新型コロナウイルス肺炎と生命保険の災害割増。

新型コロナウイルスによる感染症と傷害特約の不思議な関係。

2020/5/9追記 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い保険会社各社は、ホテルや自宅療養での治療期間も医師の証明書があれば入院給付金の支払い対象とするとことを決めています。また保険会社によっては、新型コロナウイルス感染症を災害割増特約の特定感染症に追加し、割増保険金を支払うようにしました。かんぽ生命の倍額支払制度の対象にもなりました。ただ保険会社により対応条件や時期が異なる場合がありますので、該当する可能性がある場合は、契約されている保険会社にお問い合わせください。

CIMG3627新型コロナウイルスによる感染症は拡大の一途です。むやみに恐れる必要はない致死率ですが、やはり肺炎をおこすと重篤となり最悪の場合は死に至るという情報は不安に感じることでしょう。

政府は2月1日には、今回の新型コロナウイルス感染症に関して、感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令を施行しました。

これは生命保険的にはどのような意味をもつのでしょうか。

 ◆ 病気では災害割増はつきません。

新型コロナウイルスに感染すると一般的には風邪と同じく病気になったと考えてしまいます。生命保険では病気の場合、特約があれば入院給付金が出ます。死亡すれば通状の保険金が出ます。しかしその場合一般的な病死扱いになりますから災害割増特約があっても割増はつきません。

 ◆ 災害割増と感染症の関係

ところが保険会社にもよりますが、感染症の中でも一部の特定感染症では災害として割増特約に従って保険金や給付金が支払われるケースがあります。

内容的には死亡保険金に上乗せ加算して支払う災害割増特約や災害による身体の傷害に対して給付される傷害特約、災害による入院に対して給付される災害入院特約などがあります。これらの災害関係特約は読んで字のごとく災害の場合、保険金の割増支払いが発生する特約です。

 ◆ 災害割増の適用条件。

災害や事故は病気ほど多くはありません。ましてや災害で死亡するなどはよほど運が悪いと考えられますから、災害割増特約の保険料はそれほど高くはならないものです。

災害や不慮の事故の特徴は急激性・偶発性・外来性の3つの条件が揃う必要があります。一般的な病気では3つとも揃うことはありませんが、例外として感染症があります。コロナウイルスに感染して肺炎をおこした場合3つの条件が揃います。しかし条件が揃っても災害特約扱いになるとは限りません。

指定感染症と特定感染症の保険的相違。

◆ 不慮の事故と感染症。

不慮の事故は完全に急激性・偶発性・外来性の3つの条件が揃います。

1)急激 事故から傷害までの経過が直接的で、時間的間隔のないことをいいます。(慢性、反復性、持続性の強いものは該当しません。)

2)偶発 事故の発生または事故による傷害の発生が被保険者にとって予見できないことをいいます。(被保険者の故意にもとづくものは該当しません。)

3)外来 事故が被保険者の身体の外部から作用することをいいます。(疾病や疾病に起因するもの等の身体の内部に原因があるものは該当しません。)

不慮の事故とは思いもかけない事故であり、突然降りかかり、原因は人の外側から急激にやってきます。新型コロナウイルスによる肺炎もこの3つの要件をほぼ備えています。ただ風邪やインフルエンザも同じような条件を備えていますが、約款上はどこも病死扱いになります。これは矛盾しています。しかし感染症にもいろいろあり程度問題があります。リスク回避することが困難で罹患すると短期間で死に至る確率が高いような感染症では病気というより、事故に近くなります。

保険会社により感染症の種類や給付の範囲はことなりますが、感染症をリスク分類して重篤な感染症に対し不慮の事故と同等にして感染症に対して災害割増特約がある場合、割増保険金を支払うことがあります。

例えばエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そうなど日常ではほとんど聞くことがないおどろおどろしい法定伝染病が該当します。

還付金型医療保険のデメリットと使い道。

◆ まとめ

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さて今回の新型コロナウイルスによる死亡事故で災害割増特約が適用されることは難しいところがあります。感染症法に基づく「指定感染症」には違いありませんが、特定感染症ではなく致死率が低いことがネックです。

