
生命保険の営業をしていると、「私は保険が嫌いだから」と
最初から線を引く方に出会います。
飛び込み営業をしていた頃も、そういう方は決して珍しくありませんでした。
ところが不思議なことに、愛想よく話を聞いてくれる人より、
保険嫌いを公言する人のほうが、実は見込み客に近いと感じることがありました。
保険嫌いなのになぜ見込み客なのか。
売る側と買う側の両方を経験した立場から、その理由を考えてみたいと思います。
・飛び込み営業では、ときどき保険嫌いに出くわします。
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◆ 保険嫌いの本質的な原因。

保険嫌いという方と腰を据えて話をすると、意外な共通点があります。
それは、保険について何も知らないわけではないことです。
むしろ多少なりとも知識があり、過去に何らかの経験をしていることが少なくありません。
よく考えてみれば当然です。
人は知らないものを嫌うことはできますが、本気で嫌いになるためには、
ある程度その対象を知っている必要があります。
野球に興味のない人は特定球団を嫌いになりません。
生命保険も同じです。
保険嫌いという感情そのものが、保険に対する関心の
裏返しである場合があります。
もちろん、人には未知のものを警戒する本能があります。
生命保険は形が見えません。
家や車なら目の前にありますが、保険は証券と約款しかありません。
だから目の前の保険営業が、そのまま生命保険のイメージになることがあります。
生命保険は商品力だけで売れないと言われます。
保険営業では「人間力が商品になる」という言葉がありますが、
現場にいると確かにそう感じる場面が少なくありません。
◆ 生命保険嫌いの3つのタイプ。

私の経験では、保険嫌いは大きく3つのタイプに分かれます。
・保険金が出なかったことを恨んでいるタイプ
最も多いのがこのタイプです。「保険に入っていたのに保険金(給付金)
が出なかった」「聞いていた話と違った」というケースです。
そんな不満や誤解が積み重なり、保険そのものへの不信感に変わっています。
実際には契約内容や告知義務の問題である場合もありますが、
契約者から見れば結果がすべてです。
嫌な経験は強く記憶に残ります。
・加入を断られた経験があるタイプ
健康上の理由で加入を断られた方です。
本人からすれば、「いざ入りたい時に断られた」という感情になります。
生命保険は相互扶助の仕組みですから、保険会社にも引受基準があります。
しかし感情の問題としては、それで納得できないこともあります。
保険会社への不信感が残るのも無理はありません。
・保険会社そのものが信用できないタイプ
保険の仕組みがよく分からず、「なんとなく怪しい」
「保険会社だけが儲かる仕組みだろう」という印象を持っている方です。
私はこれを勝手に「無知全面タイプ」と呼んでいました。
少々辛口ですが、実際にそう感じることがあります。
ただ、このタイプは正しい知識を得ることで考え方が変わる余地もあります。
◆ アンチジャイアンツも巨人ファンの内。

昔から、「アンチジャイアンツも巨人ファンの内」と言われます。
生命保険にも似たところがあります。
保険嫌いと言っていても、話を聞けば保険のことをよく知っていたり、
以前は真剣に検討していたりすることがあります。
無関心な人より、よほど保険について考えているのです。
だから保険嫌いを頭から否定する必要はありません。
なぜ嫌いなのか、どこに不満があるのか、そこを理解する方が先です。
保険営業にとって重要なのは、反論することではなく、
相手の考え方を理解することだと思います。
◆ 生命保険で得をしようとすると話がおかしくなる。

保険嫌いの根底には、損得勘定があります。
これは決して悪いことではありません。誰だって自分のお金は大事です。
問題は、生命保険を投資商品と同じ尺度で評価してしまうことです。
生命保険は本来、保障を買う商品です。
事故も病気もなく平穏に暮らせば、支払った保険料は戻りません。
お金の出入りだけを見れば損です。
しかし本当にそうでしょうか。事故もなく、病気もなく、家族も無事だった。
保険金を受け取らなかったということは、その平穏が続いたということです。
実はそれこそが、保障が役に立たなかった幸せな状態なのです。
ところが、人は数字で比較すると、「払った金額」ばかり見てしまいます。
結果として、「保険は損だ」という結論になります。
◆ 保険で得をするときには悲劇も起きている。

ここが保険営業として最も伝えたい部分です。
生命保険で得をしたと言われる場面があります。
入院給付金を受け取った。高度障害保険金を受け取った。
死亡保険金が支払われた。
確かにお金だけを見ればプラスかもしれません。
しかし、その裏側では病気や事故、あるいは家族との死別があります。
生命保険で大きく得をしたと言える状況は、
往々にして人生の悲劇と表裏一体です。
保険金を受け取ったから得をした。
この損得勘定だけで考えると、本質を見失います。
本当に望ましいのは、保険金を請求する必要もなく
平穏な人生を送ることではないでしょうか。
筆者は長く買う側の立場にもいましたが、今でもそう思います。
◆ 生命保険嫌い、まとめ。

生命保険嫌いの方を分析すると、その多くは損得勘定から保険を見ています。
保険料を払って何も起こらなければ損、保険金を受け取れば得というわけです。
数字だけを見ると確かにそう見えます。
しかし生命保険は、本来そういう商品ではありません。
家族に起こり得る経済的なリスクを金銭で軽減する仕組みです。
平穏無事に過ごせたなら、それは保険が役立たなかったのではなく、
不幸な出来事が起きなかったということです。
保険営業に求められるのは、商品の説明以前に、
この考え方を理解していただくことだと思います。
もちろん現実には、保険会社の事情も営業数字の事情もあります。
裏側を知れば知るほど、格好のよい話ばかりでは済みません。
後一件の成果に追われる保険営業は、そのことを見失いがちです。
それでもなお、生命保険を扱う人には「リスクへの備えを伝える仕事なのだ」
という使命感が必要ではないかと思います。
売る側を3年経験し、その後20年以上買う側として
保険を見続けてきた今でも、その考えは変わりません。
■保険営業という仕事の本質を体系的に解説したページ
→保険営業という仕事の現実|売る側と買う側の決定的なズレ。
「生命保険嫌いの本当の理由|保険営業を悩ませる損得勘定の正体。」への2件のフィードバック