法人契約のがん保険で従業員のがん死亡保険金を会社が受け取る奇々怪々。
法人契約のがん保険にもいろいろ矛盾があります。死亡保険金の受け取り方が難しいのです。
役員なら委任契約ですからがん生命保険の被保険者になるかどうかは自分の意志で選択できるでしょう。しかし雇用契約の従業員にはがん保険の被保険者となることを拒否することは実情として難しいと思います。
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がん保険でも法人の節税を主眼としたものはガンの診断給付金がなくて死亡保険金が巨額になっています。
それもこれもがん保険の保険料を肥大させるためと考えて差し支えないと思います。ふつうの感覚では保障を買うわけですから保険料は安い方が良いのですが、法人の節税保険では保険料が多額になり解約返戻率がよいものが使い勝手がよいのです。
法人が生命保険で節税を考えるときには利益に釣り合う保険料が必要になるからです。その結果、節税では思惑通りにことが運びますが、被保険者たる従業員は退社したり病気になったりします。
被保険者が退社したときはがん保険をできるだけ引っ張って損のないところで解約するほかありません。
◆ 問題なのは従業員がガンに罹患したときです。
がん保険の死亡保険金という問題が出てきます。
本人が治癒すれば詳しい事情を説明せずに診断書と保険金請求書にサインしてもらうことになります。
ところが従業員がガンで死亡したときはどうでしょう。
養老保険のハーフタックスなら死亡保険金は遺族の受取りです。でもそれ以外の法人保険は普通、入院給付金も死亡保険金もすべてが法人受取りとなっています。
またがん保険は一括告知などという高度なテクニックで従業員本人に知らせることなく加入が可能なのでなおさらやっかいです。
N生命などがんの死亡保険金が2000万円だったりしますから半端な額じゃありません。
姑息ながら手の内を空かさずに49日が済んだころに死亡退職金の原資になりますとか何とか遺族に説明し死亡保険金を受け取るための死亡診断書と遺族の同意を得る役割が担当者に回ってきます。
がん保険の仕組みをきちんと説明して遺族の納得が得られるとも思えないところが難しさです。下手な説明をして裁判にでもなれば勝てるとも限らないのです。
◆がん保険ですから保険金目当てで従業員をガンに罹患させるようなモラルリスクはもともとありません。
しかしやはり従業員のがん死亡で会社が巨額の死亡保険金を受取るのはどうもしっくりしません。
奇々怪々とまでは言い過ぎかも知れませんが、契約している法人にとっても遺族にとってもすっきりしない死亡保険金の受け取りは不明朗さが残ります。
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