説します。

◆ 終身保険とは、一生涯の保障と確実性。

終身保険を絵で描くと、右を向いた一本の太い矢印になります。矢印の先端がとがっているのは、一生涯の保障があるという意味になります。もっとも単純な保険形式ですので、わかりやすいと言えます。保険料はずっと同じ、どこで死亡事故が発生しても満額の保険金が支払われます。貯蓄性がある保険ですので、途中で解約すると解約返戻金があります。

保険料の払い方は、たとえば65歳で払込みを終える歳満了と、生涯にわたり保険料を払う終身払いがあります。短期で払えば保険料はその分高くなりますし、終身払いならお安くなります。どちらが得になるかは、長生きするかどうかによります。積立型の保険ですから、定期保険より保険料は高くなります。一時払いの終身保険も相続対策などに利用されています。

◆ 終身保険の特性について。

終身保険と定期保険との基本的な違いは、保険金を受け取れる確率です。定期保険は一定の期間の死亡を保障するものですから、告知と診査を受けて加入すれば保険事故はそれほど頻繁に発生するわけではありません。むしろ不運な巡り合わせのごくわずかの万が一のリスクを安い保険料でカバーするものです。

それに対し終身保険は解約しない限り保険金は100%受け取れます。なにしろ人間の死亡率が100%ですから、当たり外れがないのです。ゆえに終身保険の保険金は確実に受け取れる死亡保険金となるわけです。

蛇足ながら付け足すとすれば、終身保険は保険料を終身払い込みにして長生きでもしない限り損をすることがないのです。

法人で終身保険を契約されることは、あまりないと思います。しかし法人で契約する場合でも、終身保険はメリットがあります。全額損金や半損の保険商品のように、大がかりな出口対策が不要となります。

契約時点から満額の事業保障があり、いつか必ず訪れる保険事故に対し確実な保険金が支払われます。今や保険の主流となった感がある医療保険より終身保険がお得なわけは全期間の得失で考えれば明白です。医療保険で払込保険料を回収するのは、ほぼ不可能と言われています。しかし終身保険は途中解約でもしない限り損失はありません。

◆ 昔は人気の終身保険。

昔と言っても30年近くも前になりますが、予定利率が5%を越えている時代がありました。この予定利率の高かりし頃は、保険設計もシンプルで無意味な特約もあまりなく、終身保険を契約するだけで資産運用になりました。

予定利率が史上最低になった今ならあり得ないことですが、解約返戻金が払込保険料を上回ることも普通にあったのです。今は保険料が割高に感じるので、終身保険は人気が落ちました。でも終身保険は定期保険・養老保険と並んで保険の基本中の基本形です。

◆ 貯金は三角、保険は四角、株式は六角。

「貯金は三角、保険は四角」などと保険の特性を説明する保険営業は見かけなくなりました。最近のセリフは「いくら落としたいですか?」でしたが、どうも過去形で言わなくてはならなくなりそうです。

貯金は三角とは言うまでもありませんが、貯金は預けただけしか貯まりません。また預けた金額に、雀の涙ほどの利息しか戻ってきません。しかし保険は加入したときから、保険事故が発生すれば満額の保険金が約束されています。

終身保険であれば、保険料を何回払ったかは関係なく一生涯の確定した死亡保障が確保されます。だから受け取るお金という視点でみれば、貯金はどこまでも三角、保険は最初から四角となるわけです。

そんなことはわかっているとおっしゃるでしょう。しかしすべからく誰にでも生身の人間にはまさかという万が一のリスクがあります。それをきちんと説明できていないと、保険は四角の意味も価値も伝わりません。

株式は六角とはhokenfpの創作です。株式というものは相場があります。どう転ぶかは保証の限りではありません。余裕のあるときの投資としての選択は否定しませんが、やはり保険とは異質のもので、安定感に欠ける六角なのですね。

老後の資金運用として、株式投資をすすめるセミナーもありますが、落とし穴にはまらないようご注意いただきたいと思います。ハイリスクハイリターンは経済の基本原則のようなものです。保険はノーリスク、確実リターンと言えると思います。

◆ 保険の本質を見失う保険業界。

保険そもそもの本質は、福沢諭吉から始まる相互扶助の精神です。保険とは人の万が一を経済的に保障するものですが、保険契約を締結するときに相互扶助は誰も意識しません。誰かを助けようとして、保険に加入する人はありません。自分のためか、自分の家族や従業員のためです。保険というのは大切な人たちへのリスクをヘッジするための契約なのです。

ところが最近の保険商品は、売らんがための特約デコレーションはすごいです。しかし肝心の死亡保障は、必要額を満たしていない契約が多くなっています。保険の基本は終身保険ですが、保障の基本は死亡保障です。そのために保険販売ではお客様ご自身のリスクに気づいて頂くことが何より大事です。

そういう意味では節税保険は形こそ生命保険でしたが、その本質は課税の繰り延べを目的とした金融商品になっていました。それが悪いとは申し上げませんが、保険販売の基本的なスタンスを見失う原因でもありました。

図らずも今回のバレンタインショックは、保険業界が保険の本質を見失っていることに気づく機会になったと言えるのではないかと思います。

◆ 保険の基本は終身保険、まとめ。

保険業界で生き残るなら、終身保険が正しく売れるようになれば、一人前と言えるでしょうか。今頃の保険販売トークは、リスク発見以外のメリットばかり強調するものが目立ちます。

保険は一面では金融商品の性格を持ちますが、基本は保障に重きを置く保険でなくてはなりません。保険を選ぶとき金融商品としての魅力がなくなっても、リスクが軽減されるわけではありません。低金利政策が終身保険の金融商品としての価値を殺したとしても、保険という本来の役目は生き残るはずです。

保険の基本が終身保険と言えるわけは、もっともシンプルな形をしていることもありますが、保障と貯蓄を兼ね備えた保険本来の役割を確実に果たすところにあります。

保険は後に残された家族や従業員が生きていくための経済的保障を確保してくれます。確実に保障を確保するなら、終身保険がベストです。

保険料は節税のためだけに支払うものではありません。保険の基本は終身保険、もう一度見直す時期が来ているのかもしれません。

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