生命保険の約款などででは、特定感染症は病名で列記されます。

コレラ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、ペスト 、ジフテリア、急性灰白髄炎〈ポリオ〉、ラッサ熱、クリミヤ・コンゴ〈Crimean-Congo〉出血熱、マールブルグ〈Marburg〉ウイルス病 、エボラ〈Ebola〉ウイルス病 、痘瘡、重症急性呼吸器症候群[SARS] (ただし、病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限ります。)

感染症の範囲及び類型について厚生労働省健康局結核感染症課(平成26年3月)

災害としての要件、急激性・偶発性・外来性は備えていますがそれだけで災害割増特約が適用されるわけではありません。今後の展開は予測できませんが、いまのところ新型コロナウイルスによる疾病は生命保険の災害割増特約の適用対象外という判断が妥当なようです。

コロナ危機と保険の自殺免責、自殺大国復活か?!

保険会社の決算間近、バレンタインショック破綻への序章。

保険業界の深刻さ、バレンタインショック破綻への序章。

保険業界に籍をおいておられる方ならご承知のことと思いますが、バレンタインショックから一年、再びバレンタインデーが近づいてきました。保険会社、保険営業にとり悪夢の一年が決算を迎える時期に来たということになります。

小耳にはさむ情報では、はっきり言ってボロボロです。その実態を示すものとして、例年この時期なら保険会社、保険代理店入り乱れて提案合戦です。ところがどこもほとんど来ないのです。銀行からの紹介やアプローチもありません。

利益の出る決算企業の節税対策として、損金保険を売り込む手法は、国税庁の通達により閉ざされました。こうなることは予測できたのですが、それにしても次の手が見えてこないのです。

表面的には保険営業のアポ取りがないですから拍子抜けですが、見方を変えると保険業界で起きている事態の深刻さを感じてしまいます。

いろんなルートから入ってくる情報によると、法人保険を主体としている保険会社は昨年実績の9割だそうです。9割達成ではなく9割減だというのです。

すべての保険会社がそのようなことになっているわけではありませんが、多くの保険会社は大幅に昨対割れとなっているようです。普通の中小企業なら、廃業か倒産かという瀬戸際です。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 保険会社の財務構造。

保険会社の財務構造は、普通の会社とは違います。一応金融機関ではありますが、銀行とも違うので素人が簡単に財務評価をすることはできないのです。決算を迎えれば、保険会社独特の財務指標が出そろいます。

「ソルベンシーマージン比率」「基礎利益」などという数値は、分かりにくいですが、過去の数値と比較することはできます。わかりやすいのは、格付会社による格付けでしょうか。しかし今回は、公表された数値だけで判断するのはリスクを感じます。

多くの中小企業が、虎の子の利益を何億も預けているわけですから、今後契約している保険会社の決算数値と格付けを注視していく必要があります。

生命保険業界には保険会社の破綻に備えて、生命保険契約者保護機構なる組織が資金を積み立てて、生命保険契約者の権利と利益を守る仕組みがあります。

しかし、一社だけの破綻なら保険会社が力を合わせれば、何とかなるかもしれません。でも今回の事態はそれほど甘くないとみています。追い詰められた保険会社は、数社から十数社に及ぶと推測しています。自力で立て直せる基礎体力の強い会社、個人契約が売り上げの主体を占めている会社はしぶとく立て直すと思います。それでも足を引っ張られる構造にかわりはないと思います。

◆ 保険会社の行き詰りと悪循環。

保険営業の人件費は一部固定費、大半は変動費になります。成果の出ない保険営業や代理店に保険会社はコミッションを払う必要はありません。

もちろん保険営業をしない保険会社内の人件費は、リストラでもしない限り固定費としてかかってきます。

普通の会社のように当期だけを見れば、破綻状態でしょうが、保険会社は過去に預かった保険料収入で食いつなぐことは、ある程度できます。保険料収入が激減した保険会社が、それまでの貯金でどこまで生き延びられるかということになりそうです。なぜそこまで言えるのかと思われる方もおありでしょう。

