遺産分割協議の無期限が所有者不明土地の元凶。

遺産分割協議の無期限が招く無責任。

DSCF2217相続税の申告は10カ月という期限がありますから、遺産分割協議でもめていると間に合わなくなるリスクがあります。

また相続税で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減を受けようとすると期限までに申告する必要があります。

ところが相続税がかからないとなると申告期限を意識する必要がありませんから遺産分割協議そのものが開かれないことすら往々にしてあります。とくに評価価値の低い地方の家屋敷や田畑は分けることも難しいですが、そもそも分ける価値がありません。

その結果田舎の土地や屋敷はどんどん疲弊していき、都市部だけが高騰し、密集化します。遺産分割協議の無期限が招く無責任などと申し上げましたが、遺産分割協議など関係ない老人比率の高い田舎の貧困層は、無責任と言われようが実際なすすべがありません。

 ◆ ほったらかし相続の裏目。

田舎の土地と言えばほぼ稲作用の農地です。この田圃は農地としての利用価値がないので利益を生み出さないにもかかわらず、固定資産税や除草費用などの経費負担だけが発生するという厄介な遺産になります。相続放棄したいところですが、とっくの昔に放棄できる期限は過ぎています。

というよりもともと借金ではないですから、相続人全員が放棄すればそれで責任が免れるというものでもありません。では売ればよさそうなものですが、田舎の土地を買おうという酔狂な不動産屋もいないのです。ましてや農機も稲作経験もない世代に引き継ぐことはもはや無理な相談です。

その昔、田舎の家では田畑があれば燃料としての薪を山から取り出すために山林を保有していることが多いのですが、今や密林のようなありさまでその境界を確認することすら難しくなっています。確かに田舎の相続はほったらかしですが、その結果は結構厄介な裏目に出ることがあります。

 ◆ 耕作放棄田の無責任。

効率の悪い農地はさらに使い道が限定されてきます。一反に満たない広さ、大型農機が入れない狭いあぜ道、形がいびつで効率の悪い農地が耕作放棄田の代表です。年貢米も借り賃もいらないから耕作だけをお願いしても残念ながら引き受け手がありません。それどころかこれまでの借り手も高齢化し、耕作してくれなくなります。

田舎の農業を細々やっているのは今やかなりの老人ばかりです。60代70代では若手、80代でもやむにやまれぬ農業が続いています。

やがて引き受け手がなくなり耕作放棄田として近隣に迷惑を及ぼす存在になります。その結果、代が変わると自分ところの田畑が見分けられなくなります。それが原因で草茫々になっていても人ごとになってしまいます。都会に一家を構えると田舎のことは心の片隅にありますが、極力思い出さないような心理が働くようです。

日々の生活に追われていれば、田舎の田畑の除草など気のかけることもなく、費用が捻出できるものでもありません。親が少ない年金から細々と払っていた固定資産税がやがて相続人に降りかかってきます。ご先祖様から引き継いだ家屋敷、田畑はいまや重荷以外の何物でもありません。耕作放棄田が無責任と言えるかどうか、その身になるとよくわかります。明らかに国策の誤りにより地方を切り捨てた結果です。

 ◆ 登記簿と公図が強い武器。

暗い話になりましたが、放置せずに責任もって管理するためには所有不動産の把握が必要です。この辺の管理は生命保険と同じでエクセルで管理すると一目瞭然になります。

そのためには固定資産税の通知をたよりに登記簿と公図を法務局で入手することです。そして休日に田舎に帰り境界を確認し写真に収めてくることが大事です。カメラと公図を片手に不審者よろしく田舎を歩きまわると徐々に実態が見えてきます。

今や負の遺産になりつつある田舎の土地屋敷はますます増加しさらに大きな社会問題になります。きっかけがきっとありますから、背を向けることなく正しい情報を入手し、自分にできることを確認することでわずかながらも光明が見えてくるものです。

 ◆ まとめ/h2>
DSCF2218

今後の方向としては、相続時に登記の先送りができなくなり家屋敷・土地所有の責任を明確化することになりそうです。相続で不動産を取得し登記すれば、いかに価値がない不動産でも登録免許税などの費用が発生します。

ここでは相続人同士の責任のなすりつけ合いという争族が発生することすらあります。親の生命保険は次男・次女がもらうが、田舎の家屋敷は長男・長女が引き継ぐという構図です。

最近ではあちこちに遊休農地、耕作放棄田を農業者へのあっせんする組織もできていますが、契約が成立する件数はごくわずかだそうです。水は低いところから高い方へは流れないのです。価値の下がった農地はますます荒廃し、所有者不明土地問題は深刻化すると予想されます。その結果我が国の食料自給率はどんどん低下し、気が付いた時には食料不足などという

ことになりはすまいかと危惧しているところです。これは生命保険でヘッジできない国家的なリスクだと思っています。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です