相続準備が進まない本当の理由。

相続準備が進まない本当の理由。

遺言書が書けない理由は様々です。遺言書が書けないオーナー経営者の相談を受けながら気が付いたことがあります。じっくり話し込むと本音の部分も見えてきます。

2019年に民法が改正され相続法が大きく変わりました。遺言書の制度も画期的に変わったと言えると思います。遺言書の財産目録はパソコンで作成することが認められ、法務局で保管という使い勝手の良い制度が始まりました。遺言書を作成するハードルが大きく下がっているにも関わらず、いまだに遺言書どころか財産目録の整理ができないというのは、一体どうしたことなのでしょうか。

遺言書が書けないもう一つの深い理由を記事にまとめました。

民法改正の情報は下記の記事をご参考になさってください。

遺言書の財産目録はパソコンOK、それでも書けない被相続人。

改正民法2019|遺言書の法務局保管、PC作成。

◆ 相続準備が進まない本当の理由は死にたくないから。

不死身のオーナー経営者と言えども相続準備は自分の死に近づくことを確認することになるようです。

人間は誰でも死亡率は100%ですから、人生の区切りとして納得して受け入れられるかというと、資産家ややり手のオーナー経営者ほど内心では自分に迫りくる死を素直に受け入れられないようです。

人生においては一応の成功者ほど、いくらお金を積んでも自分の意のままにならない死は怖いもののようです。

ポロっと聞こえた本音の話ですが、相続準備を始めたくない本当の理由は、死にたくないということであり、死への恐れがあるようです。どういうことかというと例えば借金を清算したり、相続準備として身の回りを整理したりすると妙にお迎えがやってくるというのです。

人は年をとればとるほど加速度的に早く老いていくように感じます。早くしなければ気力がなくなることは理解できているのですが、相続財産の目録整理が進まないのは、取り掛かると人生が次のステップに進みそうで怖いというのが本音なのです。なんとなく気が乗らない、やる気になれない抵抗感は整理したら人生の終わりが来るかもしれない不安があるというわけです。相続整理を始めたり遺言書のことを考えたりするのは自分にとって死を認めることになり、どうも縁起が悪いという気持ちがあるようです。

この心理は、そのお年にならないと理解できない微妙なもののようです。

遺言書の法務局保管開始、検認不要で費用激安。

 

改正民法2019|遺留分の現金支払と特別受益もち戻しの時効。

◆ 相続準備が進まない本当の理由、まとめ。

海千山千のオーナー経営者が最後に困るのが相続準備です。万が一相続財産を整理する前に認知症にでもなった日には大変なことになります。

心血注いできた会社の存続にすら影響があります。経営者なら事業承継対策も怠りなく準備され、自社株もテクニックを駆使して安い価格で後継者への贈与が終わっていると思います。

会社の経営を任せる相続人とそれ以外とでは相続財産を公平に分けることはできません。経営を任せる後継者に資産を集中し、それ以外の相続人には遺留分を侵害しないように財産分与を設計しておかなくてはなりません。そのためには相続財産の目録と遺言書はどうしても避けて通れません。

自分の死と向き合う相続財産の整理や遺言書は、気が乗らないかもしれませんが会社やそれにかかわるステークホルダーの運命にも影響があるのです。認知症はご自分ではどうすることもできない厄介な事故のようなものですが、高齢になれば間違いなく高い確率で忍び寄ってきます。気がついたら手遅れ、というか認知症という事態に気が付くことがもはやできないという、まさに認知症の怖さがあります。

せっかく民法の改正によりパソコンで相続財産の目録が作成できるようになり、遺言書を何度も手書きで書き直すような手間はなくなりました。遺言書の法務局保管制度も使いやすくとても安価です。これを機に、相続準備が滞っている方の勢いがつくことを祈念しています。かくいうhokenfpは依頼者の目録を作成しますが、自分の目録は相変わらず先送りしています。

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