老老介護と老老相続、複雑化する高齢化時代の生き方。
老老介護は検索でも多数ヒットしますので、社会的に認知されてきた言葉です。しかし老老相続とは、まだ認知されていない4字熟語です。
検索数でも5倍の開きがあります。老老相続とは、聞いたことがない方の方が多いと思います。検索予測ツールでも老老相続では、データがありませんと突き放されます。
しかし、それほど軽い問題ではないところが、老老相続の根が深いところです。老老介護であれば、その先に確実に待ち受けているのは老老相続です。
厚生労働省の調べによると、在宅介護で要介護者と介護者が共に75歳以上の世帯が29%、共に65歳以上の世帯が51.2%もいます。つまり、在宅介護の半数は老老介護であり老老相続の予備軍と言えると思います。
◆ 老老介護とは?老老相続とは?
言葉的に読めば何となく、高齢化に伴う社会問題であることは推測できます。「老」という漢字が意味していることは、65歳以上が高齢者であると言うことです。
65歳が老人かどうかは、実感として異論があります。でも、少なくとも体力の衰えはありますし、年金受給の開始年齢でもあります。
その65歳以上の高齢者が介護する人であれば、普通は介護される人はさらに高齢であると思われます。そういう場合、両方が65歳以上の高齢者ですから、この場合に老老介護となります。
また同様に高齢者同士の相続も、老老相続というわけです。高齢者イコール老人という図式は成り立たない時代です。しかしそれでも老老介護にしても、老老相続にてしも、高齢なるがゆえに様々な問題が発生します。
社会の高齢化は、今後ますます進展することは避けられません。長寿社会の問題として高齢者だけでなく、社会全体で対応策を模索していく必要があります。
老老相続とは、まさに相続の現場でも同様に問題が起きているのです。最大のネックは、老老双方に認知症にリスクが高まっているということがあります。
相続対策の最大の敵は、やはり認知症でしょう。そういう意味では、老老相続で考えるべきことは、どのような相続対策あるいは相続税対策を行うにしても、認知症対策は前提条件として考えておかなくてはなりません。
◆ 老老相続が日本経済の成長の障害。
老老時代が加速すれば、老後資金はますます必要になります。一説には2,000万円の貯蓄が必要であるという話題がありました。物価高と長生きリスクを考えると、資金がいくらあっても不安が消えるということはありません。
老老介護になっても、結局ものを言うのはお金です。老老相続になると財産が消費にまわらず老後資金としてため込まれます。そのため日本の経済成長には、マイナスの影響があるという意見もありますが、そうとばかりも言えません、
老老介護と老老相続が同居する時代では、介護費用で破産することすらあり得ます。相続するどころか、現在の生活もままならないという事態も想定しておかなくてはなりません。
相当の資産家で相続税が大枚かかるような方は、そもそもがケチであり生前贈与などの節税策もぬかりなく進めています。老老相続になっても、あまりあわてることはないかもしれません。
しかしながら相続税の基礎控除の引き下げで、にわかに相続対策が必要になったような老老相続では大変です。
驚くような資産があるわけではなく、自宅を含む不動産といくばくかの現金があるだけでも、相続税がかかるという方も多くいらっしゃいます。
老老相続は、自分で選んだ結果ではないと思います。老後の生活資金に少しでも余裕を残したいと思うと、あわてて生前贈与もできないというのが老ゆく者の本音です。
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◆老老介護と老老相続、その後のまとめ。
悪乗りとも思えませんが「老老老介護」だとか「認認介護」、また「若若介護」などという熟語もあるくらいですから、問題がより深刻になっていく可能性が高いと言えます。老老相続とか老老介護ということから得られるイメージは、決して明るいものではありません。
しかし人間は如何に老いようとも、死ぬまで生きなければなりません。死期は自分で決められるものではなく、神のみぞ知る選択肢なのです。
心豊かな老後などと、きれいごとを言っても始まりません。できる限り老後の資金プランを具体化し、体を動かせることに感謝することです。縁ある方にお礼を申し上げる心持ちがあれば、道は自ずと開かれます。
辛(つら)いことにお礼を言うくらいの謙虚さ、悲しいことにお礼を言うくらいの優しさ、苦しいことにお礼を言うくらいの感謝の気持ちが、老老時代には何よりの財産になるように思います。
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