遺言書の財産目録はパソコンOK、それでも書けない被相続人。

遺言書は手書き、財産目録はパソコンOK、それでも書けない理由が深刻。

本来、遺言書は全文手書きが原則でしたが、財産目録の部分だけはパソコンで作成できるようになりました。これは便利になったので遺言書作成のハードルはずいぶん下がったと思います。

パソコンで作成可とはエクセルなどのソフトを使って財産一覧表のデータを作成し、プリントアウトしたものを遺言書に添付(本人の署名捺印は必要)すれば有効ということです。修正や変更のたびに遺言書を全文書き直さなくても、データの一部を修正しプリントアウトすればそれでOKです。

相続税がかからなくても世の被相続人は、全員が遺言書を書けば争族は半減することは間違いありません。しかし遺言書作成のハードルは下がりましたが、遺言書を書けない理由は相変わらず残っています。一人でも多くの被相続人が遺言書の作成に取り組めるよう残っている問題点を整理しました。原因がわかれば次の行動が見えてくるというものです。

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◆ 財産が特定できる情報が整理できていない。

相続税の試算はしたけれど遺言書が書けない理由は、財産が特定できる情報が整理されていないことが原因です。相続税の試算を税理士に依頼しても、その資料がそのまま遺言書に添付できる財産目録になるわけではありません。不動産なら一筆ごとの正確な地番、保険契約なら証券番号のように完全に特定できる情報が必要です。

遺言書は被相続人の手書きが必須ですが、財産目録はエクセルなどのパソコンで作成することが認められました。とても便利になりましたが、遺言書に必要となる財産の情報が軽減されたわけではありません。財産を一つずつ特定する情報が整理されていなくてはならないという点ではこれまでの遺言書と何ら変わることはありません。

◆ 相続財産を誰に渡すかが最後まで決められない。

これは全国の被相続人共通の悩みではないでしょうか。法定相続になったとしても相続は相続人にとって決して公平なものではありません。しかし被相続人は、自分の思いで公平にしたいと思っています。そもそも自分の財産ですから自分が自由にする権利があるのですが、財産分与を決めることの本質は、相続人である我が子に対する最終評価を決めるようなものですから躊躇(ちゅうちょ)があるのも仕方がないと思います。

■遺言書とはグレーなものに白黒をつけること。

■遺言書が書けない本当の理由。

◆ 財産を人に知られたくない、相続人に教えたくない。

資産家のオーナー経営者ほど秘密主義だと思っていましたが、ご自分の財産を人に知られたくない、相続人に教えたくないという傾向は財産の多寡(たか)にかかわらず一般的な傾向のようです。この心理が遺言書の活用を阻害しているように感じています。

財産を人に知られたくない心理の背景には、財産がたくさんあるということは他人の妬(ねたみ)みや嫉(そねみ)みにつながるので避けたいという思いです。だれにも嫉妬心は心の底にありますから、資産家の財産目録を見せられてうらやましく思う人はあってもうれしく思う人がいるわけではないので、理解できない心理ではありません。

困ったことは、相続人にはできるだけ財産を見せたくないという心理が働きます。相続税の試算をするためには、税理士にはさすがに財産を見せるしかないのですが、それでも出し惜しみをするくらいのものです。

財産を知られたくない心理、相続人に教えたくない気持ちが財産目録の作成を遅らせる原因の一つになっていることは間違いないところです。

■遺言書、書き損じればただの遺書|それでも解らない経営者へ。

■遺言書は今年のお盆に、そこまで言う理由をまとめました。

◆ パソコンやスマホは使えるがエクセルは使えない。

ご高齢の方に意外と多いのは、パソコンやスマホはメールのやり取りや株価検索などで日ごろから利用していても、エクセルやワードは使えないという方です。

資産家やオーナー経営者は、財務分析は社員に任せますし、資料は大きな字でコピーした紙ベースで見られますからエクセルをパソコンで見る必要がないのです。パソコンのモニターでエクセルを見るということは老化した目につらいということもあります。老眼でも近眼でもない、目のピントが合わないというのは、ご高齢の方には経験がおありかと思います。

せっかくエクセルで財産目録が作成できるのですが、ご自分では作成したり修正したりすることができないというジレンマです。人に知られたくないなら自分でエクセルを覚えるしかないのですが、パソコン教室まで行って最後に断念するという気の毒なパターンがあります。

■遺言書が絶対必要な理由。

◆ 腹の決まらない被相続人の悲劇、迫りくる認知症の恐怖。

財産目録をパソコンで作成しても、どの相続人に何を相続させるかが決まらないと遺言書にはなりません。これがなかなか重い仕事なのです。エイヤッ!で決めるしかないのですが、いろんな思いが去来して腹の決まらない被相続人はいつまでも迷い続けます。

相続人だけでなく孫の顔がちらつくともういけません。鉛筆で書いては消し書いては消し、結局先送りすることになると付き合う方も含めてもう悲劇です。

ご高齢の方は新型コロナウイルス感染症の例を挙げるまでもなく、ご病気のリスクが高いです。さらには認知症という恐怖もあります。認知症ならば身体が健康でも遺言書は、もはや書けなくなります。迫りくる老化と認知症を前に、被相続人の苦悩は深まります。

資産税専門の税理士が被相続人に対し、相続人が集まるところで遺言書の意図するところと、ご自分の思いを説明するようアドバイスしてもなかなか腰があがるものではないのです。なぜ遺言書が書けないかという理由がわかれば、ひょっとして被相続人が腹をくくることもできるのではないかと思った次第です。

※遺言書に関して参考になりそうな過去の記事です。結構奥が深い世界です。

■遺言書の誤解、遺書の無力まとめ。

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