保険会社の実態を見れば、しわ寄せは全て保険営業に集中する構造になっています。そのため最前線で保険販売をする保険営業が、追い詰められることになります。

その結果、保険営業という個人事業主や保険代理店が成り立たなくなれば、別の道を模索せざるをえなくなります。そして保険会社は収益の入り口となる戦力を失い、保険料収入がこの先どんどん細ることになります。

今回の国税庁の節税保険シャットアウト通達後、各社の新製品や保険営業の動きを見ていると、以前の通達が出た時のような出口の光明が見えてこないのです。このまま改善の可能性がないとすれば早晩、行き詰まることは避けられないと思います。

節税保険で集中的に売り上げを伸ばしてきた保険会社が、そう簡単に変われるものではないのです。そういう状況ですから想像するに、厳しさは半端ではないですし、悲観的な見方をせざるを得ないところです。

◆ 節税保険契約者への警鐘。

節税保険を契約している多くの中小企業のオーナー社長にも、警鐘を鳴らしたいところです。大事な簿外の貯金を減らしたくなければ、情報収集はち密に頻繁に行う必要があります。保険会社は銀行のように預かった保険料に利息をつけて返す必要はないのですが、解約集中による資金の流出はあり得ることです。

生命保険契約者保護機構が責任準備金の9割を保証してくれるということがあります。しかし心配ないなどというお気楽なことはこの際考えずに、解約返戻率を見極め解約のタイミングをはかっておくことも企業防衛と考えるべきです。

◆ バレンタインショック破綻、まとめ。

バレンタインショックから一年、今にして強く思うことは、国税庁の官僚がそこまでやる必要があったのか、保険会社やそこにかかわる多くの人たちをここまで追い込む権利があったのか、憤りをもって問いかけたいところです。

とは言っても相手は国家権力です。もはや後戻りはないでしょうから、潮時の見極めが大事かと思います。

今すぐに保険会社の格付けが急落して、破綻のうわさが立つようなことはないと思いますが、この先、用心に越したことはありません。保険営業の方にも保険契約者の方にも言えることは、先行きに改善が見込めないのであれば、早期に別の道を探るという選択肢も考慮に入れなければならないと言うことです。

医療費控除、還付金は8万円。

医療費控除e-Taxで国税還付金を1月中にゲット完了。

CIMG3629追記3/1:◆ 確定申告1カ月延長、4月16日(木)まで。e-Taxが便利で安全、郵送でも感染リスクなしです。

いよいよ税務署の申告書の受付が始まります。 2020年(令和2年)の確定申告期間は2月17日(月)~3月16日(月)までとなっています。申告後の所得税は確定申告の期限日である3月16日(月)までに納付しなければなりません。

個人事業者などの納税が必要な方は、この期間に税務署に出向いて申告書を提出し、納税します。しかしe-Taxで確定申告をすれば、1月から申告することも可能です。

医療費控除などの納税を伴わない還付申告は上記の確定申告期限に縛られることはありません。したがって1月中に申告から国税還付金の入金まで終えることも可能です。一月末には早くも医療費控除の国税還付金85,677円をゲットしました。

 ◆ 税務署の申告書受付まで(1月31日)に還付金をゲット。

hokenfpは協会けんぽの医療費の通知書を待たずに医療費の領収書を整理して、e-Taxで医療費控除の申告を1月11日に済ませました。その結果、1月31日には国税還付金が振り込まれました。申告書のコピーや領収書、関係書類はファイリングしてあります。領収書は5年間保存義務がありますので、かさばりますが捨てないで下さいね。

国税庁からは国税還付金振込通知書というハガキが来ます。hokenfp家の還付金通知の見本です。

 

還付金額がなんと85,677円、一体いくら医療費がかかっているか人には言えません。もちろんこの間の保険金や給付金はありませんでしたから、医療費はすべて控除対象となりました。人によって還付金額は異なりますが、こずかい程度にはなります。我が家にとって8万円はこずかいどころではなくもはや生活費です。

所得税が還付されると所得税を基準に算定している翌年の住民税もお安くなりますから決してバカにできない金額なのです。

 ◆ 医療費控除の申告は必要な情報資料が揃えば1月頭から可能。

医療費控除の申告は早く出せば出すほど処理も早くなるようです。毎年、確定申告時期の前後にはe-Taxの利用時間が24時間可能になります。実際は、 2020年(令和2年)の確定申告期間は2月17日(月)~3月16日(月)までですが、e-Taxは確定申告期間よりも1ヶ月以上早い、1月6日(月)から24時間利用可能です。いつでも夜でも申告ができるというわけです。

ただ予定表によると毎週月曜日は午前0時から翌朝8時半までメンテナンスになっています。日曜の夜から始めて、もし深夜になるとシステムが停止して困ることになるかもしれません。ご注意下さい。

 ◆ 医療費控除などの還付金の申告は5年以内、いつでもOK。

(納税の申告は期間指定2/17-3/16です。)

毎年、申告時期になると憂鬱な方も早めにe-Taxですませれば、申告期間を気にせずにゆったり過ごせると言うものです。しかし、実際は納税を伴わない還付金の申告は5年間いつでもOKです。慌てる必要はないのですが、締切りがないことはなかなか手がつかないものです。思い立ったが吉日、すぐにe-Taxで医療費控除の確定申告を始めてください。

込み合う税務署の申告会場を避けてスマートに医療費控除の確定申告を行うためには何と言ってもe-Taxが便利です。自宅にいながらすべてが完結してしまいます。国税庁の確定申告等作成コーナーはパソコンが苦手な方でもわかりやすいサイトになっています。(とは言っても初めての方には敷居が高いかもしれません。)ただ、e-Taxをするためには税務署に出向いて利用者識別番号とパスワードを設定する必要があります。税務署に行く時間がない方は確定申告書作成コーナーで申告書を作成し郵送で提出することも選択できます。

◆ 医療費控除、国税還付金ゲットまとめ。

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医療費控除の確定申告はここ数年で大きく変わりました。もっとも手軽に申告する方法を模索しつつ、生命保険金や給付金を受け取るとその分は控除しなければならない理由を調べていくうちにずいぶん詳しくなりました。税務署で利用者識別番号とパスワードを設定してもらいe-Taxも使えるようになりました。

この経験を発信できれば皆様のお役にたつのではないかと思いいくつもの記事を書いてきました。法人保険からは少し外れますが、一部保険の知識が必要なところもあります。それで分かったことは、まだまだ医療費控除の申告のやり方をご存じない方が多く、医療費が10万円以上かかっているにもかかわらず泣き寝入りされている方も見かけます。

手間はかかりますが、じっくり取り組めば必ずクリアできます。hokenfpは毎年1月中に国税還付金をゲットしています。ぜひe-Taxで医療費控除の確定申告をされてあなたも還付金をゲットしてください。

所有者不明土地の原因と無責任を問えない3つの理由。

所有者不明土地の原因と無責任を問えない3つの理由。

全国に所有者がわからない土地が410万haあると言われています。九州の面積(367万ha)より広い土地が宙に浮いているわけです。土地や建物は不動産登記法という法律によって、所有者が登記簿に登記される決まりになっています。

なぜそれなのに所有者不明土地がここまで拡大してしまったのでしょうか。本来、不動産とは価値ある資産のはずなのですが、なぜ所有権を明確にする登記で所有者が確認できないのでしょうか。

ここ数年で数々の法改正や新たな仕組みが登場して、令和6年4月から相続登記の義務化が始まります。今までのように、知らなくてもどうにかなる時代ではなくなりました。士業のビジネス目線ではなく、素人目線で複雑怪奇な所有者不明土地に迫ってみました。

相続登記に必要な書類と手順を、実際にやった素人がわかりやすく。

◆所有者不明土地の原因と問題点。

所有者不明土地の定義:

