かんぽ生命の体質はノルマだけではない。

かんぽ生命のノルマ主義は甘すぎる。

CIMG3766かんぽ生命の保険の不適切販売が問題になっています。最初は人ごととして見ていましたが、社長のお詫び会見、世間の批判記事、ネットの意見などを読んでいると保険の営業というものがどういうものかわかっていないというか、何か間違っているような気がしてなりません。

保険の営業を経験してきた身の上ではノルマ至上主義が招いた不祥事とばかりは言えないように思います。かんぽ生命と日本郵政には保険の営業をする上で欠けているものがあったことは疑いがありませんが、ノルマが悪と言われてしまってはどうもしっくりこないのです。

ただ世間の批判の嵐のまっただ中ではたとえ正しい意見でも炎上してしまうかもしれませんが、一言言わずにはおれなくなったhokenfpです。

ダイヤモンドOnline
■かんぽ生命・日本郵便の「ノルマ廃止」を信用してはならない。

かんぽ生命の直営店は対法人業務に特化しています。個人向けのかんぽ生命の保険は日本郵便株式会社、要するに郵便局が専属の販売代理店になっています。かんぽ生命の営業組織は郵便局を支援する営業部と法人営業部に分かれています。

問題になっているのは個人向け保険販売の代理店である郵便局員の不正営業問題と言うことです。ですから正確に表現するとかんぽ生命のノルマではなく日本郵政、郵便局のノルマ至上主義が引き起こした問題であるということです。その内訳として不正の可能性が5年分で18万3000件におよぶという、何にしてもべらぼうな話なのです。

◆ 頻繁な転勤で自分の顧客はつかめない。

■かんぽ生命の異次元から解約返戻金まで実話です。

かんぽ生命の法人営業は新しい名刺ばかりが溜まります。組織的に転勤が多いのでしょうか、アポをとりに来る人はいつも違う人です。ついてくる上司も違う人です。要するにかんぽ生命の法人営業はいつも一見さんなのです。それで新規の保険が売れるとは思えません。

かんぽ生命というブランド力があっても人はよく知らない人から保険を買うことはないのです。これは日本郵政も同じで、新規契約が簡単にとれるはずもなく、郵便局も既契約のある顧客に保険の転換をすすめる営業が主流になるのではないかと思います。

いくつかの事例を見てきましたが、郵便局の保険営業とJA共済の営業は似ているところがあり、抱え込んだ固定客のお金を自社の商品の中で回していくことで維持できています。満期がくるような養老保険を回しておき、最後に自社の終身保険に送り込みます。契約者は言われるままに郵便局という信用でハンコを押しているのでしょうね。

◆ 保険販売の本質が理解できていないかんぽ経営陣。

そもそもかんぽ生命と日本郵政の社長は保険販売の本質が理解できていないのではないかCIMG3767と思います。普通の保険業界の保険営業は食えない程度の基本給に成果給が加算されるのが普通のパターンです。

保険業界で保険営業として生きていくためには、誰かからノルマを課せられるのではなく自分で結果を出して収入を得ていく以外に道はありません。契約ができなければ社内での規定の資格を維持できずに、収入が減少し転職するしかないのです。

保険業界ではやる気を出させるために尻を叩きノルマを課すことはあります。しかし保険業界にいる限りは、自分が成功するための目標はあっても、会社がノルマを課すことで結果がでるような甘い世界でもありません。保険業界ではノルマで首を絞めなくても結果がでなければ自ずと首が締まります。

郵便局の職員はやはり親方日の丸的なところが残っています。保険が売れなければ収入が激減し転職の道を選ばなければならないような過酷さはないのでしょう。中途半端な組織管理システムと反対勢力が壁になり、コンプライアンス教育をおろそかにしたノルマ主義が事態を深刻化しているように思います。

◆ 保険にノルマはなくても目標はある。

そもそもかんぽ生命の営業に新規の保険を売り込もうとする営業力を感じたことはありません。郵便局も大同小異ではないかと思います。買う側として感じたことは、ノルマに追われている営業のようにも見えませんでした。ネットの記事を見ていると実態は違うと思いますが、保険に限らず売上げ目標というバーのない営業、売上げに責任のない営業は存在しないと思います。

またかんぽ生命は保険代理店としてもいろいろな保険商品を扱えるようになっているのですが、法人営業からまだ一度も提案を受けたことがありません。自信が無いか、知識が無いか、会社から売り止めされているかのいずれかです。そういう意味ではかんぽ生命以外の保険を売るような、幅広い営業力はもち合せていないように思います。

それゆえ結果を出すためには既契約の契約転換を主力にする営業パターンがあるように思います。国内生保でもCV(コンバージョン・契約転換)が批判を受けながらも、安定的に成績を維持するベースになっていました。

◆ 人事評価制度がある限り結果重視は変わらない。

かんぽ生命も人事評価制度はあると思います。郵便局でも社員は差をつけることで管理しないと伸びません。出世意欲も責任も生まれてきません。

そういう意味で保険の営業に配属になれば、契約を獲得することが評価基準になります。これは変わりようがない宿命です。人事評価制度がある限り売上げとしての保険契約獲得という結果重視は変わらないのではないかと思うのです。

