保険ショップのお家の事情、杉山将樹の命の値段。

保険ショップのお家の事情、杉山将樹の命の値段。

来店型の保険ショップとは、乗合保険代理店です。2022年8月現在、経営企業273社、全国に2,500店以上あるそうです。平成28年に施行された改正保険業法により、保険募集行為に関する規制が厳しくなり、保険ショップも伸び悩みが見られます。

■保険営業に向いている人にプロの微妙なコツを詳しく伝授。

◆ 死亡保険金は命の値段。

「ほけんの110番」は九州方面に展開する保険ショップです。株式会社ほけんの110番を経営する杉山将樹氏の「死亡保険金は命の値段、もっともシンプルな保険選び」を読んでみる機会がありました。私の頭に残っていることを箇条書きにすると・・・下記の12件です。

・よい保険悪い保険という区別はない。

・医療保険よりまず家族を守る死亡保障。

・保険に加入する目的は何か、何のための保険か考える。

・家族が生きていくための必要額を算出したか。

・本当に必要なものは最悪の場合に備えた死亡保障。

・ライフプランに基づいて保険設計しているか。

・人生の節目節目に保険を見直す必要性。

・迎合的安易な保険コンサルに警鐘。

・生命保険はオーダーメイドが基本。

・安易な医療保険や傷害保険で道を誤るな。

・手の内を明かさないとよい保険設計はできない。

・夫婦で相談しお互いがリスクを理解し保障を理解する。

全く金儲けのくせに理屈は通っているし、保険的に見て言っていることは基本的に正しいといわざるを得ません。それやこれやを鑑みて言えることは固定給で保険を売ることは難しい、故にコミッション制はやむなしです。

また保険業界では、本当にお客様のことを考えて提案できる余裕は、それほどないというのが実情です。まず自分の生活があり、それを豊かにするために働いているのですから、どうしてもきれいごとは二の次になってしまう面があります。

この本を読むと見事に本音が見え隠れします。週刊ダイヤモンドに保険ショップの問題をかかれて、委託型募集人問題に悩みつつ起死回生のブランド戦略なのでしょう。

本音は別にして、生命保険の入門書としてはとてもまともなことを書いています。これから保険に入る人には、是非読ませたいくらいにしっかりした内容です。杉山氏も経営者ですから、金儲けの戦略で書いたのでしょうが内容的には不思議に契約者のタメになっています。

生命保険のあり方を考えると「その通り」と膝を打つこと数回です。これによりほけんの100番は成績を上げるでしょう。それはそれで結構なことです。

ところが、その株式会社ほけんの110番はニッセイに身売りしています。改正保険業法の施行の翌年のことです。保険販売の先行きに不透明感を感じた変わり身と言えなくもないところです。

■株式会社ほけんの110番の株式取得に関する合意について

日本生命保険相互会社(平成29年3月24日)https://www.nissay.co.jp/news/2016/pdf/20170324.pdf

◆ 改正保険業法と保険ショップ。

改正保険業法の施行により、保険営業の営業スタイルは変わったのでしょうか。保険ショップに影響が大きいポイントは3点「意向把握義務」「情報提供義務」「募集関連行為」です。

現行保険業法では「顧客に対する説明」「重要事項の説明義務」を定めている以外は、虚偽説明の禁止、虚偽告知の禁止、不利益事実を説明しない乗換募集の禁止、誤解を与える比較表示の禁止、断定的判断の提供の禁止、重要事項に関する不当表示等の禁止などがあり、情報提供に関しては、禁止規定が多くなっています。

国内生保では当たり前のインセンティブ戦略ですが、保険会社が代理店や保険ショップにこれをすると、過度な販売支援策となるそうです。ビジネスは競争ですからより有利な条件を出した方に仕事が流れるのは当然です。手数料の高い保険商品を売るように動くのは、水が高い方から低い方へ流れるくらい自然なことです。

せき止めようとしたところで、無理なダムはいつか決壊します。顧客本位かどうか、これは保険販売の現場では難しいのです。金融庁が保険ショップに対するインセンティブを、不透明な慣行を言い切ることにも疑問を感じる部分があります。

それを言うなら、保険販売のコミッション制そのものが問題と言うことにつながります。しかしコミッション制も成果報酬制も保険を売るためには、有効かつ必要な仕組みです。保険ショップの経営の難しさも同じところに原因があるように思います。

◆ 保険ショップと保険相談の敷居、まとめ。

長々と書いてきましたが、保険業界は図らずも契約者のためになる厳しいコミッション制をとっているのです。

損保と違いリスクを自覚することが少ない生命保険は、すすめられなければ入れません。信用できる人から懇々と諭されなければ、自分のリスクに気づきません。さらにドンと背中を押してやらないと、最後の決断ができないのです。これが契約者のためになっています。

相互扶助がわからなくてもいいのです。貧乏人は払える範囲で目いっぱい家族を守る保険に入ることです。それが長い目で正解になります。そういう意味では、保険代理店と違い保険ショップは、保険相談の敷居が低くなりました。

なにごともなく、保険料が無駄になったと思える満了時期が来れば、それ以上の幸運はないのです。改正保険業法で規制してもしなくても、誠に因果なものですがこれが生命保険です。図らずもこれで多くの人が救われています。

保険に正解はないし正しい生命保険の見直し方もない。

保険営業の宿命は過酷、コロナお盆に焦燥感。

生保、落日の「GNP営業」はミスリード。

かんぽ生命の体質はノルマだけではない。

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