役員退職金をOB税理士に相談するとどうなるか、事例です。
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◆OB税理士とは何者か。
OB税理士とは税理士と言いながら税務署のOBです。
税理士試験に合格した方ではなく長年税務署に勤務すると自動的に税理士を名乗ることが許されます。
言わば定年後の生活のために与えてもらったご褒美資格です。
OBの方に限らないのですが、世の中の税理士さんのうち税理士試験免除で税理士資格を得られた方が半分以上というから驚きです。
庶民には理解できない裏構造と言わざるを得ません。とは言え、OB税理士の先生も人柄次第とは言えます。実際課税当局の実情には明るく、顔もきくように思います。何せ元税務署長ですから、税務署のお偉方にとれば、煙たくてもコケにはできません。
いずれ世話になるかもしれないからですね。
◆優良申告法人は楽ではない。
優良申告法人では税務行政に積極的に協力することがわが身を守ることになりますから、納税協会から拝命した役職は100%出席し点数を稼ぎます。
もちろん、OB税理士の先生も二段構えで受け入れます。
顧問税理士がいても、それ以外にOB税理士の先生と顧問契約を結ぶのです。
日常の会計報告会やら決算処理などは一般の顧問税理士が担当し、当局との交渉ごとはOB税理士の先生の出番になります。
もう今ではなくなりましたが、国税から直接顧問契約のお願いに来られます。営業力の無いOB税理士の先生ですから、そこまでお世話しているわけです。
◆OB税理士の先生はどっちの見方。
上のリンクに書きましたが、OB税理士の先生は少々アドバイスの角度が違います。
どうも当局の手先か顧客の味方かよくわからない方がいらっしゃいます。
何人かの先生とお近づきになりましたが、当局の内情はよくご存知です。しかし税法や相続事業承継のテクニック、保険や節税は詳しい方が少ない印象です。
というか経験がないので専門外という感じになります。
税務署内では個人課税部門、法人課税部門、資産課税部門に担当部署が縦割りに分かれているそうで、その結果得意分野は限られています。
それなら勉強して調べてくればよさそうなものですが、検索テクニックも、PC操作も疎い方が多いのです。何故かなと思い聞いてみると、署内では規律が厳しくメール禁止、インターネット禁止で定期的な転勤がありますから、情報に疎遠になるようです。
一般税理士と違いアドバイスも課税当局の立場を代弁しています。
相談するにも細心の用心が必要になるのです。(変なことですが、OB税理士にはすべてをオープンにして相談するにはためらいが残るのです。)
それでも、異なる視点、当局の見方、考え方は知っておく価値がありますから。OB税理士の先生のアドバイスも取捨択一しながら聞けば価値があります。
◆役員退職金に上限はない。
役員退職金をいくら払おうが基本的には企業の自由です。
ただ役員退職金として損金算入できる範囲に制限があると言うだけです。そういう意味ではお得な話ではないですが、税金を払いつつ役員退職金を支給することも可能です。
役員退職金に上限はないと申し上げていますが、課税当局が認めた範囲を越える支給額は有税扱いになるということです。
◆役員退職金をOB税理士に相談すると。
役員退職金をOB税理士の先生に相談したことがありますが、要するに頭が固く、知識も税務署内での偏ったものになっています。
そこへきて元税務署長ですからプライドも高いので言い出したことは訂正できないのです。
事例で言えば、
役員退職金の算定基準は「最終報酬月額×役員在籍年数×功績倍率」で考えるというのは当たり前の算式ですが、功績倍率には功労金を含めて考えるのだそうで、倍率はOB税理士の先生が当局に事前相談に行き決めてくるそうです。
ところが、会長職に退いて役員報酬を半額に減額すれば、その時点の最終報酬月額が基準になるとのご宣託です。
それまで役員退職金をもらっていなければ、最終報酬月額にこだわらなくても、過去3年の平均値、過去の最高額、過去の加重平均額などの考え方はいろいろあります。
もちろん会社が儲かっていてそれだけの功績がある場合ですが、合理的に説明がつけば最終報酬月額に縛られなくても良いという考え方はネット上にあふれています。
しかし課税当局が頭が固いのか、それともOB税理士の先生の頭が固いのかわかりませんが、問合せをしても最終報酬月額にこだわる回答しかいただけないことがありました。
ただ税務署への事前相談はOB税理士の先生自ら行くので任せてほしいとのこと。
◆まとめ
OB税理士の先生は企業側の意図する意味が理解できないのか、無知なのかは知りませんが、意図した方向に話が進まないのには困りものです。
中小企業のオーナー経営者にとれば会社は自分と一心同体、これまでしっかりため込んでいて、相続税の資金の心配もなければ、役員報酬でもらうより会社に資金を残しておこうという親心から役員報酬を半額にまで減額したわけです。
しかし、もらう貰わないは別にして、役員退職金として受け取れる金額は最終報酬月額の掛け算になるのでは納得できないところです。これまでの功績を無視されたような気がしてもおかしくはないのです。
OB税理士先生のこの辺のかみ合わなさ、というかミスマッチは困りものです。ただ課税当局に事前相談は必須です。この辺では妙に確実なのです。
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