相続人が行方不明では大弱り、相続と生命保険の打つ手を紹介。
相続人の中には、何かの事情があって行方不明という場合があります。行方不明とは長らく所在不明で、音信不通(どこかで生きているかもしれないが)になっているものを言います。
生死不明の場合を消息不明といいますが、同様の意味合いで使われることが多いようです。
行方不明は相続でも生命保険でも、困ったことになります。生命保険も相続手続きも厳格ですから、行方不明で一人欠ければ手続き上は何もできないことになります。
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◆ 相続と生命保険で行方不明の打つ手を紹介。
1)失踪宣言の制度を利用する。
行方不明で相続人が一人でも欠けると、遺産分割協議は成り立ちません。生命保険でも被保険者が行方不明ではどうしようもないのです。同じよう家庭裁判所に対して、失踪宣言の制度を申し立てる必要があります。
行方不明と言うのは、生きているか死んでいるかがわからない状態ですから、そのままでは相続も生命保険も手続きが進められません。
失踪宣言の要件としては、行方不明の期間が7年以上という条件がついてきます。さすがに実感として7年は長いです。7年先まで果たして自分が生きているかわからないですから、やっかいな話です。たとえば3年前から行方不明の兄弟がいることもあります。どうすればよいのでしょうか。
実際は7年まで待てる話ではあません。失踪宣言は7年以上前から行方不明の場合に限り適用できる制度だと思います。行方不明の期間が10年以上であれば、そのまま失踪宣言が使えます。
2)生命保険は振替貸付。
生命保険では行方不明者が契約者であれば、死亡保険金を受け取るためにはこの7年間代わりに保険料を払い続けなければなりません。
多くのケースで被保険者=契約者でしょうから責任準備金からの自動振替貸付けに依存することになるでしょうが、それが切れれば失効となります。
さりとて契約者が行方不明の場合には、解約することもできないという救いがたい状況になります。解約の権利は契約者にしかありません。
実際知り合いで行方不明になった例がありました。噂では富士山麓の樹海に消えたという気の毒な話でもあります。
奥様が涙ながらに関係者に聞き歩いているのですが、手掛かりはなかったようです。失踪から2年ほどで生命保険も打つ手がない状態でした。
3)最後の手段は、不在者財産管理人の選任。
行方不明者について、家庭裁判所に不在者財産管理人選任を申し立てることができます。不在者財産管理人が、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加し、遺産を分割します。
生命保険でも契約者以外の人が解約をする場合は、契約者本人から解約についての代理権を与えられていなければなりません。委任状が必要になりますが、行方不明の人にお願いしてもどうにもなりません。
生命保険契約を解約しなければならない特殊な事情がない限り、財産管理人と言えども契約者の生命保険を勝手に解約したり、お金を勝手に処分したりすることはできません。
行方不明者の借金があるだとか、特別な事情がある場合にかぎり財産管理人は、家庭裁判所から権限外行為の許可を得て、財産を処分(例えば解約)することができます。
もし行方不明の本人がひょっこり出てきたら、それはそれで厄介なことであありますが。
4)行方不明の確認。
行方不明でも警察に届けているのか、探していないだけの音信不通ということもあります。住所や居所が分からず連絡が取れない場合や、戸籍の附票から現在の住所をたどってみます。別の場所で、案外元気で暮らしていたりします。
人にはつながりがあり、縁を切ったつもりでもそうはいかない節目があります。本当の行方不明はあるでしょうが、自分の意思で失踪しているケースも多いでしょう。
後で後悔しないように、信用できる人には居場所だけは連絡しておくのがよろしいようです。
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◆ 相続人が行方不明、打つ手を紹介まとめ。
相続人が行方不明の場合、相続や生命保険管理では困ったことになります。本人が生きていることがわかっていて失踪している場合は、余計に打つ手がなくなります。
長年、消息が不明であればあきらめと同時に失踪宣言などの手も使えますが、そうでない場合は、あまり良い解決策がないと言うのが現実のように思います。
生命保険では、失踪している本人が契約者であれば、保険料が払えなくなり失効しても本人の責任ですから仕方がないです。
でも契約者が被相続人で、被保険者が相続人でその相続人が行方不明の場合は(親が契約者、受取人、子が体を提供する被保険者)遺産分割協議で簡単に結論が出せなくなります。
相続人が生きていれば、被保険者へみなし相続財産として名義変更すべきものです。死亡が確認されたり失踪宣言(死亡とみなされます。)が認められたりすれば、保険金請求を行い相続財産として残った相続人が分割することになります。
相続と生命保険の打つ手を紹介と銘打っていますが、決定的な解決策があるわけではありません。行方不明者を探し出すか、ときが来るのを待つしかないというところです。
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