住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。

住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。

相続登記をしていると聞きなれない“除票”という言葉がたびたび出てきます。

除票とは、多分相続のときぐらいしかやっかいにならない書類のようです。その除票も住民票の除票と戸籍の附票の除票というものがあります。

できの悪い早口言葉のようなややこしさがありますが、ここを理解しないと自分でやる相続登記では前に進めません。

 

相続登記に必要な書類と手順を、実際にやった素人がわかりやすく。

◆ 相続登記での除票の壁。

5年以上前の相続の登記を今行うときに困るのは、除票が保存されていない場合があることです。被相続人が亡くなり5年以内に相続登記を行えば問題はありませんが、田舎の不動産の相続登記は必要になるときまで先送りするのが常です。

その結果、除票の壁に行き当たります。除票のことをわかりやすく説明すれば、素人相続登記にチャレンジされているかたのお役に立つのではないかと思い、記事をまとめました。

司法書士などの専門家のおすすめサイトでは、基本的な相続登記の手順や必要書類は案内してくれます。しかし手続き上の、迷路とツボは教えてくれません。手探りでやりながら学んでいくしかありません。

相続登記、自分でやる抜け漏れ想定外。

◆ 住民票の除票の保存期間は5年。

住民票の除票とは、転出や死亡などによって住民基本台帳から除かれた住民票をいいます。要するに引っ越してもあの世に行っても、もはや住民ではないので住民票から除かれて住民票の除票となります。この除票の保存期間が5年と定められています。実際5年ですぐ処分することはないようですが、相続発生から10年もすると住民票の除票の保存期間は過ぎていますから、なくても文句は言えません。

令和元年6月20日より住民基本台帳法の一部が改正され、住民票の除票及び戸籍の附票の除票を150年間保存することに変わりました。どーんと一気に30倍です。ところが、それ以前に廃棄してしまっているもの(平成26年3月31日以前に消除又は改製したもの)については、発行できません。そりゃそうです。

◆ 戸籍の附表の除票とは除附票、要するに何?

戸籍の附票とは、本籍地において戸籍の原本と一緒に保存している書類です。その戸籍に登録された人の戸籍ができたときから、除籍されるまでの住所の履歴を記録したものです。

その除票とは、本籍を移したり、死亡などにより戸籍から除籍したりした結果、戸籍にに誰も残っていない状態になった附票をいいます。全員が死亡、結婚、養子縁組などで転籍し、空っぽになった戸籍の除票の附表を除附票と言います。名前に全部ペケが入っています。保存期間は前項の住民票の除票と同じ5年です。

◆住民票の附表や戸籍の附票の除票がいる理由。

相続登記は間違いが許されない厳密なものです。それで被相続人や相続人に関してあいまいな判断はせず証拠書類を求めてきます。

戸籍謄本や改製原戸籍(かいせいはらこせき)だけでは確認できないことは住民票の附表や戸籍の附表で確認をとろうとします。

例えば死亡した被相続人が同姓同名の別人ではないかどうか、確認するためには戸籍の住所と除票の住所が一致するかどうかが問題になります。

本籍地から転居していない場合はシンプルですが、何度か転居し住民票の住所が変わっている場合は、死亡時の住民票の除票からたどり本籍地の住所と一致するかどうかで本人確認をします。本籍を移転している場合は、附表の記録が引き継がれませんから転籍前の戸籍の除附票をとることになります。

■相続登記で原戸籍がいる理由がわからない。

相続登記で改製原戸籍がいる理由がわからない。

住民票の除票が5年経過で抹消されても転居の場合は、戸籍の附票に住所がすべて記載されているので問題はないそうです。ところが被相続人死亡の場合は5年経過で戸籍の附票も抹消されますので、住所履歴の証明が困難になります。

◆ 素人相続登記の壁、附票と除票まとめ。

自分でやった相続登記でも相続発生から5年以上経過していたので住民票の除票は取得できませんでした。

戸籍の附票が取得できましたが、戸籍の附票の全部事項証明に書かれた本籍地と住所の地番が一番だけ異なっていました。

このため捨印が役に立ち遺産分割協議書の住所を訂正することになりました。遺産分割協議書の再作成はしなくて済みましたが、遠方に相続人がいる場合、遺産分割協議書の再作成は大変な手間になるところでした。

・相続登記義務化が決定されました。

(東京法務局のサイトより引用)

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。

(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

 なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。

相続登記の申請は、令和6年4月1日から義務化されます。これまで放置されてきた方や新たに相続が発生した方は、もはや放置できなくなりました。相続登記を放置すれば、被相続人の住所履歴を証明する附票の取得が困難になります。

被相続人の住民票の附票又は戸籍の附票が削除されて存在しない場合は、その旨の上申書を提出し、被相続人の本籍を住所として相続登記を申請することができますが、これもまた手間がかかります。

所有者不明土地の問題から相続登記を義務化することが決まりました。このことを追い風と思い、思い立ったが吉日で相続登記をされることが望ましいと思います。士業ではありませんのでお勧めするわけではないのですが、素人がやる相続登記は基礎知識がない分だけ手間暇がかかります。費用は相応にかかりますが、専門家に依頼するという選択肢もあり得ると思ったことでした。

下記は相続登記関連の情報を記事にしています。ご参考までに。

■相続登記はどこで?登記簿は全国、登記申請は地元の法務局。

■相続に非協力的な相続人の本音と3つの落とし方。

所有者不明土地の原因と無責任を問えない3つの理由。

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