コロナ自宅療養、入院給付金の不公平。
新型コロナに感染した場合、自宅やホテルで療養するのは入院ではありませんが、PCR検査で陽性となり保健所や医師の指示で自宅療養となると「みなし入院」という扱いになります。
自宅療養がみなし入院として証明されると生命保険会社では入院と同等の扱いとすることになり、これまで入院給付金が支払われていました。
ところが、ここにきて感染者の急増を受けて入院給付金請求が相次ぎ、保険会社の支払業務がひっ迫しています。支払いが遅れるだけでなく支払総額が予想を上回って増加し続けているため、支払条件を見直すという話が出てきました。新規契約の販売停止は保険会社が決めればよいことですが、後出しじゃんけんで給付金支払条件を制限するということは、契約者間の不公平となり納得できるは話ではありません。
給付金請求のための要件としては一般的に下記の項目を満たしている必要があります。
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・契約している保険に入院保障がある。
・被保険者が、新型コロナウイルス感染症に罹患。
・PCR検査で陽性となり、保健所または医師の指示により自宅療養。
・療養証明書に対応している保険会社。
PCR検査で陽性が確認されると無症状か軽症であっても指定期間の療養が指示されます。療養解除日までは、入院とみなすわけです。入院給付金請求は契約者ではなく、被保険者名で請求します。
◆ 保険会社がコロナ給付金支払条件を制限。
政府が、全ての新型コロナウイルス感染者の氏名などを確認する全数把握を見直し、地方自治体が指定した医療機関だけが患者情報を届け出る定点把握に移行する方向性を決定しました。
各自治体などから異論がある中で、保険会社は渡りに船とばかりに新型コロナウイルスの自宅療養者などに支払っている入院給付金の支払条件を変更しようとしています。
給付金の支払対象を自宅療養者という広範囲な条件でなく、さらに65歳以上の高齢者や重症化リスクがある患者らに限定するというわけです。
対象者に該当しないとコロナで自宅療養を余儀なくされても、給付金請求は却下されるということになります。一度ゆるめた支払条件を変更することは、給付金請求の権利を失った契約者から強い反発が出る可能性があります。単純計算で入院給付金が日額5,000円であれば自宅療養期間が2週間の場合は、7万円になりますから、庶民には簡単に「仕方ないですね!?」とは言えない金額です。
◆ 保険契約者間の公平性はどこに。
生命保険契約の大前提として、契約者に対して公平でなくてはなりません。生命保険会社は、契約に際して、告知や診査があり条件に満たない場合や被保険者の個体にリスクがあると生命保険契約を引き受けません
保険金や給付金支払いにおいても、診断書の提出をもとめ問題がある場合や保険金額が大きい場合には、事実を確認するために医療機関に調査が入ります。また保険金や給付金が支払われる条件については、契約者との固い約束として約款に詳細に指定されています。
厳密に約款に従うのは保険契約者間の公平性を維持するためです。公平性と言う大前提を失っては、生命保険契約は成り立たないと考えるべきです。
◆ 保険会社の社会的信用は失墜か!?
保険会社が給付金の支払いルールを拡大解釈したのは、大きな誤りであったと言えるでしょう。誤りであるがゆえに、保険会社の都合で給付金支払いルールを締め付け直すということは、保険契約者間の不公平をさらに助長することに他なりません。
同じ条件で給付金請求を行ったとしても、請求の時期により給付金が支払われる場合と、支払われない場合ができてしまうという不合理につながります。
見込みが甘かったなどという言い訳が通るはずもなく、そうなれば保険会社の無責任は問われ、社会的信用は地に落ちたと言えるかもしれません。
そもそも65歳の区切りを自宅療養のどの時点で判断するのか、また重症化リスクの線引きを保険約款的に定義できていないなど、問題は単純ではありません。論理的な理由で説明できなければ、契約者の納得は得られません。入院給付金の支払額が想定より多大になるから途中から支給対象を絞ります、では保険会社の信用はなくなって当然と言うべきです。
◆ コロナ、入院給付金の不公平まとめ。
マスコミの報道では、保険会社がコロナ自宅療養の入院給付金の支払い対象を制限するのは9月下旬からということのようです。
ということであれば、自宅療養経験者は一刻も早く給付金請求を行うことが必要です。残念ながら濃厚接触者の自宅療養待機はみなし入院にはなりません。
保険会社の不公平な取扱いに憤慨しても新型コロナに感染しなければ、この話は特に関係がありません。かと言って一刻も早く感染して自宅でゆっくり療養して、入院給付金をがっちりゲットなどと浅はかなことをもくろむことがないようにお願いします。そういう方に限って重症化し、後悔しつつ給付金請求する羽目になりかねません。くれぐれも感染予防怠りなく、細心の注意でご用心いただきたいと思います。
老婆心までに付け加えますと、コロナ感染でかかったた医療費は医療費控除の対象となりますが、自宅療養や入院で保険会社から入院給付金を受取った場合は、控除対象医療費からマイナスすることになっています。お間違いのないようお願いします。
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