遺留分放棄を後継者ではない子にさせることは違法か。

遺留分放棄を後継者ではない子にさせることは違法か、

経営者にとって事業承継は相続設計以上に重要なことです。

自分が苦労して発展させた会社を一番適任な子に継がせて守り発展させてほしいという思いがあります。

兄弟が何人かいると会社を継ぎたくない子もいます。同時に継がせたくない子もいます。そんな中から一人を選び次期経営者として仕込んでいかなくてはなりません。

事業承継、特別受益の泥沼相続。

自社株を親族で分散保有したために苦労した経験のある経営者は一人の後継者に自社株を集中したいと考えます。また後継者となる子には経営者としての一定の資産を継がさなくては重石がつきません。

CIMG2008そうなると後継者以外の子に対して最低限の相続にするために遺言書をしっかり書かねばなりません。

これまでにも特別受益として家を建ててやったりしていますから遺留分の放棄もさせておきたいところです。

さて遺留分放棄をさせておかないと遺言書で遺産の分割を指定しても遺留分は遺言書でも侵害できませんから、他の兄弟から遺留分減殺請求を起こされる可能性があります。

遺留分放棄というのも納得していない子には適用できません。

また手続きとして被相続人の生前に遺留分放棄をするためには家庭裁判所の承認を必要とします。
審判の条件としては下記内容が審査されます。
① 放棄が本人の自由意思にもとづくものであるかどうか
② 放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか
③ 代償性があるかどうか(たとえば放棄と引きかえに現金をもらうなど)

後継者ではない子に遺留分放棄をさせることは違法ではないですが、本人の納得性がなければ家庭裁判所が認めないということです。

後継者でない子が納得している話なら、相続開始後でも特に家庭裁判所の審判なしで遺留分放棄はできますし、相続放棄もできます。
要するに、後継者ではない子が十分な特別受益を自覚していれば遺留分放棄をしなくても遺言書に従うでしょうから特に問題はないわけですが、後継者でない子が財産分与に納得していなければいくら遺留分放棄の制度があってもどうしようもないという、まったく様にならない結論になります。

思惑どうりにならない遺留分放棄ですが、会社を守るため決断するのもオーナー経営者の仕事です。

特別受益と遺留分減殺請求は経営者の落とし穴。

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