不動産登記簿で所有者がわからない、所有者に連絡がつかない土地、多数の共有者の特定が困難な土地。

相続が発生したとき、その土地を相続する人が法務局できちんと相続を原因とした所有権移転登記を行えば、所有者が不明になることはありません。しかし、相続登記には、登録免許税や登記にかかる費用が発生します。それで相続登記が義務化される前は、相続が発生しても登記はせず、放置しておく例が多かったのです。

そもそも相続税がかからなければ遺産分割協議などしませんから、相続した土地を売る話でもなければ、相続登記をしようという動機が働きません。その結果、子供たちは都会に独立して家庭を持ち、さらに代が変わっていくと相続による所有権が分散し収拾がつかなくなります。

他にも、引っ越しをするなどして住所が変わっても、登記簿の住所変更までは手が回らないというか、普通は気がつきません。それも所有者不明土地が発生する原因になっています。田舎には、共有墓地や入会山(いりあいやま)など村落で共有して利用してきた土地などがあます。これも多数の共有者があり、代が変わり所有者の特定が難しくなる原因の一つです。

所有者不明土地は、不動産としての価値が低く見捨てられた土地と言うことができます。しかし土地を放置すれば、雑草が繁茂し、中には木が茂り密林のようなところもあります。ゴミ等の不法投棄、粗大ゴミや動かなくなった農機が放置されていることもあります。

そこに古い家でも建っていれば倒壊リスク、火災リスク、害虫の発生、災害要因になります。また土地の有効利用や災害時の再建時にも所有者不明土地は、障害となります。

その結果、大きな社会的な問題として対策が取られるようになってきたというわけです。

◆ 売れない土地の売れない苦労は徒労か。

田舎の土地を売ろうとすれば、隣接している土地の所有者全員に連絡して境界確認の立ち合いをお願いしなくてはなりません。

一つの土地には四方に所有者が異なる隣接する土地があります。公衆道路などの場合は、市町村や県などが所有していますから

連絡は取りやすいのですが、それ以外の隣地は法務局でとってきた登記簿を見ても所有者がわからないことがあります。

登記簿上の所有者はすでに亡くなっており、相続人は遠方に住んでいるような場合は、探し出すのも骨が折れます。住所も連絡先もわからないと、元の所有者が住んでいたご近所に聞いて回るしかありません。

売買できるような土地でも、隣地の所有者を探すのは手間がかかります。まして田舎では到底売れそうにない、問題が多い土地がわんさかとあります。売れない田舎の土地は、そもそも価値がないので誰も欲しがりません。売れない土地の売れない苦労は、徒労になることが多いのです。

道沿いの農地であればまだ売買のチャンスはありますが、少し奥まったところにある農地など誰も欲しがりませんし借り手もありません。今どき採算が取れない稲作をする奇特な人もいません。運よく借りてくれる人があり、野菜でも作ってくれれば、除草の手間が省けて儲けものというくらいです。

相続すると費用がかかるだけでなく、将来的な管理責任や固定資産税の負担が発生します。実は耕作可能な農地でも、相続すると除草などの管理責任と固定資産税が発生します。農業をやる気がないからといって、手放そうにも農地にはいろいろな制約があり簡単ではないのです。

◆ 遺産分割協議の無期限が招く無責任。

相続税の申告は10カ月という期限がありますから、遺産分割協議でもめていると間に合わなくなるリスクがあります。また相続税で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減を受けようとすると期限までに申告する必要があります。

ところが相続税がかからないとなると、申告期限を意識する必要がありません。それゆえ遺産分割協議そのものが開かれないことすら往々にしてあります。とくに評価価値の低い地方の家屋敷や田畑は分けることも難しいですが、そもそも欲しがる相続人がいませんから分ける価値がありません。

その結果、田舎の土地や屋敷はどんどん疲弊していき、都市部だけが高騰し、密集化します。遺産分割協議の無期限が招く無責任などと申し上げましたが、遺産分割協議など関係ない老人比率の高い田舎の貧困層は、無責任と言われようが実際なすすべがありません。

