相続贈与の老後貧乏、生前争族の行く末。

相続税対策で生前贈与をしすぎると老後貧乏に

生前争族の行く末は相互不信。

CIMG3341相続対策の基本は生前贈与と言われます。確かに年間110万円までは贈与税の基礎控除の範囲ですから贈与税はかかりませんし申告も不要です。

相続税がかかるかどうかの小金持ちサラリーマン層にはとてもよい相続税の節税法です。

でも気をつけていただきたいのは贈与をしすぎることです。贈与はもらう側にはとてもうれしいタナボタの不労所得です。贈与し過ぎは、あげる側にももらう側にも決して良いことばかりではないということが言えます。

生前贈与もほどほどにと申し上げたいところではありますが、生命保険料を贈与する暦年贈与は長期的な資金計画のめどがしっかりついていれば手堅い節税手法と言えると思います。

やりすぎ生前贈与が老後破綻を招く。

 ◆ 相続税の基礎控除が下がり増税に!

何度も書いていますが、相続税に縁のなかった小金持ち層が節税対策を考えるようになりました。相続税のすそ野が飛躍的に拡大したものですから、知り合いの税理士さんも相続関係の相談が急増しているとのことです。

サラリーマンにとってみれば、所得税は無条件で天引きされますが、相続税など払ったことがないですからどう対処してよいやらわからないのが実情のようです。しかも相続税や贈与税は自主申告がルールですが申告の経験もないとなると誰に相談してよいものやら判断に迷うところです。

相続税の基礎控除が引下げになり増税のしわ寄せを受ける層には、知らなかったでは済まないゆえに難儀なことです。

 ◆ 節税対策は生前贈与、しかも暦年贈与がベスト。

節税対策の王道はやはり生前贈与です、しかも贈与税の基礎控除の範囲110万以内で毎年、子や孫に現金を贈与して財産を減らしていきます。

暦年贈与と言われる手堅い手法です。難点はもらった子や孫が資産として残してくれればよいのですが、無駄使いの心配がつきまといます。

それを防ぐために親を被保険者とし、受贈者である子を契約者(保険料負担者)とする生命保険契約に加入し保険料分を毎年贈与します。この手の難点は親が生きている間は喜ばれることもなく、感謝の言葉すらないところです。親としては辛抱しなくてはなりません。

生前贈与、止めときゃよかった親の不安。

 ◆ 生前贈与はもらう側のあたり前化が生前争族に!

生前贈与の難しさは、もらう側のあたり前化が壁になることです。もらうとうれしくて感謝のあまり肩もみをしますが、次からは簡単なお礼だけになります。その次からは催促が来ます。それであげ渋ると嫌われます。

親というのは子が家を買うとお祝いを援助代わりにはずみます。すると他の子が屋根を直すの、車を買うのと言ってきます。よい顔をするとプレミア付のお祝いを督促されます。孫の結婚式のお祝いを贈与代わりに奮発すると、親の金をあてにするようになり何かと理由を作り無心するのが子というものです。

結局、公平な贈与とは程遠くなり、もらうあたり前が生前争族に発展します。節税など考えずに、思い出したように10万程度の小金をあげることです。ケチと言われようが何と言われようが、老後のお金を離してはいけません。これ正味、本当の話です。

贈与で子供に金を残すくらいなら使い切りなさい。

 ◆ 気がつけば、あげすぎで節税どころか老後貧乏。

どうせ財産は子のものになるのだから、生前に贈与した方が喜ばれるのでお得と考える方もいらっしゃるでしょう。でも、老後というのは意外にお金がかかります。

計画どおりにはことが運ばないのが人生です。気がつけば、あげすぎで節税どころか老後貧乏などと言うことがないようじっくり考える必要があります。

たとえば老後のリスクを拾い上げると、ほんの一部ですがあれこれお金のかかることがあるものです。

・いつまで長生きするかわかりません。

・特殊詐欺に引っかかるかもしれません。

・自宅のバリアフリー改修にお金がかかります。

・海外旅行に行くとお金がかかります。

・孫にせがまれると車を買い与えてしまいます。

・台風や地震などで家が損壊し修理代がかかります。

・大病すれば高度先進医療費がかかります。

・老人ホームや特養の入所費もばかになりません。

・家のリフォームに思いがけない費用がかかります。

・持っていた株が値下がりするかもしれません。

・マンションの大規模修繕費が不足し追加出費があるかもしれません。

・運転免許を返上しても自動運転の車を買うかもしれません。

・子や孫が家を買うとき援助を無心してくるかもしれません。

今は良くても、老後は思わぬ出費がかさみます。見回せばわかると思いますが、FPが設計するファイナンシャルプランのように平坦な老後ばかりでもありません。調子に乗りすぎた生前贈与は老後貧乏どころか老後破産になりかねません。

 ◆ もらう側もあげる側も想定外の争族に。

もらうのが当たり前になると、子は親の遺産をあてにします。これは無理もないことなのです。手の内を明かしてエエカッコした親の責任というべきでしょう。しかしよくないことはそれだけではないのです。

親から生前にもらう側の兄弟姉妹の仲が悪くなります。贈与は繰り返すと身内の関係にひずみを生みます。あほらしいことですが、生前贈与が生前争族の原因になることがあります。疑心暗鬼とは言いますが、親の金が動くと内心穏やかでないが推定相続人です。

もらう側もあげる側も想定外の争族に身を焦がすような後悔をするかもしれません。お金がからむと親子でもロクなことにならないという実例はあちこちで見かけます。お気をつけください。生前贈与さえしなければ、平和な老後と言うこともあるのです。本当に実感です。

贈与者と受贈者の気持ちは、えこひいきが贈与の本音。

 ◆ あげると喜ぶ、よい顔をするとあとで後悔。

子はもちろん、孫でもこずかいをあげると喜んでくれます。一番喜ばれる贈り物がキャッシュであることは誰しも同じことです。あげると喜んでくれるのでうれしくなります。お祝いでも大枚を包むと感謝されよい顔ができます。

でも老後というのは先を見越したキャッシュの用心がないと後悔先に立たず、です。贈与のし過ぎで長生きした結果、老後貧乏になっても、あげたお金を返せとは言えないのです。

それよりこの世知辛い時代に生前贈与の見返りに、親の老後の世話をしてくれとも言えないのです。親子とは言え、金の切れ目は縁の切れ目、とまでは申しませんが今あるお金を生前贈与で安易に減らさないようお気をつけ下さい。

感謝される贈与のやり方をこっそり伝授

 ◆ まとめ

生前贈与はもらう側は超うれしいけれど、長い目で見れば誰のためにもなりません。

お祝いは一番に援助は最後にとも言います。本当に困っている子に援助するのは親のつとめでもあるでしょうが、どうにか暮らしている子に一時金を渡せば無駄遣いをして終わりです。不労所得が居つくわけもなく、何に使ったかさえ分からないままにあっという間にお金は消えていきます。

それよりも何よりも、老後資金は虎の子です。減らすことがないようくれぐれも用心をしなくてはなりません。あわててあげなくてもいずれ遺産は子のものです。

相続税がかかったとしても払うのは親ではなく相続人たる子ですから気にすることはないのです。節税したところで三途の川の渡し賃にもなりません。少々過激に贈与を非難していますが、やはりわずかでもキャッシュをもらうとうれしいのは本音です。我ながらわかったつもりの凡人はまったく困ったものです。

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