ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎ!!

ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎの法人ガン保険。

CIMG3342一般の保険感覚からすれば、法人契約のガン保険は理解しがたいところです。会社は法人といっても人ではないので倒産はしますが、ガンになるわけではないのです。

被保険者は経営者や役員、社員など生身の体を持っている人間に限ります。会社は被保険者にはなれなくても保険料を負担する契約者になることはできます。

経営者や社員がガンになったらガン保険の診断給付金や入院給付金を会社がいくばくか受け取ってもそれに意味があるのでしょうか。あるいは経営のリスクヘッジになっているのでしょうか。

実は法人ガン保険は見た目以上に妙味があります。その辺を最近のガン保険の新しい傾向をふまえて解説します。

ガン保険の名義変更を突き詰めると見えてくるツボについて。

◆ 法人契約のガン保険は使い道あれこれ。

法人が契約するガン保険は一般の個人が契約するガン保険と仕組みは似ていますが、契約の目的や内容から見ると別物のガン保険です。

大きく二分することができます。一つは社員を被保険者とした福利厚生を表向きの目的にしたガン保険です。表向きというのは、半分以上の目的が財務コントロールにあるからです。

かつては全額損金で保険料を処理できた時代がありましたが、主目的は高率の解約返戻金をあてこんだ節税目的でした。その後1/2損金しか認められなくなり損金算入のうまみが半減し衰退しています。

もう一つは経営者やその一族を被保険者したガン保険です。会社で保険料を負担させておきガンになりそうになったら経営者個人に名義変更譲渡します。それゆえ解約返戻金は少ない方が買い取りやすいのでゼロか少額に設定されています。

前者は保険料が多いほど、そして解約返戻金が多いほど使い道が広くなるのですが、後者は保険料が少なくてしっかりした内容、解約返戻金はできるだけ少なく、できればゼロがよいと言うわけです。

生命保険の解約返戻金は自由に使えるがガン保険の保険金は。

◆ 経営者のガン保険を会社出かける不思議。

経営者のガン保険を会社でかける目的は、名義変更して経営者の個人契約に変更することとは前項に書きました。会社でかける保険というのは福利厚生を目的としたハーフタックスの養老保険以外は保険金の受取人は会社に
設定されています。

そう考えると会社でかけるガン保険は経営者がガンになり経営の前線を離れる間の資金繰りということもあります。零細企業ではガン保険の保険金が資金繰りの足しになることもあります。

会社の役に立たないことはないですが、それでも普通の感覚では経営者を被保険者とした法人契約のガン保険はしっくりこない不思議な商品です。事業保障を考えるならもっとしっかりした保険商品はいくらでもありますから。経営者の役得保険といえるのではないでしょうか。

退職社員の解約はいつすればよいか、悩ましい問題でもあります。

◆ ガン保険は医療費保険、全額損金が認められない理由。

医療保険は基本的に損金算入ができるはずです。ガン保険も以前(H24以前)は全額損金ができました。しかし終身払いのガン保険はガンの発症率が高まる高齢時代の保険料を平準化して、被保険者の若いときから高額の保険料を払うことになりましから、途中で解約すると前払いした払いすぎ保険料が戻ってきます。

全額費用化して損金処理されているのに、簿外に解約返戻金という形で資金が蓄積されます。これは経営者にはおいしい話ですが、課税当局にすればゆゆしき節税行為です。それで平成24年のガン保険通達で、保険料の前払い期間においては全額損金を認めず、1/2損金とされたのです。

そのとき一つの落とし穴ができました。つまり既契約は全額損金の権利を維持できることとなったのです。目的が全額損金の節税ですから1/2損金では保険を新たにかける気がしません。既契約は残り新たな社員には付保しないと福利厚生のガン保険としては矛盾がもちろん生じています。これはこれから問題化するのではないかと思っています。

◆ 法人契約のガン保険は解約返戻金〇円でもお得な理由。

最近では経営者を被保険者としたガン保険で解約返戻金ゼロ円というものがあります。もCIMG3343ちろん短期払いで解約返戻金が少額になっており、すっと同じ10万とか20万とかになるガン保険もあります。

単純に考えれば解約返戻金が少なくなれば保険としての資産価値がなくなりますから契約者としては損に違いないのですが、保障は終身で確保できていますから保険金を受け取る人には損はないわけです。

経営者に名義変更すればガンになったとき保険金を受け取るのは経営者になりますから、会社としてはいくばくかの損失ですが、儲かっている会社では実質お得なわけです。

◆ ガンになったら保険料免除、〇円で名義変更はやり過ぎ!?

保険料免除特約というものがあります。業界用語ではP免(ぴーめん)などと言いますが、ガン保険にもガンと診断されたら以後の保険料は不要という特約があります。このP免と解約返戻金ゼロ円をうたい文句にしているガン保険があります。

保険営業の説明ではガンと診断され保険料が免除になったら、ただで終身のガン保険が手に入りますよと言うわけです。確かに契約者を会社から経営者個人に変更しても費用は発生しないことになります。

単純に考えておかしな話です。普通はガンと診断される前に有償で譲渡するものです。それならわかります。ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更はやり過ぎではないでしょうか。

課税当局の回し者ではないですが、無料のガン保険から受け取った保険金は役員賞与では、という疑念がぬぐえません。

せめて、いくばくかでも解約返戻金があり、ガンと診断される前に会社と売買するならわからないこともないです。人間ドックで精密検査を指定されたら経営者個人に名義変更し、結果が白ならまた法人に契約者をもどします。手間はかかりますが、安全なように思います。

法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ まとめ

ガン保険もいろいろな商品が発売されます。保険会社も知恵をしぼって規制の網をくぐろうとします。節税効果が高い保険商品は、売りすぎて一定の臨界を越えると通達がでて規制の網がかかります。

結局その繰り返しの中で、既得権を押さえながらいかにうまく立ち回り、簿外に資金を蓄積するかが大事です。ガン保険も使い方次第では有効な金融商品となります。ガンは早期発見、適切に治療すれば治る病気になりました。しかし繰り返しになりますが、ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更は話として都合がよすぎます。仮に金融庁が認可しても課税当局が容認するとは限らないのが、縦割り行政というものです。

養老保険ハーフタックスプランの功罪。

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