低金利政策が長引き保険商品の貯蓄性がなくなる中、先細りの保険業界で結果をだし生き残るためにはノルマと言わないにしても厳しい目標管理がなくなるとは考えられないと思います。

◆ 保険販売にもルールと仁義。

保険販売の仁義とは契約者であるお客様を裏切らないこと、正直であることです。保険営業には夜討ち朝駆け、お願い勧誘やGNP(義理・人情・プレゼント)はありますが、決してお客様はダマさないことが最低限のルールです。

転勤の多い職場では顧客との縁が薄くなりますからついつい不義理な営業になりがちですが、それだけに説明責任は慎重にする必要があります。

保険の難しいところは、個人の金銭感覚と価値感はそれぞれ違いますからメリットとして説明してもそれをお客様がデメリットととらえることもあります。営業の立場ではお客様をダマしていないつもりでしょうが、お客様の不利益を納得できるように説明しなければ、それは結果的にはやはり嘘つきと同じことです。

契約獲得が優先した結果、説明不足があったとすれば、かんぽ生命や日本郵政は保険屋として地に落ちたといわざるを得ないところです。保険を扱うものとしての最低限の責務は正直さと誠実さです。いくら強引な販売をしてもリスク管理や顧客メリットは最優先、ここを外して保険営業が生き残れることはないと思います。

誠に気の毒なのは現場で保険営業に携わる郵便局員ではないかと思います。目標を与えることと保険販売のコンプライアンス、いわゆる保険販売の仁義を教えることは別のことです。保険販売の仁義を知らずに利益優先の経営をすすめた現経営陣のお客様に対する裏切りはやはり重いと言えるのではないでしょうか。

◆ かんぽ生命、利益相反とは異なる悪質性。

生命保険販売には販売する人の立場により利益相反ということがおこります。たとえば顧客にとってよいと思える保険より、自分にとってコミッションの多い保険をすすめるような場合です。

FPにとっても利益相反問題は大きく、FPによる保険の販売をよしとしない人も多くあります。でも今回のかんぽ生命の日本郵政による不適切販売は、利益相反どころではない悪質性が感じられます。保険契約を解約させて次の保険に加入させる営業を行う場合、空白期間が生じお客様が無保険状態になるようなケース、新旧契約の保険料の二重取りを行っていたケースなどは、許容範囲を逸脱しています。信用していた契約者にとればまさに裏切り、かんぽ詐欺といわれても反論できないと思います。

経験した直近の事例で説明すると、その契約者は300万の養老保険を2件契約しており、満期を迎えわずかばかりの配当を含めて満期金が600万超銀行口座に振り込まれていました。これをもとかんぽ生命からに新ながいきくん(定額型)を提案してきました。被保険者の年齢から500万の終身保険が限度になりますが、この保険料を払込満了まで12年間支払うと保険料総額が570万(保険料は月掛、保険料は全額前払い)かかります。12年後にはめでたく500万の終身保険が残るというわけです。

基本保険料払込期間では死亡保障がありますから、保障が必要な方には意味のある提案になるかもしれませんが、その契約者は一定の資産があり生命保険もしっかりかけてありますから保障の上積みは必要ありません。

現金で所有していれば570万あったものを、おすすめに従い新ながいきくんに加入すると500万になり70万も損をします。保険商品が悪いのではなく、お客様の事情により必要な保険かどうかが変わることを知りながら、デメリットの説明を十分しないで契約を優先したと考えられます。

幸いにして低解約返戻金プランではなく、契約してから数カ月でしたので、損失が拡大しないうちに解約をおすすめしました。

◆ まとめとして「かんぽ生命には保険販売の資格はない。」

CIMG3768不適切販売と言うべきか不正販売というべきかですが、聞き及ぶ事例ではそれはどこから見ても不正販売としか言えないケースもあるようです。

実はこの手の話は日本郵政に限った話ではありません。国内生保でも批判を受けた時期がありました。保険会社はコンプライアンス教育を重視し自浄能力を身に着けてきました。

残念ながら日本郵政は、結果重視に走り自浄能力に欠けていたと言わざるを得ません。組織が巨大すぎることも原因だと思いますが、まだ半官半民の硬直した社風が残っており風通しのよい組織には程遠いように思います。hokenfpが郵便局に相続の手続きをお願いした時に感じた違和感は、この組織が日頃身近ではあるが、昔とあまり変わっていないということです。

まとめとして「かんぽ生命には保険販売の資格はない。」などと書きましたが、保険販売の郵便局員に責任があるわけではありません。もちろん原因はノルマだけではありません。どこの会社にも営業組織に販売目標は必ずあります。ノルマと言われる販売目標が問題なのではなく、保険販売するものとしての姿勢を教育することが欠如しているのです。保険販売の仁義とコンプライアンスは組織が教えないと保険を販売する職員から出てくるものではありません。

大事なことは経営者自身が教えるべきことをポーズではなく本当に理解していなければ社員はそれを見抜いてしまいます。そういう意味では現経営者の会見を見ていると、責任の取りどころを誤っているように思えてなりません。

Pocket

カテゴリー: 保険余話 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA