相続税、妻のへそくりは名義預金と言う理不尽。

相続税、妻のへそくりは名義預金と言う理不尽。

へそくり:内緒の貯金

妻のへそくりはいくらためても名義預金とされ、相続では夫のものとされます。何と理不尽な話でしょうか。へそくりとは、わかりやすく言えば内緒の貯金と言えそうです。

法的にはもともと夫婦は別財産制なのです。しかし夫に内緒でこっそりためても、夫が了解していて残ったら妻にあげると言っていても国税調査官には通じません。残念ながら妻のへそくりはいくらためても、夫のものと言うことになります。

■元国税調査官から聞いた相続税の税務調査の押さえどころ。

◆ へそくりは名義預金として相続財産にもち戻し。

夫のものと言うことは、相続財産に持ち戻して相続税が課税されると言うことになります。税務調査で指摘されれば、申告漏れとして追徴課税が課せられます。

相続税ではその預金は誰のものか、資金の出所と管理やもらった妻の支配運用状況が問われます。自分名義の口座にあろうが関係ないのです。

税務署にすれば資金移動は贈与ではないですし、さらに言うなら贈与がそのまま贈与税ということでもありません。

課税当局の立場で言うと、贈与税は形式だけではなく実体重視になります。税務上で言えば不動産や株式は対価を払わずに名義を変えたらそれは贈与ですが、預金は名義を換えても贈与ではないというわけです。

ほとんど庶民には理解できない一方的な理屈です。贈与というならば通帳や印鑑カードは自分で持ち、そのお金を自由に使えていることが必要です。またもらった人が、住所変更や改姓届をきちんと銀行に届けていること等が問われます。

■相続税調査は8割NG、元国税OB税理士にツボを確認。

◆ 相続における贈与の3要件は。

贈与契約書があること。

印鑑・通帳は本人が管理し自由に使えていること。

贈与税の申告納税がなされていること。

全くなんという手間でしょうか。しかしここまでやっておくと税務署はぐうの音も出ません。

ただ税務署の質問検査権は強力です。警察の取り調べの様な場面になると、残された奥様が抗弁できるはずもありません。(税理士がいれば助言してくれますが。)

相続税は税務調査の確率が1/3そのうち8割以上が申告漏れを指摘されていますが、その多くは名義預金です。

税務署は家族の通帳も含めて、お金の動きはすべて把握しており怪しいところだけを疑いの目をもって確認してきます。

■配偶者を生命保険の受取人にすると二次相続がヤバいことに。

◆ 相続税で妻のへそくりは名義預金、まとめ。

へそくりを名義預金と言われないためには、どうすればよいのでしょうか。へそくりのたびに贈与契約書を書いて保存すべきなのでしょうか。そんなことをしていれば、それはへそくりではありませんし、家計内でいちいちできることでもありません。

本来、贈与とは「あげる」と「もらう」の合意があれば、贈与契約書などなくても成立しています。へそくりの難点は、贈与に対する合意が確認できないところに問題があります。

名義預金は、妻だけでなく子や孫のときにも指摘されることがあります。

親や祖父の思いやりで子や孫名義の預金通帳を作り、定期的に贈与しておくと言うことがあります。贈与は110万円までは非課税ですから、その金額で贈与を繰り返せばかなりの額を贈与できます。

しかし親や祖父の独りよがりで、もらった方の自覚がなく通帳や印鑑を親や祖父母が管理していれば、やはり名義預金とされます。

子や孫がもらったお金を自由に引き出しつかっていれば、問題なく贈与です。妻の場合も、正々堂々へそくり宣言をして、好きなものを食べたり服を買ったりすれば、名義預金などとは言われないかもしれません。

でもそれでは、へそくりと言う妙味がなくなるかもしれません。まったく名義預金とは調査されるほうも調査する方もきっといやなものでしょうね。

相続争いは譲れない、欲得をさらけ出す深い理由。

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