逓増定期の個人契約は一時所得がうますぎ。

逓増定期保険は法人契約だけでなく個人で契約して名義変更することで相続税対策に効果的に利用することができます。

相続人が逓増定期保険の権利を相続することで相続税の節税が可能になり、解約返戻金は一時所得という有利な税制が適用できます。

バレンタインショック以後、節税効果の高い保険は封じられましたが、最後に残るうますぎスキームを紹介します。

◆ 逓増定期保険の個人契約は相続税の節税目的、意外な盲点。

逓増定期保険の法人から個人へ法人から法人への資金移動という活用法は、これまでの記事で幾度も書いてきました。しかし逓増定期保険はもっと幅の広い活用が可能です。例えば本項の趣旨である個人から個人へ名義変更することで相続税対策をすることもできます。意外な盲点と書きましたが、特に盲点というわけではなく、資金が潤沢にあるような相続対策では、逓増定期保険の個人契約ということはこれまでも行われてきました。

簡単にスキーム例を紹介すると

契約者:被相続人(親)

被保険者:相続人(子)

受取人:被相続人(死亡保険金を受け取るわけではありません。)

上記の契約で、めいっぱい逓増定期保険を契約します。契約者は保険料を払うだけですから、高齢でも体調がよろしくなくても大丈夫です。被保険者は子などの相続人がなります。お若いですから健康で診査も問題なく通ると思います。

普通は4回被相続人(親)が保険料を払います。その間に契約者である被相続人(親)に相続が発生したら逓増定期保険は相続財産として相続人(子)が引き継ぎます。この場合、被保険者である相続人(子)は元気ですから保険金支払いは発生しません。それゆえ生命保険契約のまま相続財産として引き継がれます。

この逓増定期保険の解約返戻率は以下のように推移します。(M社の一例です。)

保険料1回目 0.00%

保険料2回目 4.67%

保険料3回目 9.44%

保険料4回目 18.91%(まだ解約返戻率は低い、ここで名義変更します。)

保険料5回目 99.80%(解約返戻率が一気に高く、ここで新しい契約者が解約。)

保険料6回目 99.12%

保険料7回目 98.72%

相続における生命保険の評価は、相続財産として解約返戻金相当額になります。解約返戻金が少ない4回目までに相続が発生すれば、保険の名義を相続し契約者が被相続人(親)から相続人(子)に変わります。契約を引き継いだ相続人(子)は新しい契約者として保険料5回目までを支払い、一気に高くなった最高解約返戻率の時ときに解約すると、それまでに前の契約者である被相続人(親)が支払った保険料(相続財産)を少ない解約返戻金で相続することになりますから、差額分の相続税を節約したことになります。

目論見が外れて被相続人(親)が存命した場合は、

1)解約返戻率がピーク時に解約して、再度逓増定期保険に入り直し繰り返す。

2)保険料4回目を払った後、解約返戻率の低いときに相続人に譲渡(有償)する。

3)保険料4回目を支払った後に解約返戻率の低い時に贈与税を払って贈与する。

2)と3)については、OB税理士からの指摘で、一部訂正があります。

国税庁は個人間で保険契約者の変更があっても課税しないとしています。

契約者変更後、解約、保険事故、満期を迎えキャッシュを受けとったならば、保
険料の負担額に応じて、その際に贈与税、相続税等を課税するという立場です。

■国税庁、生命保険契約について契約者変更があった場合

国税庁は個人と法人間では保険契約の移転を認めていますが、個人間では契約者
の地位に財産性はないため、契約者を変更したとしても、その後の課税は保険料
負担に基づいて按分してされるという事になります。このため逓増定期の名義変
更を個人間で行っても節税のメリットはありません。

ところがです。1)のパターンに関しては、

逓増定期保険のピークまでに相続が発生すると、その時点での解約戻金相当額で
相続となりますから、相続人が新契約者の地位にもとづき、ピークまでの保険料
を支払い解約すれば一時所得となり、相続税の節税効果があります。

個人で逓増定期保険を活用して名義変更を行う場合、運悪く長生きしたときは、
名義変更せず被保険者が解約し、再度逓増定期保険に入り直しを繰り返すという
ことになります。ということであれば、相続発生時期がまだ確実に見通せないの
であれば、少しでも最高解約返戻率が高い逓増定期保険を選ぶということになりま
す。

今後税法が変わり問題になりそうなときは、名義変更をせずに解約返戻率がピークの時に解約すれば何も起こりません。0.2%ほどの損失が発生しますが、その間の保障料と考えればわずかなことです。

