法人保険の機能は保障、節税、財務コントロールの3つに集約できます。
機能を分類して法人保険の目的を考えると求めるものが明確になってきます。
それぞれの機能を兼ねることもありますから合わせて考える必要があります。また契約によっては解約の予定がある保険もありますからその分を保障に合算していると後で困ることになります。例えば逓増定期保険などは保険の性格上短期で解約することが前提ですから要注意です。
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1)保障とは事業保障機能です。
経営者万が一の時の資金確保が目的です。多くの中小企業は経営者の信用一つで成り立っています。金融機関に対しても取引先に対しても取引ですから未回収のリスクがあるなら取引は見合わせるでしょう。
後継者が決まっていても信用はまだまだこれからです。会社を代表する社長の万が一では一時的に売上を落としたり緊急の支払いが発生したりします。
こういう信用不安の場面を自己資金で乗り切ってこそ信用がついてきます。死亡保険金はそういう場合の緊急予備資金となります。
ただ一時的な保険金収入となりますから一年限りで多くの雑収入がでてしまいます。保険事故の2年目、3年目を見越した保険設計が必要になります。
2)節税は法人保険の目的として大きな比重を占めています。
全く見返りのないコストとしての税金を削減するのは経営として当然考えるべきものです。
法人税を払うなとは申しませんが抑制していくことが経営体力をつけることになります。節税するということは保険料を費用で落とすことです。それで利益は圧縮できます。ただ保険料を払っただけではキャッシュアウトですから戻りの計算もしておくということです。
この戻りとしての解約返戻金が法人実効税率での税引き後の利益より大きければ節税効果があることになります。この場合損金で落とした分は簿外に資金積立があることになりますから心強い味方です。
3)前項につながりますが、保険料を費用で落としたり解約返戻金を簿外に含みで持つことで緊急予備資金が役立つときが来ます。
まさに法人保険を活用して財務コントロールをしている状況です。利益がどれくらい出るか、あるいは欠損になるか、その見込に対応して法人保険を臨機応変に使います。もちろん限界はありまが、何も企図せず利益が出たままに納税するのもこの厳しい時代に経営としては芸のないことです。
上記の3項目は法人保険の機能であり目的と言えると思いますが、その延長上に社長の退職慰労金があり事業承継・相続設計があります。
きちんと最終まで計画され出口戦略として退職慰労金準備や後継者への資金移動、自社株評価を減じて後継者に渡す手法などが組み立てられて法人保険は最高にその機能を活かせます。
法人保険を設計するときには長期的な視点と同様に短期の利益をコントロールするという機動性も必要です。
金融商品としては契約ですから融通が効かないように思いますがなんのなんの、