生命保険の残高証明は出せるわけがない。

生命保険の残高証明書は出せるわけがない。

生命保険の残高証明は、銀行預金の残高とは違います。法人で会社契約の生命保険では、保険料を損金で落とせる保険と、保険積立金を計上しなくてはいけない保険があります。バレンタインショック以降では、とくに保険積立金の処理が複雑になりました。

この記事は、保険営業時代の出来事について書いた記事ですが、このような誤解が結構あります。経理関係の方には、当たり前の話ですが、ご参考までにお読みください。

■生命保険会社が残高証明書を出せない理由。

◆ 生命保険の残高とは何かについて。

生命保険の残高証明書は出せないのです。生命保険はその種類に応じて経理処理が変わります。費用で落とせないものは、資産計上します。終身保険や養老保険では全額資産計上ですが、長期平準定期保険などでは契約時期や保障期間にもよりますが、1/2損金扱いであったり4割損金であったりします。

損金で費用として落とせない保険料は保険積立金として資産計上することがルールです。資産計上するということは、その保険料の分に税金がかかります。

■買う側から見た法人保険4割損金の最終価値。

◆ 資産計上と保険残高の誤解。

資産計上したなら残高があるはずだから、生命保険会社に残高証明を強硬に要求する経理担当には困りました。資産計上額は保険積立金証明書で証明できますが、生命保険会社の預り金ではありません。

生命保険には残高があるわけではなく、その時点での解約返戻金があるだけです。解約すれば解約返戻金は戻ってきますが、保険積立金と一致するわけではありません。保険会社が出せるのは既払込保険料証明書、保険積立金証明書、解約返戻金証明書です。たぶん銀行預金と同じ感覚で残高証明書という言葉の行き違いです。

■法人生命保険の解約返戻金を把握することがピンチの会社を救う。

◆ 生命保険の残高証明、まとめ。

経理担当者からすれば、顧問税理士に決算資料として残高証明をそろえるように指示されて申し入れているのでしょうが、無理なものは無理です。

他の会社は出ていると言うので見せてもらう、公式なものでなかったり既払込保険料と保険積立金の案内であったりします。

経理処理をきちんと行っておれば、保険積立金証明書が必須な訳ではありません。生命保険の残高証明とは、よく考えてみれば意味不明の言葉です。

経理処理が国税通達により複雑化したことは、他記事に書いています。保険積立金の処理が正しいかどうかを確認する意味で、保険会社に保険積立金証明書を求めるという選択肢はあるかもしれません。

法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

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