役員退職金を否認されない極意について若干のアドバイスです。
必死の思いで保険料を払い続け、やっとこさで資金を貯めて相続税の納税資金や老後資金に充て自分への褒美のつもりで役員退職金を支給します。
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その結果、税務調査で役員退職金を否認される様なことにでもなれば引退する経営者にとって最悪の結果になります。
否認されると役員賞与と見なされ会社は役員退職金の損金算入が認められなくなり法人税が課せられます。これはかなりきつい処分です。個人の方も有利な退職金税制が認められないので普通の所得税が追徴課税されることになります。これまたえらくキツイのです。
それだけに用心の上にも用心が必要です。支給にあたっては株主総会を開いて議事録を残しておかなくてはなりませんが、中小企業では議事録は多くの場合作文でしょう。
株主総会も取締役会さえまともに開催することはまずありません。そりゃ全権がオーナー社長にあるから当然です。
特に最近は役員退職金の税務調査での見方が厳しくなっていると聞きます。顧問税理士さんのアドバイスだけに頼らず自己責任で念には念を入れる用心深さが身を守ります。
気を付ける点としては一般的な功績倍率を自己都合で甘くしないこと、役員退職金支給規程に定めて功労金加算までしても課税当局が認めなければ過大と判断されてしまいます。実際課税当局は独自の基準があり功労金加算も含めて功績倍率を見てきます。
OB税理士の先生を通じてお尋ねを入れると、ここまでは大丈夫だがこれ以上だとちょっとねという感じで回答があります。それ以上はダメですよという課税当局の意思表示が読み取れます。
税務署に事前のお伺いを立てるのは手間はかかりますが支給前に相談して妥当な線を引き出しておくことで安心できます。
支給額の妥当な線は残念ながら思惑の金額とはいくばくかのかい離があるのが普通です。それはその分だけ会社に資金が残るわけですから辛抱してください。
当局は相談に行ったことは担当が代わってもきっちり引き継がれますから安心です。
もう一つの役員退職金を否認されないための重要なポイントは本当に引退することです。
これがオーナー経営者には一番難しいと思います。毎日会社に顔を出してあれこれ指示を出していたのでは否認してくださいと言わんばかりです。形式ではなく実質的に引退したかどうかですからくれぐれも勝手解釈しないようにお願いします。経営の実権も反面調査をされれば隠し通すことはほぼ不可能です。
まとめとして繰り返しておきますが、重要なポイントは3つです。
①役員退職金支給に至る手順は手を抜かないこと
②自分の都合のいいように考えないで税務署に事前相談に行くこと
③実質的に引退すること
高額な役員退職金を安い税率で支給するわけですから調査対象から外れる可能性など夢にも思わないことですね。
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