コロナ禍|欠損金の繰戻還付で税金を取り戻す法。

コロナ禍|欠損金の繰戻還付で税金を取り戻す法。

コロナ禍で外食産業やそれにつながる問屋・メーカー、観光産業などは緊急事態宣言が延長されるたびに経営状態は悪化し、補助金ではまかないきれない悲惨な状態が続いています。

資金繰りが行き詰り、虎の子の保険を解約して当座資金に充てている例も多いと聞きます。一体いつになれば安心してビジネスが展開できる日々が戻るのでしょうか。経営の現場では、事業計画も売上予算もなし崩しになりその日暮らしのありさまです。

これまで赤字にせず必死のパッチで黒字を維持してきた中小企業には、突然のコロナ赤字による欠損金をどう利用するか考えなくてはなりません。繰越欠損金は欠損を来期以降の利益にぶつけられますが、来期以降に利益がでるか、そこまで会社が持ちこたえるかという問題があります。

とにかく当期の欠損金をいち早く穴埋めするには、欠損金の繰越ではなく、耳慣れない言葉ですが欠損金の繰戻還付という手法があります。

◆ 繰越欠損金と繰戻欠損金。

コロナ禍の状況では赤字決算を余儀なくされている中小企業もあろうかと思います。当期の赤字は来期以降10年間繰り延べて、利益と相殺できることはご存じだと思います。ところが別の視点で、当期の赤字に対して前期の利益をぶつけて還付金を得ることもできるのです。一時的な赤字決算が発生しないと利用する機会が少ない制度ですが、コロナ禍で突然の赤字決算になれば、この制度による税金の還付が威力を発揮します。コロナ禍欠損で、前期の税金を取り戻す仕組みと言い換えることができます。

■国税庁「欠損金の繰戻による還付」

赤字は繰り越したり繰り戻したりできますが、利益の繰り延べは選択肢が少なくなりました。法人契約の保険でできる利益の繰り延べによる節税対策、は下記をご覧ください。法人保険の解約や減額と組み合わせて繰越欠損金と繰戻欠損金をどのように組み合わせて、コロナ苦境をしのぎ切るか知恵の出しどころです。

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◆ 赤字決算の前に保険の雑収入を活用するか、繰戻還付を受けるか。

会社を経営しているといつも利益が出るとは限らないということは、今回のコロナ禍で骨身に染みたはずです。内部要因だけでなく外部要因であっさり赤字に転落し先行きの資金繰りが見えなくなります。

吹けば飛ぶような中小企業など利益が少しばかり出たからと言って喜んでばかりいられないのです。明日はどうなっているか、来期はどんなコロナが待ち受けているか、事業計画も絵にかいた餅、その通りにできることはありません。それこそ零細な経営とは泥縄、手探りの日々なのです。

少しでも利益が出たときに、税金を抑えて貯金ができれば、利益の平準化に貢献できるのですが、すでにご案内の通り法人税基本通達9-3-5の2で節税保険は骨抜きにされてしまいました。今どきの法人保険では4割損金で返戻率の良い期間が少しでも長い保険を検討するくらいになりました。赤字決算を保険の解約返戻金で補填して黒字化するか、赤字決算として欠損金の繰戻還付を受けるかは経営状態の見通しによります。

しかしそれまでに契約している損金可能な保険は既得権として企業のピンチの時に威力を発揮すると思います。今一度手元の保険契約を見直して、解約、減額、払済、契約者貸付を検討してみてください。

◆ コロナ禍での欠損金の繰戻還付、まとめ。

欠損金の繰り戻し還付は、資本金が1億円未満の中小企業に限られていましたが、コロナ禍の景気悪化を受けて資本金1億円から10億円までの中堅企業にも欠損金の繰り戻し還付が適用できるようになっています。

多くの中小企業や零細企業の資本金はもっとずっと少額ですから大多数の中小企業に欠損金の繰戻還付は適用可能だと思います。

ただ、この恩恵を受けるためには、税務署に対して還付申請を提出する必要があります。やはり税理士の先生に相談されるのがよろしいかと思います。

保険の営業をやっているといろんな企業にぶつかります。景気のよい企業だけでなく、見かけ倒しの実質赤字企業もあります。保険の話だけでなく、幅を広げてアドバイスや財務を改善するヒントになる情報の提供も有益です。

経営者は、多くの場合孤独ですし、あまり人を信用しません。特に社内の人間の言うことは、その社員にとって都合のよい話ではないかと、まず疑ってかかります。ところが、外部の人間の意見は、あっさりと取り入れたり参考にしたりすることが多いものです。保険営業の切り口としては、お客様に有益なインプットをどれだけ与えられるかいうことに尽きます。それと忘れてはいけないのは土俵に乗るためのGNP(義理・人情・プレゼント)です。

たとえ相手がそのことを知識として知っていたとしても、そのことを整理して情報を提供すると知恵が一歩進むということがあります。知っているから実践しているまでの間には、理解の深度に応じていくつもの階層があります。わかりやすく言うとわかったつもりで実のところわかっていない、それが知識の正体です。

コロナ禍での欠損金の繰戻還付は、苦しい中小企業にとり大きな助けになる情報であることは間違いありません。

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