年金受給権の相続税評価をとことんわかりやすく説明。

年金受給権の相続税評価をとことんわかりやすく説明。

ここで取り上げる年金受給権とは個人年金保険です。公的年金には遺族厚生年金や遺族基礎年金が相続の後に関係してきますが、別項にゆずります。

余裕があってもなくても、知り合いの保険営業からすすめられて個人年金保険の一つや二つは入っているものです。予定利率の良いころには今から見ればおどろくほど率の良い終身年金などもありましたが、今では予定利率は史上最低、貯蓄性の高い年金保険は、保険とは名ばかりで金融商品としての妙味はほとんどなくなりました。それでも年金保険の貯蓄機能は老後に備える意味で、資金の賢い先送りといえると思います。

生命保険では過去に契約したものはその時点での予定利率が既得権として引き継がれます。良い時期の年金保険も支払いが終わって年金の受給権が発生すると年金の受取りが始まりますが、相続という区切りで仕切り直しが近づいてきます。年金の受給権は相続でどのように評価されるのでしょうか。

国税庁のサイトの説明を読んで理解できる人はほとんど限られた少数派でしょう。多くのサイトでもわかりやすく説明することに苦心していますが、それでも一般の方がちゃんと年金の受給権を理解するにはハードルが高いと言えそうです。

わかりにくい年金受給権の相続での評価をできる限りやさしく、わかりやすくを心掛け、誰でも理解できる事例を交えた説明にチャレンジしました。プロの方にはわかりきった話かもしれませんが、少々お付き合い下さい。

◆ そもそも年金保険とは。

ここで言う年金保険とは公的年金とは関係がなく個人的に保険会社と契約する年金保険です。保険料は一時払いと分割払いがあります。一定期間保険料を保険会社に支払い年金支払い開始日から年金を受け取ることになる契約です。登場する役者は下記の4種類です。

・契約者(保険料負担者)

年金保険の契約を保険会社と締結し保険料を支払う方です。

・被保険者

保険ですから体を提供する方が必要です。被保険者の生死が年金支払いでは問題になります。

・年金受取人

年金を受け取る人は契約者自身のこともありますが、それ以外の方を指定することもできます。

・死亡給付金受取人

年金支払い開始前に被保険者が死亡するとそれまでの保険料相当を死亡給付金として死亡給付金受取人に支払います。

◆ 年金の受給権が相続税や贈与税の対象になる場合。

年金は最後までもらえればよいのですが、途中で相続や死亡事故が発生すると年金の受給権が相続税や贈与税の対象になる場合があります。これを4つのパターンに分類して具体的に解説を試みます。

①年金の支払いが開始されたときに年金受取人と保険料負担者が異なっている場合があります。

よくあるケースでは親が契約者で子を年金受取人にして一時払い年金に加入すれば、年金支払いが開始すれば、保険料負担者の親から年金受取人の子へ年金に関する権利が贈与されたことになります。

これが一番厄介なケースです。

年金支払いの初年度は年金受給権全体に対して一気に贈与税がかかります。贈与税の基礎控除110万を引いた残りの評価額に贈与税がかかってしまいます。2年目からの年金受取金額は、評価額より多くなりますから贈与税の対象となった年金受給権の評価額を差し引いた増加分に対して雑所得として所得税が課税されます。

やばいと思って契約者を変更してもダメです。

誰が保険料を負担したか税務署はわかりますので、どこまでが贈与でどこから所得になるのか分けて考えなくてはなりません。この事例はよくあります。一時払い年金で契約者と年金受取人が違う場合は後で困る場合があります。

②年金保険は10年確定年金や保証期間付終身年金などがあります。

被保険者が年金受給中に亡くなっても保証期間の年金は相続人が継続的に受け取ることができます。例えば親が契約者で年金受取人が親の10年確定年金は、年金受給開始3年で親が亡くなっても、残り7年分の年金受給権は子(相続)や孫(遺贈)を継続受取人として引き継いで受け取ることができます。

あたりまえの権利ですが、その年金受給権に相続税が課税されるということになります。受給権ですからキャッシュではありません。相続税がかかる遺産があれば、相続税は払わなくてはならないので注意が必要です。相続税がかからなければ、そのまま継続的に受け取っておけばよいのですが、年金受給権の評価額より増えた分に対しては雑所得がかかります。

