保険会社の決算間近、バレンタインショック破綻への序章。

保険業界の深刻さ、バレンタインショック破綻への序章。

CIMG3632過激な言い方になり失礼します。保険業界に籍をおいておられる方ならご承知のことと思いますが、バレンタインショックから一年、再びバレンタインデーが近づいてきました。

ということは保険会社、保険営業にとり悪夢の一年が決算を迎える時期に来たということになります。

小耳にはさむ情報では、はっきり言ってボロボロです。その実態を示すものとして、例年この時期なら保険会社、保険代理店入り乱れて提案合戦です。ところがどこもほとんど来ないのです。銀行からの紹介やアプローチもありません。

利益の出る決算企業の節税対策として損金保険を売り込む手法は、国税庁の通達により閉ざされましたから、こうなることは予測できたのですがそれにしても次の手が見えてこないのです。表面的には保険営業のアポ取りがないですから拍子抜けですが、見方を変えると保険業界で起こっている事態の深刻さを感じてしまいます。

いろんなルートから入ってくる情報によると法人保険を主体としている保険会社は昨年実績の9割だそうです。9割達成ではなく9割減だというのです。すべての保険会社がそのようなことになっているわけではありませんが、ほとんどの保険会社は大幅に昨対割れとなっているようです。普通の中小企業なら廃業か倒産かという瀬戸際です。

節税保険、バレンタインショックまとめ。

 ◆ 保険会社の財務構造。

保険会社の財務構造は普通の会社とは違います。一応金融機関ではありますが銀行とも違うので素人が簡単に財務評価をすることはできないのですが、決算を迎えれば保険会社独特の財務指標が出そろいます。「ソルベンシーマージン比率」「基礎利益」などという数値は分かりにくいですが、過去の数値と比較することはできます。わかりやすいのは格付け会社による格付けでしょうか。しかし今回は公表された数値だけで判断するのはリスクを感じます。

多くの中小企業が虎の子の利益を何億も預けているわけですから、今後契約している保険会社の決算数値と格付けを注視していく必要があります。生命保険業界には保険会社の破綻に備えて生命保険契約者保護機構なる組織が資金を積み立てて、生命保険契約者の権利と利益を守る仕組みがあります。

しかし、一社だけの破綻なら保険会社が力を合わせれば、何とかなるかもしれませんが、今回の事態はそれほど甘くないとみています。追い詰められた保険会社は数社から十数社に及ぶと推測しています。自力で立て直せる基礎体力の強い会社、個人契約が売り上げの主体を占めている会社はしぶとく立て直すと思いますが、それでも足を引っ張られる構造にかわりはないと思います。

バレンタインショック後遺症に苦しむ保険業界の再編。

 ◆ 保険会社の行き詰りと悪循環。

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保険営業の人件費は一部固定費、大半は変動費になります。成果の出ない保険営業や代理店に保険会社はコミッションを払う必要はありません。

もちろん保険営業をしない保険会社内の人件費はリストラでもしない限り固定費としてかかってきます。

普通の会社のように当期だけを見れば破綻状態でしょうが、保険会社は過去に預かった保険料収入で食いつなぐことはある程度できます。保険料収入が激減した保険会社がそれまでの貯金でどこまで生き延びられるかということになりそうです。なぜそこまで言えるのかと思われる方もおありでしょう。

保険会社の実態を見れば、しわ寄せは全て保険営業に集中する構造になっています。最前線で保険販売をする保険営業が追い詰められることになります。つまり保険営業という個人事業主や保険代理店が成り立たなくなれば、別の道を模索せざるをえなくなります。その結果、保険会社は収益の入り口となる戦力を失い保険料収入がこの先どんどん細ることになります。

今回の国税庁のシャットアウト通達後、各社の新製品や保険営業の動きを見ていると、以前の通達が出た時のような出口の光明が見えてこないのです。このまま改善の可能性がないとすれば早晩、行き詰まることは避けられないと思います。節税保険で集中的に売り上げを伸ばしてきた保険会社が、そう簡単に変われるものではないのです。そういう状況ですから想像するに、厳しさは半端ではないですし、悲観的な見方をせざるを得ないところです。

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 ◆ 保険契約者への警鐘。

節税保険を契約している多くの中小企業のオーナー社長にも警鐘を鳴らしたいところです。大事な簿外の貯金を減らしたくなければ情報収集はち密に頻繁に行う必要があります。保険会社は銀行のように預かった保険料に利息をつけて返す必要はないのですが、解約集中による資金の流出はあり得ることです。

生命保険契約者保護機構が責任準備金の9割を保証してくれるから心配ないなどというお気楽なことはこの際考えずに、解約返戻率を見極め解約のタイミングをはかっておくことも企業防衛と考えるべきです。

週間ダイヤモンドとバレンタインショック。

 ◆ まとめ

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バレンタインショックから一年、今にして強く思うことは、国税庁の官僚がそこまでやる必要があったのか、保険会社やそこにかかわる多くの人たちをここまで追い込む権利があったのか、憤りをもって問いかけたいところです。

とは言っても相手は国家権力です。もはや後戻りはないでしょうから潮時の見極めが大事かと思います。

今すぐに保険会社の格付けが急落して破綻のうわさが立つようなことはないと思いますが、この先、用心に越したことはありません。保険営業の方にも保険契約者の方にも言えることは、先行きに改善が見込めないのであれば、早期に別の道を探るという選択肢も考慮に入れなければならないと思います。

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