生命保険、全損商品のお値打ち比較を直近で論じると。
一時期生命保険の全損商品が壊滅状態になった時期がありましたが、生命保険会社各社の開発努力で新たなスタイルの全損商品が注目を集めています。
全額損金の魅力は解約返戻金の率によりますが、一時的に課税を先送りした利益をそっくり貯金できると言うところです。こういう言い方はあまりよろしくありませんが、中小企業のオーナー社長の本音は簿外に緊急予備資金の確保です。
実効法人税率が下がったとは言え33.8%とすると66.2%を越える単純返戻率があれば将来的な出口対策により幾ばくかの節税効果も期待できます。
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何よりの価値は資金が必要な時に必要なだけ取り崩して使えるということです。
その時に減価償却などの費用があれば毎年減額して解約返戻金から出る雑収入をあてこんでいくことができます。
出口の費用対策ができていれば利益を有効にコントロールできることが大きいのです。
ただ難点もあるので生命保険商品としての特性を理解して選ばなくてはなりません。
企業にとっても高額な費用になりますから義理人情で判断するようなことは避けたいものです。
現在の全損生命保険の難点をあげると
① 中途半端な時期に解約返戻率のピークがくる。出口対策が取りにくい。
② 若い被保険者でないと返戻率がよくないのに被齢が若いと保険料が伸びない。
③ 女性の被保険者は契約返戻率が低い傾向が強い。
④ 複数の契約を組み合わせると解約時期の管理が難しくなる。
⑤ 引退が近いような年齢の経営者では解約返戻率が悪くなる。
返戻率の山のカーブにも各社の癖があり慎重に見極めたいところです。
出口対策として役員退職金を考えるのは、現在の商品では解約返戻率のピークが中途半端で組みにくいということになりそうです。
契約されるケースを見てみると、予想外に利益が出そうなのでとりあえず先送りしたいという一時しのぎ型の契約が多いように思います。
しぶとく生き残った全額損金の生命保険ですが、うまく回すには後継者としての若い(できれば40歳までの)被保険者が必要ですし、保険料を伸ばすためには各社組み合わせ設計も必要になります。
ということは解約時期の管理がさらに難しくなるということです。
もともと保障目的ではない法人契約の生命保険ですから返戻率のピークを逃してしまうと意味をなさないばかりか、もっとひどい結果にならないとも限りません。
全損定期保険取り扱い生命保険会社
エヌエヌ生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
AIG富士生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
大同生命保険株式会社
一応使い勝手の良い順番に並べてみました。他にご意見はあろうかと思いますが、ご参考までに。
決算対策にこだわらなければ、法人契約の生命保険としてはやはり半損で処理できる長期平準定期保険が妥当なところになるように思います。