新型コロナウイルス肺炎と生命保険の災害割増。

新型コロナウイルスによる感染症と傷害特約の不思議な関係。

CIMG3627新型コロナウイルスによる感染症は拡大の一途です。むやみに恐れる必要はない致死率ですが、やはり肺炎をおこすと重篤となり最悪の場合は死に至るという情報は不安に感じることでしょう。

政府は2月1日には、今回の新型コロナウイルス感染症に関して、感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令を施行しました。

これは生命保険的にはどのような意味をもつのでしょうか。

 ◆ 病気では災害割増はつきません。

新型コロナウイルスに感染すると一般的には風邪と同じく病気になったと考えてしまいます。生命保険では病気の場合、特約があれば入院給付金が出ます。死亡すれば通状の保険金が出ます。しかしその場合一般的な病死扱いになりますから災害割増特約があっても割増はつきません。

 ◆ 災害割増と感染症の関係

ところが保険会社にもよりますが、感染症の中でも一部の特定感染症では災害として割増特約に従って保険金や給付金が支払われるケースがあります。

内容的には死亡保険金に上乗せ加算して支払う災害割増特約や災害による身体の傷害に対して給付される傷害特約、災害による入院に対して給付される災害入院特約などがあります。これらの災害関係特約は読んで字のごとく災害の場合、保険金の割増支払いが発生する特約です。

 ◆ 災害割増の適用条件。

災害や事故は病気ほど多くはありません。ましてや災害で死亡するなどはよほど運が悪いと考えられますから、災害割増特約の保険料はそれほど高くはならないものです。

災害や不慮の事故の特徴は急激性・偶発性・外来性の3つの条件が揃う必要があります。一般的な病気では3つとも揃うことはありませんが、例外として感染症があります。コロナウイルスに感染して肺炎をおこした場合3つの条件が揃います。しかし条件が揃っても災害特約扱いになるとは限りません。

◆ 不慮の事故と感染症。

不慮の事故は完全に急激性・偶発性・外来性の3つの条件が揃います。

1)急激 事故から傷害までの経過が直接的で、時間的間隔のないことをいいます。(慢性、反復性、持続性の強いものは該当しません。)

2)偶発 事故の発生または事故による傷害の発生が被保険者にとって予見できないことをいいます。(被保険者の故意にもとづくものは該当しません。)

3)外来 事故が被保険者の身体の外部から作用することをいいます。(疾病や疾病に起因するもの等の身体の内部に原因があるものは該当しません。)

不慮の事故とは思いもかけない事故であり、突然降りかかり、原因は人の外側から急激にやってきます。新型コロナウイルスによる肺炎もこの3つの要件をほぼ備えています。ただ風邪やインフルエンザも同じような条件を備えていますが、約款上はどこも病死扱いになります。これは矛盾しています。しかし感染症にもいろいろあり程度問題があります。リスク回避することが困難で罹患すると短期間で死に至る確率が高いような感染症では病気というより、事故に近くなります。

保険会社により感染症の種類や給付の範囲はことなりますが、感染症をリスク分類して重篤な感染症に対し不慮の事故と同等にして感染症に対して災害割増特約がある場合、割増保険金を支払うことがあります。

例えばエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そうなど日常ではほとんど聞くことがないおどろおどろしい法定伝染病が該当します。

◆ まとめ

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さて今回の新型コロナウイルスによる死亡事故で災害割増特約が適用されることは難しいところがあります。感染症法に基づく「指定感染症」には違いありませんが、特定感染症ではなく致死率が低いことがネックです。

生命保険の約款などででは、特定感染症は病名で列記されます。

コレラ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、ペスト 、ジフテリア、急性灰白髄炎〈ポリオ〉、ラッサ熱、クリミヤ・コンゴ〈Crimean-Congo〉出血熱、マールブルグ〈Marburg〉ウイルス病 、エボラ〈Ebola〉ウイルス病 、痘瘡、重症急性呼吸器症候群[SARS] (ただし、病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限ります。)

感染症の範囲及び類型について厚生労働省健康局結核感染症課(平成26年3月)

災害としての要件、急激性・偶発性・外来性は備えていますがそれだけで災害割増特約が適用されるわけではありません。今後の展開は予測できませんが、いまのところ新型コロナウイルスによる疾病は生命保険の災害割増特約の適用対象外という判断が妥当なようです。

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