実際、被保険者2名で、毎年保険料を毎年3,000万払い4年目で相続し、保険料を一回だけ払って解約した場合、うますぎる話ですが逓増定期保険の名義変更で一時所得10,000万ということがあります。

◆ 逓増定期保険は法人契約から個人契約へ名義変更。

逓増定期保険の名義変更というスキームは、法人契約の逓増定期保険を経営者や後継者に名義変更して解約後一時所得を申告することで合法的に法人の資金を経営者や後継者に移すスキームです。以前は多くの保険会社で逓増定期の名義変更に対応する保険商品がありましたが、今は限られた会社しか扱っていません。

本来、オーナー経営者といえども会社の資金を手にする方法は、役員報酬、役員賞与、配当しかないところですが、逓増定期の名義変更で第四の資金ルートができたと言えます。それもかなり太い資金ルートです。中小企業は吹けば飛ぶような存在です。経営者の個人資金を手厚くしないと債務保証もままなりません。そういう意味では貴重な最後に残るウルトラスキームなのです。

■逓増定期保険の名義変更で落ちると怖い落とし穴を経験者が語ると。

◆ 逓増定期の名義変更がおいしいもう一つの理由は一時所得。

逓増定期の名義変更のメリットは、経営者への資金移動が合法的かつ簡便にできることですが、もう一つの忘れてはいけないことは一時所得のメリットです。

それは、最高解約返戻率のときに解約して受け取った解約返戻金から、支払った費用(買取費用+一回分の保険料)を差し引いた残りが利益となり、これが一時所得となります。

一時所得は50万の特別控除があり、残りの金額の半分が他の所得と合算されて所得税の対象となります。

■逓増定期の名義変更一時所得は収入の第四ルート。

この言い方ではわかりにくいと思いますので、単純明快に申し上げると、一時所得がおいしい理由は所得の半分が非課税ということにあります。所得税を50%払っている方ならいくら金額が大きくてもなんと25%の課税ということになります。これはおいしくないわけがありません。まさに逓増定期の名義変更はうますぎというわけです。

◆ 逓増定期の名義変更スキームは最後の切札。

今や生命保険業界は沈滞ムードです。昨年のバレンタインショックから、コロナ禍による販売自粛と踏んだり蹴ったりとはこのことを言うようです。保険営業として一括千金の夢破れたりという感が漂っています。

バレンタインショックとは以下で詳しく書いていますのでごらん下さい。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

その中で国税庁の通達の網を逃れた唯一最後のウルトラスキームが逓増定期保険の名義変更です。そもそも相続対策として個人で契約すれば、損金算入割合は関係がありません。同商品をメインに販売する代理店は、落ち目の保険業界をしり目に一人気を吐いています。逓増定期の名義変更に対応できる保険会社は数社、解約返戻率で選ぶ必要があります。金額が必要な場合は解約返戻率が低くても、相続税の節税効果はありますから、複数社を検討されることもありかと思います。

■逓増定期の名義変更が安全な根拠をOB税理士に確認。

◆ 逓増定期の個人契約、まとめ。

逓増定期保険は法人がかけるものというイメージがあります。しかし、法人から個人に名義変更することができるわけですから、個人契約ができないはずはないわけです。

とすれば解約返戻率の落差を利用した個人から個人へ資金移動にも使えますし、当然それは相続税の節税対策にもなります。

逓増定期保険の個人契約を利用した相続税対策は不動産の購入のようなリスクのある評価減手法ではなく、解約返戻金という確実な資金でスキームが完成します。ただ、保険料が払えるほど潤沢にキャッシュがある場合に限られます。

保険料支払回数累計保険料解約返戻金解約返戻率
保険料1回目3,000万0万0.00%
保険料2回目6,000万280万4.67%
保険料3回目9,000万850万9.44%
保険料4回目12,000万2,269万18.91%
保険料5回目15,000万14,970万99.80%
保険料6回目18,000万17,842万99.12%
保険料7回目21,000万20,731万98.72%
保険料4回目と保険料5回目の解約返戻金と返戻率の落差を見比べてください。(あくまでもM社を参考にしたモデルケースす。)

老婆心までに申し上げると、逓増定期保険の名義変更のスキームは、それを引き継いで解約返戻金を受け取る方(相続人・子)が仕組みを理解していなくてはなりません。口座振替にして5年目以降も保険料を払い続けたということになると、これは悲劇ではすみません。

また噂によると最も返戻率のよい逓増定期保険が終売になるかも、という話も聞こえてきます。いずれにしてもきわどい橋ほどおいしいということは言えます。

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