高齢者の生命保険、見直しのタイミングと重要な注意点。

高齢者の生命保険、見直しのタイミングと重要な注意点。

高齢者とは、何歳からと問われると答えが分かれます。現役世代と引退後世代を分ける仕切りが、60歳から65歳、さらにはその上の世代に移動しています。

生命保険の見直しということで考えると、子供が独立し必要な保障額が減少する60代以降を、高齢者と定義してよさそうです。

高齢者の生命保険の見直しのポイントとタイミング、エクセル管理の方法と知らないと恐い重要な注意点を整理しました。また、相続に関係しますので、保険のことを家族で話し合う機会が大事になってきます。

 ◆ 高齢者の生命保険を見直す3つのポイント。

高齢になると、子が独立し親のリスクが変わってきます。リスクが変われば、生命保険を見直すタイミングです。高齢者の生命保険を見直すポイントを3つ挙げました。

①死亡保障の減額または解約による、保険料の軽減。

親が相続のことを考える年になると、生命保険はたいていアンバランスになっています。もう子も独立して孫もできていると思いますから、配偶者の生活さえ確保できれば死亡保障はいらなくなります。この場合、解約や保障額の減額を検討します。

保険料が負担になっているなら、払込みが終わっていない保険を払済みにするなど、状況に合わせて見直す必要が出てきます。払済みとは、保険料の支払いを打ち切ってそこまでの保険料で残せる保険を考えます。

生命保険は人生のライフスタイルや時期に合わせて、見直していくことで無駄なコストが削減できます。高齢者の老後生活においては、保障額と保険料のバランスを考えて、保障額を下げて保険料負担を軽減することが生活の安定につながります。

②保険金受取人の見直しと変更。

保障額の見直しと同時に、大事なことは受取人の見直しです。保険契約時にはそのときとりあえず、配偶者や子を受取人にしていると思います。

時の経過とともに、受取人を見直す必要が出てきます。たとえば相続税がかかるような場合、受取人が配偶者になっていれば、二次相続の課税対象になりますから子に変更します。また受取人が長男ばかりになっていれば、相続のバランスを考えて他の相続人に変更することも考えます。

③医療保険は解約してもガン保険は継続。

医療保険は、特殊なケースを除いて採算割れになると考えてよいと思います。多くの場合、払う保険料より、受け取る給付金の方が少なくなります。医療費は健康保険でカバーされ、さらに高額療養費制度がありますので、それほど心配することはないと思います。

ただしガン保険は、できれば継続することがおすすめです。健康保険が使えない高度先進医療や退院後の通院費用が大きくなりますので、注意が必要です。

 ◆ 保険契約の明細をエクセル管理。

保険契約の管理はエクセルがとても便利です。実は財産目録管理でもカード管理でも数が複数あるものは、エクセルに整理するとすっきりします。保険契約をエクセルで管理する場合に大切なのは、管理すべき項目です。

参考までに項目の例をあげておきますので、試しに情報を整理してください。頭の中もすっきりすると思います。エクセルで財産目録を作成する手始めとして、保険契約を整理してみてください。

項目としては下記のものがあれば大丈夫です。

保険種類(例 終身保険、養老保険、定期保険、がん保険、年金保険etc.)
保険名称(例 長割終身保険、みらいのカタチ、ジャスト健診断割、キュアetc.)
契約年月日(例 契約応当日を西暦で表記、2005/7/28etc.)
契約者(例 保険の所有者、保険料を支払っている契約者名を記載)
被保険者(例 加入するとき診査を受けたり告知書を書いた人)
受取人(例 契約者が指定した保険金受取人、2親等以内の血縁者)
年間保険料(例 月払保険料、半年払保険料、年間保険料、一時払保険料)
保険金(例 死亡・高度障害保険金額、保障額)
終身保険金(例 一生涯保障される保険金、定期保険部分を除く)
特約(例 払込免除、高度先進医療、医療特約、介護保障特約etc.)
払込満了(例 保険料払込が終わる年齢、65歳払込満了、終身払込etc.)
証券記号番号(例 N36572435、356-253647等各社毎の保険証券に記載)
取扱保険会社(例 ニッセイ、オリックス生命、メットライフ生命etc.)

生命保険契約の整理はある意味で相続準備ですから、みなし相続財産として引き継ぐ保険契約(相続時に保険契約として相続する保険)の区別もされるとなおわかりやすいと思います。

 ◆ 注意事項、保険契約者の変更は贈与。

保険を見直すついでに契約者を変更すると、贈与になる場合があります。下記を参考にご注意下さい。

■保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

生命保険の契約者を変更すると、贈与になる場合があります。生命保険契約の名義変更に、贈与税の時効は適用されません。名義変更とは契約者変更です。保険会社との間で保険契約者を変更しただけでは、課税当局にとっては贈与したことになりません。

しかし生命保険がお金に変わるとき、すなわち解約返戻金や保険金を受け取った時点で贈与もしくは相続が発生したと見なします。税務署はその時点で保険会社から送られてくる支払調書を確認して、贈与税なり相続税なりを課税すればよいだけです。残念ながら抜け道はありませんので、名義変更は注意が必要です。

◆ 生命保険の見直しと相続の話は、お盆がベストタイミング。

不思議なもので、お盆は相続や保険の相談をするには最適な時期です。同じ家族が集まる長期休暇でも、お正月やゴールデンウイークでは雰囲気がしっくりこないのです。お盆と言えばやはりご先祖様を供養する時間があり、お精霊さんに手を合わせるおごそかな気持が満ちています。

普通の会話から相続の話になっても違和感を感じさせないのは、お盆という独特の雰囲気のせいだと思います。

過去にもお盆は家族で相続のことを話し合ったり、生命保険の見直しを相談したりするにはとても良いタイミングです。

お盆には相続の話をと申し上げておりますが、これがなかなか難しい。遺言書に書こうと考えている遺産分割の内容を話そうものなら、まだ相続も始まっていないに争族にならないとも限りません。

そうなれば生前争族とは、ありがたくない話です。争いにならなくても、相続人どうしの関係がギクシャクすることは、避けられないかもしれません。

お盆に相続の話をする場合は、相続の大きな枠組みと親の思いを伝えるだけにとどめることが無難です。詳しくは遺言書で指定することです。遺言書に指定してあれば内容に多少異存があっても、生前に聞いていた親の意向として諦めがつくものです。

 ◆ 高齢者の生命保険見直し、まとめ。

相続の話になると必ず出てくるのが生命保険です。不動産や銀行預金、債券などは誰に相続させるかを考えればよいのですが、生命保険には受取人を指定する仕組みがあります。また、生命保険金は受取人固有の財産と見なされますが、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。お盆には保険証券や保険会社から送られてくる契約内容のお知らせをしっかり読み込んで、整理しておく必要があります。

その辺は下記を参考になさって下さい。

■みなし相続財産としての保険について。

生命保険や相続の話は、やはり重い話になります。親も子も気になりながら切り出せないのです。それに相続権がない息子の嫁や娘婿(むすめむこ)まで納豆のようにウラで糸をひくようになると話が混沌とします。

相続人の憂慮をよそに、親はテキトーなことを相続人それぞれに言いつつ、日々忘却の度合いがひどくなっていくというのが大方の現実ではないかと思います。

相談とは言いながら親の気持ちをどう伝えるか、いっそ何も言わずに遺言書という選択肢も出てきます。「今年のお盆こそ相続の話を!」と申し上げつつ、無責任な自己矛盾に満ちたまとめになり失礼しました。

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