コロナ危機と保険の自殺免責、自殺大国復活か?!

コロナ危機と保険の自殺免責の関係、自殺大国の汚名。

DSCF1886コロナ危機は経済に甚大な影響を与えています。聞こえてくる声は悲鳴に近いものがあります。政府の支援策は不十分で時間がかかります。固定費がかかる中小企業では補助金申請をしつつ、返済のあてがなくても金融機関から緊急融資を受けてつないでいくほかありません。

それでも経営をつなげなければ、社会的に非難されようとも従業員を解雇し生命保険を解約するしかありません。すでに倒産や自己破産を選択したところも聞こえてきます。早々に破産してしまえば再建する道もあるかもしれませんが、頑張れば頑張るほど事態が悪化することもあります。その結果、あってはならないことですが、生真面目な経営者は魔がさすと言いますが、限られた選択肢から最悪の手段を選択することも起こります。

日本は数年前までは年間3万人を越える自殺大国でした。ここ数年で2万人まで減少してきましたが、このままでは逆戻りになりかねません。そういう厳しい局面で保険はどのように機能するのか、保障とは何か、自殺免責も含めてまとめてみました。

自殺に対して商法でも保険法でも保険金を支払う理由はありません。

 ◆ 日本の自殺者は交通事故死者を上回る怪。

日本人は保険好きで知られていますが、一方では自殺好きでもあります。自殺することが好きな人はいませんから自殺を選択する人が多いということです。自殺の理由としては健康上の理由が一番ですが、それに次いで多いのが経済的理由です。亡くなった人にアンケートを取って心理を確認することはできませんから本当のところはわかりませんが、たぶん一つや二つではない複合的理由だと考えられます。

日本の自殺者数は平成10年から平成23年までなんと3万人超が続いていたのです。交通戦争と呼ばれた時期の交通事故死者ですら1万人超ですから、毎年3万人もの人が自ら命を絶つ異常な国だったのです。ここ10年は景気がよかったせいか減少が続き、令和元年の自殺者数は20,169人となり、対前年比671人(約3.2%)減となりました。驚くべきことは男性の自殺者数が女性の約2.3倍となっていることです。男性が精神的に弱いからなのかそれとも社会的・経済的に責任が重い結果なのかは定かではありませんが、同性としては穏やかならぬ心情です。

新型コロナウイルス肺炎と生命保険の災害割増。

 ◆ トランプはババ抜き4度、破産しても大統領。

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米国の大統領であるドナルド・トランプは過去に4度破産していることはよく知られていることです。

不動産王と言われながらも世界一の貧乏人となり、借金を残して大統領に君臨しています。特異な例ではありますが、あきらめなければそして生きてさえいれば、チャンスは何度でもやってくるという証明のような人物です。

人に迷惑をかけることをいとわない破天荒な生き方、歯に衣を着せぬ配慮に欠いた暴言ともいえる発言の数々は日本人の感覚では理解できませんが、その人を選ぶ米国人も不思議な人たちです。破産は人生の終着点ではなく単なる通過点と割りきる尊大さも生命力につながるということでしょうか。

 ◆ 生命保険の自殺免責。

「自殺免責」とは、生命保険の被保険者が自殺した場合に、保険会社は生命保険金支払い義務が免責になることを言います。自殺の場合、保険会社は保険金を払う責任を免れるということです。意図するかどうかは別にしても、自分を犠牲にした保険金詐欺のようなことになりますから、保険法では被保険者が故意に自らの生命を絶った場合、保険会社は保険金支払いを行う責任を負わないとする免責事項があります(保険法51条1号)。

そういう保険法の規定があっても保険会社としては契約してから一定の期間を経過している場合は自殺を意図した保険契約とも言えないので、免責期間経過後の自殺であれば保険金が支払われることがあります。これは、自殺を決意した人が、その思いを抱えながら何年も生きることは難しいとされているからです。

自殺でも保険金が支払われる場合については、保険会社ごとに定められたルールにのっとって、そのケースごとに判断されます。自殺による保険金の支払いについては、保険会社ごとに1~3年程度の免責期間が設定されています。自殺免責は2年程度が多いようです。

保険は人の生死には無力です。

 ◆ 解約返戻金で生き残るか、生命保険金で清算するか。

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保険業界にいると人の生死にかかわることがありますが、まれに自殺もあります。零細企業では1億円の保険金があれば取引先や社員を路頭に迷わせることなく清算することができる場合があります。

生命保険には解約返戻金がないかあるいは契約して日が浅いと解約返戻金が少ない契約もあります。初期低解約返戻金型の生命保険はコロナ危機だからと言って解約すると大損する場合があります。この場合、契約者貸付はさらに少なくなります。

こういう場合、解約返戻金で生き残ることは難しくなり、生命保険金で清算するという悪魔のささやきが聞こえてきます。解約返戻金より巨額な保険金の誘惑が、人の人生を踏み誤らせるとしたら、生命保険の趣旨から外れしまい生命保険を扱うものにすれば悲しい限りです。生命保険会社に対して自殺免責の期間に対する問い合わせが増加するようなことになると社会問題となるかもしれません。

生命保険の有り難さはそのときになるまでわからない理由。

 ◆ 開き直れば保険は不要。

コロナ危機で経営の危機に陥って暗澹たる気分の方が検索された結果、ここにたどり着かれたとすれば申し上げたいことがあります。トランプではないですが、生きていれば何度でもやり直しができるのです。

もはや選択肢がないように思うギリギリの極限はご自分の妄想なのです。道がないわけではなく見えていないのです。常に道はあるのです。家族や支援してくれた人に迷惑をかけるかもしれません、それは試練として甘んじて受け止めること、そして開き直って一歩下がって見直してください。生命保険は助けになるときとそうでないときもあります。腹をくくれば保険は不要になります。保険契約は全部解約しキャッシュにしましょう(解約返戻金があれば)。それでも行き詰まるなら自己破産も有力な選択肢です。自死ほどつまらぬ選択はなしと言えるのです。終息しない感染症は過去に一度もありません。そのうちきっとよくなります。

 ◆ まとめと保障額も少ない、解約返戻金も少ない節税保険の無力。

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バレンタインショックの駆け込みで加入された節税保険は、まだ解約返戻金も十分伸びていませんし、死亡保障も初期の災害死亡だけです。自殺免責にも引っかかりますから今回のコロナ危機には役立たずです。この種の保険の解約は最後の手段にしてください。

これまでの既契約である全額損金や二分の一損金の保険商品は、コロナ危機のような一時的な経営のピンチやキャッシュフローの不足時期に解約することで雑収入と解約返戻金が役に立ちます。保険による緊急予備資金を簿外に蓄積しているメリットが今こそ発揮されるのです。

まとめとして申し上げたいことは、自殺での保険金給付という事態は後にのこる家族や友人を悲しませてしまうことになります。生命保険に自殺免責があり、それは一定の期間で免責でなくなり保険金が支払われるようになりますが、決して悪魔のささやきに耳を貸さないでください。生命保険契約があったばかりに自殺という選択肢が一つ増えるのでは、あまりに本末転倒です。今回の苦境と試練がきっと次の飛躍の糧になる日が来ます。もう少しの辛抱です。

無意識が納得するメリットを生命保険は提示できない。

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