死亡退職金が所得税なしでも有利だとは言えない理由。

死亡退職金が所得税なしでも有利だとは言えない理由。

死亡退職金には所得税がかりません。しかし、生存退職金に比べて、かならずしも有利だとは言えない理由があります。死亡退職金では、タイミングが合いませんから、生命保険で準備するということも難しい面があります。

そのため、死亡退職金となれば会社の利益から支給することになります。

一方で故人に所得税は、課税できません。ただ所得税が課税されないからという税的な理由だけで死亡退職金が有利だとも言えないのです。

■役員退職金の功績倍率は課税当局が決める。

◆ 役員退職金の原資と法人保険設計の目減り。

中小企業のオーナー経営者にとって、経営の一線から引退するということは口で言うほどたやすくはありません。

退職慰労金用に法人保険を設計する場合、引退時期に合わせて解約返戻金のピークをもってきます。

この引退時期がずれると、解約返戻金の返戻率が下がり始めます。役員退職金の支給を預かる、買う側の保険管理者としては困るわけです。

保険商品によっては、解約辺捩率のピークがマッターホルンの様に一点一時期に集中しているケースもあります。この時期をずらすのは、節税保険に網がかかった今となっては容易ではありません。また保険に入り直すような年齢でもありません。解約返戻率のピークで解約しても、退職金が支給できなければ、無意味な雑収入が出てしまいます。

■役員退職金は保険で準備すると節税できる理由。

◆ 死亡退職金は所得税無し、経営者の引退先延ばし。

経営者はいずこも同じです。引退後のことを考えたり、後継者の能力を言い訳にしたりして、社長の椅子を譲ろうとはしません。様々な理屈をつけて、一度ならず二度三度、引退時期を延期します。

果ては「死亡退職金は所得税がかからへんから、有利やと聞いたので調べてくれんか。」ときます。思わず「いつ死亡退職金を受取られる予定ですか?」と間抜けな質問を繰り出します。

10年後か20年後かもっと先か、全く未確定の退職慰労金支給時期に合わせて何ができると言うのでしょうか。

それよりそんな未来に今の会社が健全に存続しているかどうかすらわかりません。せっかく既得権の全損で簿外にため込んできた法人保険の解約返戻金も解約時期がわからないでは、どうにもしようがないというものです。

◆ 死亡退職金が税的に有利な理由。

死亡退職金は、所得税や住民税から見るとかなり有利になります。

わかりやすく言えば、生存退職金には所得税と住民税がかかりその上相続税が課税されるW課税です。ところが死亡退職金ですから故人に所得税は課せられません。

所得税というのは生存者のみに課税されます。死亡退職金は、所得税も住民税もなしで、いきなり相続税だけが課せられます。(死亡退職金控除として、相続人一人当たり500万円が控除されます。)

とすれば経営者にとれば、まさに渡りに船です。税金が安くなるから死亡退職金にすると言えば、とりあえず引退は形だけにすることもできるのです。ただ形だけの引退にしても役員報酬を減額すれば、退職慰労金の支給額にも影響してきます。

死亡退職金と言えば、退職金でありながら経営者が自ら受取り自由に使うことはもはやできない相談です。後継者に資金を残してやると言う、親心と思うほかありません。

■役員退職金を否認されない、あたりまえの極意。

◆ 死亡退職金は税的に有利、まとめ。

中小企業のオーナー経営者にとれば、会社のお金は自分のお金とイコールです。

自分のお金は、会社のためにあるようなものです。オーナー経営者にとり会社と経営者は一蓮托生です。相続税の納税資金さえ準備できていれば、退職慰労金を受け取る意味はないということにもなります。

退職慰労金を受け取らず、会社に置いておけば後継者が役立ててくれるということです。

いくらお金があっても三途の川には一円たりとも持っては行けません。お金はこの世においてのみ意味のある随伴する属性にすぎません。美味しいものも人の2倍は食べられません。美味しい酒も飲みすぎれば体を壊します。金に飽かせた酒池肉林も身を滅ぼすだけです。

最後に妙な人生訓になりました。確かに死亡退職金は税金の計算だけでは有利です。しかし原資の都合や後継者の経営権、そして本人の人生という視点から見れば、必ずしも有利とは言えない事情が垣間見えるのです。

役員退職金否認、最新判例。

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