定期保険を法人契約すると20年定期で十分価値がある全額損金。
定期保険とは一定の期間、死亡保障を確保するための保険です。期間が終われば保障も終わり満期金はありません。いわゆる掛け捨てと言われる保険です。途中で解約すれば、わずかばかりの解約返戻金があります。20年定期保険では、解約返戻率が50%以下になります。
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◆ 法人の事業保障を低コストで考えるなら短期定期保険。
事業保障を低コストで確保するには、短期の定期保険は、それなりに適切な保険といえるでしょう。保険契約は終身であったり、30年、50年であったりが当たり前ですから、20年間の保障を買う定期保険は短期に属します。
短期の定期保険では貯蓄性はあまりなく、一定の期間の保障を買うという割り切った考え方です。
短期の定期保険では、貯蓄性がありませんから、保障に対する保険料だけになります。節税保険で巨額の保険料に慣れていると、拍子抜けするくらい安い保険料で大きな保障が確保できます。
しかも最高解約返戻率は50%以下ですから、全額損金にできます。本来、保障にあてる保険料は、損金が当たり前なのです。
■法人保険の目的の第一は事業保障という当たり前を噛み砕くと。
◆ 国内生保の20年定期の事例。
法人で事業保障を目的とした、保険期間が20年以内の短期の定期保険についての話題です。解約返戻金がほとんどないと申し上げましたが、一応ピーク時期があり単純返戻率で29%前後と低いながらも、解約すればいくばくかの解約返戻金が出ます。
国内生保に依頼して、被保険者42歳、男性で20年定期保険の提案書を作ってもらいました。
解約返戻率の推移と損金算入割合は図の通りです。法人税基本通達9-3-5の2に従う場合の損金算入推移は、全額損金となります。
■20年定期保険シミュレーション
保険会社:国内生保
種 類:定期保険
期 間:20年
被保険者:43歳・男性
死亡保険金:1億円
年間保険料:526,700円
最高解約返戻率:29.0%
経理処理:全額損金
定期保険で一切の特約を付けずにシンプルに20年定期保険を作ると、上記のような解約返戻率の推移になります。最高解約返戻率が30%以下ですから、全額損金できます。当然、課税繰り延べ効果はありません。
節税目線で見ると、まったく妙味がないように見えるのですが、もともとの保険契約の目的は事業保障だとすれば、目的にかなった低コストというメリットがあります。
年間保険料が50万ちょっとで、1億円の死亡保障が確保できます。保険で節税とか資産運用を考えずに、事業保障だけを担保すると、その保険料は全額損金とすることができます。保険料も驚くような安さになります。
解約返戻金や満期金に期待すると、貯蓄性がある保険になり、保険料がその分お高くなります。保障を買うだけなら、保険積立金に計上し、税金を払ってまで保険で運用することを考えなくてもよいということです。
保障は保障で低コスな定期保険で確保し、資産運用はもっと効率の良い設備投資や債券などで運用すればよいのです。これからの時代の考え方はこの割り切りがとても大事です。
◆ 短期定期保険を法人が全損でかけるメリット、まとめ。
全額損金として費用化できるということは、保険に入るために税金を払わなくてよいと言うことです。有税で積み立てしないなら定期保険でよいのです。
目的をはっきりさせると、保険メリットの見え方や役割がはっきりします。解約返戻率が高いと言うことはそれだけ余分に保険料を払っているだけです。
解約返戻金にばかりに目がいくと、保険の役割や目的が曇りがちになります。目的がはっきりしていれば、その機能に特化した保険を選ぶことができます。
企業の状況や経営者の価値観によって、考え方分かれて当然なのです。
かつての様に全損保険はなやかなりし頃とは違い、損金算入も条件が厳しくなりました。それだけに目的によっては、20年以内の全額損金定期保険も十分価値があるということを申し上げたかったわけです。
・定期付終身保険の考え方。
節税保険の締め付けが厳しくなり、保険業界も保険の本質に立ち返帰れば、提案すべき方向が見えてくるのではないかと思います。課税の繰り延べを目的とせず、資産運用を考えずに、単に保障を目的とするなら、当然保険料は安い方がよいはずです。
もし保障と資産性が欲しいのであれば、保険料が全額資産計上になりますが、終身保険という選択肢も当然意味をもってきます。定期保険と終身保険を組み合わせるということも検討してよいわけです。
定期付終身保険という保険商品があります。まさに定期保険と終身保険のメリットを組み合わせた保険商品として見直されてくるように思います。
本記事での主張は、短期でかける事業保障目的の定期保険も、見方を変えると十分価値があると言えると言うことになります。
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