・遺産分割の期間制限が10年に。

遺産分割協議を無期限にしておくと、所有者不明土地の原因ともなりますから、遺産分割の期間が10年と定められました。10年を過ぎると法定相続の割合で分けることになります。10年を過ぎても、別に相続人が相談して法定相続以外で分けてもよいのですが、相続での寄与分の主張や特別受益の持ち戻しの主張などが使えなくなります。

◆ 相続登記未了の無責任を問えない3つの理由。

相続登記ができていないのは、それでも特に支障がなかったからと言えそうです。相続登記の未了が、所有者不明土地の発生する大きな要因であることは間違いありません。

相続した土地が売れるような物件であれば、金に変わるわけですから争族に発展することもあるかもれません。少なくとも土地の売買には所有権移転登記は必須になります。価値ある土地を相続した相続人は、所有権を確定するために義務化されなくても進んで相続登記をするでしょう。

相続登記を先送りして、放置してしまう原因は、その土地に価値がないだけでなく、固定資産税や管理責任を伴うことにあります。相続登記をしていなくても固定資産税や管理責任は免れませんが、それ以外に登録免許税や登記に必要な費用まで負担する気になれない気持ちもわかります。

理由その1) 売れない土地は誰も相続したくないので、相続登記は先送り。

理由その2) 手間と費用がかかるので、相続登記は先送り。

理由その3) 遺産分割協議の話がまとまるまで、相続登記は先送り。

相続登記を先送りする理由はいろいろありますが、売れない土地や家は相続登記のインセンティブ(動機付け)が働かないというわけです。一見無責任に見える相続登記未了は、考えてみれば自然な流れなので、必ずしも無責任とは言えないと思います。

その結果、所有者不明土地法に始まる一連の民事法制の改正になり、不動産登記法の改正による相続登記に義務化につながっています。

◆ 所有者不明土地にしない具体策は、登記簿と公図が強い武器。

令和6年4月1日から相続登記が義務化されることが決まっています。

ここまで、暗い話になりましたが、放置せずに責任もって相続登記をしたり、管理したりするためには、相続した所有不動産の把握が必要です。

この辺の管理は生命保険と同じでエクセルで管理すると一目瞭然になります。

そのためには固定資産税課税明細書の通知をたよりに、登記簿と公図を法務局で入手することです。そして休日に田舎に帰り、境界を確認し写真に収めてくることが大事です。カメラと公図を片手に不審者よろしく、田舎道を歩きまわると徐々に実態が見えてきます。

今や負の遺産になりつつある田舎の土地屋敷は、ますます増加しさらに大きな社会問題になります。今回の相続登記の義務化を契機に、背を向けることなく正しい情報を入手してください。自分にできることを確認することで、わずかながらも光明が見えてくるものです。

相続登記をしなくても、相続放棄でもしない限り、固定資産税は免れることはできません。また相続人には、除草などの管理責任もあります。これまでのように、適当なことはできなくなりました。元気なうちに相続する土地を現認し、境界を確認しておくことは、この先特に重要になってきます。

◆ 所有者不明土地の無責任、まとめ。

今後の方向性としては、相続登記の先送りができなくなり家屋敷・土地所有の責任を明確化することになりそうです。相続で不動産を取得し登記すれば、いかに価値がない不動産でも登録免許税などの費用が発生します。

ここでは相続人同士の責任のなすりつけ合いという、譲り合いの争族が発生することすらあります。親の生命保険は次男・次女がもらうが、田舎の家屋敷は長男・長女が引き継ぐという構図です。

また、縁遠い子なしの伯父さんや伯母さんがなくなると、自分は相続に関係がないと思っていた甥姪あたりにも、代襲相続人として相続登記義務化のお鉢が回ってくる可能性があります。

所有者不明土地問題に端を発した相続登記の義務化は、地方の土地活用の大きな流れを生み出すでしょうか。今回の一連の法改正は、所有者不明土地法だけでなく、民事法制全般に及ぶ大改正となっています。自分は関係ないと考えている相続人のほとんどに影響があります。もはや知らんふりはできない相続登記の義務化と言えそうです。

住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。