③確定年金や保証期間付き年金の年金支払い開始後に年金は受け取っているが保険料を負担していない年金受取人が死亡するようなこともあります。

例えば父親が契約者で被保険者、母親が年金受取人のような場合があります。その場合母親の死亡で、年金受給権が保険料負担者でない子に継続年金受取人として引き継がれると、保険料負担者である父親から子に年金受給権を贈与されたことになります。ここでも贈与税が出てきます。残念ながらただもらいはできないようになっているのですね。

④被保険者死亡により支払われる死亡保険金が年金で支払われる生命保険契約の場合、被相続人が保険料を負担していて、その死亡により年金(死亡保険金)の給付事由が発生すると、その年金受給権は相続又は遺贈により引き継がれます。

分割で保険金を受け取るので年金受給権といいますが、要するに死亡保険金の分割受取りのことです。年金受け取りにすると相続財産としては年金受給権の評価額で計算されるというわけです。死亡保険金は受取人固有の財産になりますが相続税は課税されますよということになります。

◆  年金の種類による年金受給権の評価の違い。

・確定年金

被保険者の生死に関係なく約束された期間、年金を支給する契約。

10年とか20年とか期間を決めて契約します。被保険者が契約者の場合年金受給中に途中死亡すれば、残存期間の年金受給権の評価額はそのまま相続財産に合算されます。

・終身年金

被保険者が生存している限り年金は100歳でも200歳でも出続ける打ち出の小槌のような年金保険です。終身年金には確定年金のような残存期間はありませんが、親が契約者で子が被保険者兼年金受取人の場合、親が死亡したときには年金受給権の評価額で相続税の対象になります。

「確定年金」と「終身年金」の年金受給権の評価は、下記のいずれか多い金額になります。というか普通では③が多くなると考えられます。

①解約返戻金

②一時金の額(一時金で受け取れる場合)

③年金年額×残存期間の予定利率による複利年金現価率

(終身保険では残存期間は被保険者の平均余命)

・有期年金

期間を定めた年金契約、期間内でも死亡により年金契約が終了。早期死亡の保証はありません。終身年金と同じく、被保険者死亡で年金契約は終了しますから、長生きばくちのようなところがあります。

年金受給権の評価は、有期期間を確定年金として算出した評価額と被保険者の平均余命で算出した評価額の少ない方になります。

保証期間付終身年金

・保証期間付有期年金

保証期間付の年金契約であれば安心がありますが、その分保険料も高くなります。でも最近の年金保険では保証期間付の年金保険が人気のようです。年金受給権の評価額は込み入りますのでここでは割愛します。

◆  年金受給権の相続税評価がわかりにくい原因。

年金受給権の権利は確かに複雑なところがあります。自分でかけて自分で受け取るなら何の問題もありませんが、親心は子の行く末を案じ、できることは何でもしてやろうという気持ちになるものです。そこに親が契約者で年金受取人が子という契約が生まれる余地があります。

子が小さい時から親が契約者になり貯金のつもりで年金保険に入る場合もあります。親がガンになりがん診断給付金が出たのを機に、一時払いで子に年金保険をかけ子を年金受取人にする親御さんもありました。

いろんなケースがありますが、贈与税に注意ということは変わりません。年金受給権の相続税評価は以前の様に大幅な評価減のスキームは道が閉ざされて、おおむね丸まる評価になったとお考えください。

■終身年金の有り難さ。

終身年金の有り難さ。

◆  年金受給権の相続税評価、まとめ。

年金受給権での注意事項は、年金受給権は相続税の対象ですが死亡保険金控除の対象外、しかし年金保険の死亡給付金は死亡保険金控除(500万/相続人1人)の対象となります。ややこしいですね。

年金契約は保険料を負担する契約者と年金受取人が異なると年金受給権の評価額で贈与という問題が出てくる可能性があります。今一度お手元の保険証券や契約内容のお知らせなどで確認され、保険契約に詳しい方に相談されるのがよろしいかと思います。

いざとなれば、年金受給権を譲り受けた方が贈与税を払えばよいのですが、他の方法としてあっさり解約して現金化すれば損得の確認は必要になりますが、キャッシュであればどうにでもできます。

贈与税は何度も申し上げてきましたが、一般庶民には納得できない悪税です。我が子の家の頭金でも金額に気を付けながら渡してやらねばなりません。相続税がかからない貧しい庶民なのに贈与税などで税務署からにらまれないよう細心の注意をお願いしたいところです。

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