孫への相続時精算課税制度の適用は踏んだり蹴ったりということもあります。
孫はとりたて可愛いものです。特に爺婆にとれば自分を慕ってくれれば、尚可愛くて目の中に入れても痛くないと言う形容がなるほどと納得できたりします。できれば手元に資産でもあれば孫に残してやりたいのが爺婆心と言うものです。
確実に孫に渡す方法は3つあります。
◆生命保険の受取人を孫にする。
一つは生命保険の受取人を孫にするのです。被保険者を孫の親にして契約します。自分の相続が発生したら保険契約はそのまま親が契約者となり相続で引き継ぎます。親が亡くなると保険金が孫に入ります。30年先か40年先かわからない遠大な3代にわたる保険設計ですが、そのころ孫はそこそこのよい年になっており爺婆のお金を今自分が手にしていることに感謝出来るでしょうか。幼い孫によくよく言い聞かせておくことです。
◆教育資金の一括贈与を使う。
二つ目は教育資金の一括贈与にかかる非課税措置です。ご存じかと思いますが1,500万円まで一括贈与出来る仕組みが出来ました。やたら細かいルールがあって金融機関に急所を握られて、あほらしさが先立つ仕組みです。ええかっこして貧乏人が使う意味はあまりありません。唯一相続税がどっさりかかりそうな人は早めに財産をまとめて減らしておくと言う意味で使えます。孫が4人いればまとめて6000万の財産を一気に減らす効果がありますからね。(注:この制度は平成31年3月31日まで延長されました。)
しかしながら、爺婆が孫の教育資金を出してやるのはもともと税金がかかる性格のものではないですから、贈与という意味では慌てないことです。必要な時に必要なだけ援助してやれば贈与税の心配もないし、あげる都度感謝され喜ばれるというものです。
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◆相続時精算課税制度で孫に一括贈与する。
三つ目は相続時精算課税制度を使って一気に孫に2500万円まで贈与してしまいます。平成27年からの新しい条件ですが孫の年齢は20歳以上となります。
今回の話題は孫への相続時精算課税制度の適用はデメリットがやたら多いのでご注意を、と言う趣旨です。
一代とばして孫に贈与すれば相続発生時には代襲相続として相続税が2割加算されます。一回相続税を飛ばしていますから仕方がないですが損な気がします。それに孫は相続税を払わなければならないのに法定相続人ではないから相続の基礎控除一人当たり500万円が使えないのです。孫への相続時精算課税制度を使った贈与はもう一つうまみがないのでお勧めしません。
それより暦年贈与でぼちぼちあげてください。それで自分がやばいと思ったら一気に相続時精算課税制度を使いお孫さんに贈与してください。それならわかります。
爺婆にとり相続時精算課税制度を選択すると一番のデメリットは、それ以後かわいい孫におこずかいをあげられなくなることでしょうか。あげれば金額の多寡にかかわりなく2割の贈与税が発生しかつ贈与税の申告という誠にうっとうしい手間が発生するのです。
現金ならわからんでしょうから小まめに小分けしてあげてください。つまらん制度に先走りせずに、盆暮れに50万ずつでもあげてみてください、どれだけ子や孫に喜ばれるか。
不思議なもので自由にならない大金や使途の決まっているお金をあげるといわれても、またその金額が大きくてもそれほどうれしくないのです。目の前にある10万円のほうがよほどうれしいのは誠に不思議なことです。贈与のコツは喜んでもらうこと、ツボを外さなければお線香の一本もあげてもらえるというものです。
逆の見方もあるということです。ご参考までに。
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