相続時精算課税制度の節税効果を庶民視点で徹底検証

相続時精算課税制度の節税効果を庶民視点で徹底検証しました。

税理士さんに相続税対策を依頼するような資産家ではなく、日頃は税理士さんも税務署にも縁がない一般庶民の立場での相続時精算課税制度の使い道にフォーカスしました。

もともとサラリーマンというか雇われの身の上では相続税の心配をするほどの資産もなく、税金は源泉徴収で有無を言わさず召し上げられていますから節税意識すら持たないのが庶民です。CIMG2033

その庶民にとれば小難しい相続時精算課税制度も、厳めしい税務署も縁遠い存在と言えるのではないでしょうか。

自分の親からまとまったお金を援助してもらってもそれで贈与税がかかるなど思いもしません。人から、親からの援助にも贈与税がかかると聞きつけて一生懸命に「贈与税 時効」で検索をかけながらため息をついているレベルの方の一助になればと思います。

◆お金や資産の所有者が変わる時は売買でも贈与でも税金が絡んできます。

少額は問題にならないのですが、一年に合わせて110万以上(もらう人単位なので60万ずつ両親からもらうと110万円を越えます。)なら贈与税の納税義務が発生します。実際は現金で小分けすればわかりにくくなりますが、後生大事に銀行口座に入れてしまうとバレバレになってしまいます。

◆生命保険の名義変更をしても贈与になります。

生命保険の契約でも何も考えずに名義変更してしまうこともあります。かんぽ生命で親が自分を被保険者にして養老保険をかけてくれていれば、契約者は親ですが満期になれば子供名義で再契約することもよくあります。

親から自分に名義変更され満期になって満期金を子が受け取ればまぎれもない贈与です。100万円以上なら保険会社から支払調書が税務署に生きますから隠しようもないところです。

ただし名義変更をしただけでは贈与になりませんし税務署も関知しません。保険金を受け取ったり解約返戻金を受け取ったとき、その時から贈与の事実が発生します。残念ながら名義変更したところで時効は開始しないのです。

相続時精算課税制度で相続税は節税できない。

以前のブログで相続時清算課税制度には節税効果はないという説明をしてきました。相続税の節税ということでは残念ながら役に立たない仕組みです。

相続税は自分には関係ないからとお思いの方には諸注意があります。平成27年から相続税が改正されて基礎控除が大きく減額されました。基礎控除は5000万から3000万に、一人当たりの控除額も1000万から600万までとなり配偶者一人子供2人の標準的なケースでは基礎控除合計で8000万から4800万まで下がりました。

これは庶民にとってもかなり危ない数字です。家屋敷から株式、ゴルフの会員権まですべて合わせて4800万以下でないと相続税対策が必要になるということです。

せっかく庶民のための相続時精算課税制度の使い方を考えようというときに、はからずも相続税がかかることになれば、悲しいかな贈与税の節税狙いが意味をなさなくなります。

相続時精算課税制度は節税できる仕組みではない。

◆それでも相続税のかかる人は6%以内、残る94%の人こそ相続時精算課税制度。

相続税の増税で相続税がかかる人が4%から6%に増える予測があります。

増税になっても相続税がかからない残る94%の庶民にどれだけ資産があるかわかりませんが、110万以上を贈与すればやはり贈与税の対象になります。小金を何度もあげるほうが感謝されることは間違いないのですが、一時的にまとまった援助が必要な時があり、また住宅ローンなどはまとめ返済できれば大きな節約にもなります。

ここでの出番が相続時精算課税制度というわけです。手間はかかりますし手続上のハードルも高いですがきちっとした手順を踏んで贈与税の申告をしておけば後の憂いはなくなります。贈与税の時効も心配することもなくなります。

相続時精算課税制度の意外な使い道があった、その手でローン完済!

◆税務署は甘くない、銀行口座の動きはすべて把握しています。

税金は自己申告制ですから知らん顔すれば無事すぎると思うのは甘い考えです。税金は自主的に申告し支払わないと、脅かすわけではありませんが誠にえげつないことになります。CIMG2034

一般に追徴課税といわれますが、無申告加算税・延滞税などが予想されます。相続税がかからなくても、贈与税を申告しなければ裁きは同じなのです。税務署が贈与の事実を知るのは保険の場合支払調書ですが、銀行に照会をかければ銀行は洗いざらい報告します。残念ながら、大金の動きは隠しようがないといったところです。

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◆相続税がかからない庶民には贈与税を回避する意味がある。

実際の場面では、相続時精算課税制度の使い道は事業承継における自社株贈与や資産家の特殊なケースに限られると判断してきましたが、そうとも言えない面を確認しました。

ひょっとしたら相続税のかからない多くの層がこの相続時精算課税制度の活用方法に悩んでいるのではないかという疑念が生まれました。

もともと確定申告の経験なし、税理士とも縁なし、税務署には医療費控除の確定申告をした経験があるくらいのサラリーマン世帯は相続税も贈与税も縁がないものと思いこんでいたことでしょう。贈与すれば贈与税がかかることは知っているが自分には関係がないし少々の贈与は現金で渡しておけばわかることはないという考え方があるのも事実です。

相続税がかからないと思っているのに贈与税なんてとんでもない話で

しかし親からの贈与はある程度のお年になると誰しも考えるようになります。結婚すれば親は4人、親の老後生活のメドが立つようになると生きているうちに子や孫にまとまった資金を贈与して支援をしたくなります。

子の方もステップアップ償還で借りたマンンションのローンがあと半分残っていたりする時期です。孫の学費を祖父母が支援するのは贈与にはなりませんが、子のローンの残債を親が肩代わりすれば、これはやはり贈与とみなされても仕方がないところです。

とすれば贈与税を合法的に払わずに済ませる方法は、相続時精算課税制度ということに落ち着きます。資産家用の制度かと思いきや多くの貧しき小金持ちのための仕組みだということになりそうです。

相続時精算課税制度は節税できる仕組みではない。

◆自分で申告するか税理士に依頼するか。

現金の贈与だけなら頑張れば自分でできそうですが、不動産の評価が絡むようなケースはやはり専門家に相談するのが妥当です。

特に注意すべきは不動産の贈与は登録免許税、不動産取得税、移転登記手数料等がかかります。所有権移転登記も贈与契約書も自分でやれば可能ですが税金関係は必然的にかかります。CIMG2085

ただ庶民サラリーマンは日々忙しく自分の時間もままならない中で結構な手間を要します。お金は少々かかりますが専門家に依頼するほうが安全確実ではあります。所有権移転登記は司法書士の分野になりますから税理士を通じて依頼するなどの方法を考えてください。

相続時精算課税制度の使い道マトリックス。

◆まとめ

実は相続時精算課税制度の情報サイトは山盛りあります。簡単にまとめているところもとことん詳細に説明しているサイトもあります。きれいに図示しているところもあります。そちらで検索して情報を仕入れていただくほうが正確でわかりやすいと思います。

私が[hokenfp]としてどうしてもわからなかったことをまとめました。どのサイトも漏れなく良くまとめてありますが、視点が違うのです。資産家相手の切り口なのです。

相続税がかかる人を対象に情報発信をしなければビジネスになりませんから仕方がありません。スポットだけの素人小金持ちの贈与税の申告がビジネスになりにくいのは無理からぬところです。

孫への相続時精算課税制度の適用は踏んだり蹴ったり。

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