保険業法で規制されている独自資料のやり放題、保険代理店の野放し。

奥が深い保険業法で規制されている独自資料のやり放題、保険代理店の野放し。

保険営業にもそれぞれのスタイルがあります。でも保険業法第300条では保険募集人がやってはいけないことが定められています。保険会社所属の保険営業は、自作の独自資料は認められていないのです。保険代理店も保険業法に規制を受ける保険募集人です。

しかし保険代理店の営業ともなれば、保険会社の社名を列記した比較資料はあたり前です。さらに代理店の研修用資料でもなんでも持ってきます。そもそもルールを意識しているとも思えない無法ぶりです。説明を受ける顧客は、保険業法など知りません。誰もチクったりはしませんから、問題になることもあまりないようです。

保険提案のために独自資料を作成することは、顧客にとってはわかりやすいです。しかし比較資料としては、フェアではありません。誤解を招くような資料を作成して提案することは、保険を販売するものとしてほめられたことではないのです。

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◆ 保険提案には保険業法に定められたルール。

保険外交員や保険代理店は、保険業法にのっとった販売活動をしなくてはなりません。顧客である契約者保護の立場から、保険募集には保険業法第300条に規制が定められています。違反したものに対しての罰則も定められています。

罰則としては登録取り消しや業務停止命令、または業務改善命令等の行政処分のほか1年以上の懲役、もしくは100万円以下の罰金まであります。これが結構厳しいのです。

なかでも第1項第6号では、誤解を招く比較説明として以下のように定められています。

「保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為。」

乗合い保険代理店は、複数の保険会社の提案は一枚の比較表にして提案してきます。どこでもやっていることですが、売りたい保険を中心に資料を作成すれば、これはやはり保険業法的にはグレーゾーンの可能性があります。

しかし保険といえども比較購買するための情報を提供するのは、販売代理店の役割とも言えます。正確な情報で顧客が理解した上で、比較購買の情報提供は顧客利益につながります。

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◆ 契約者が誤解する提案は問題。

保険会社各社が保険外交員に独自資料の作成を禁止しているのは理由があります。営業ではフェアで正確な資料作成ができないため、保険業法に触れることを恐れています。保険の提案用の資料は保険会社が作成し、承認された資料以外に提示することは厳しく禁じられています。

今にして思えばやむなき処置ですが、保険会社に所属しているときは全く憤慨したものです。本当に何もできないのです。それだけに違反行為と知りつつも、独自資料を作成する保険代理店の事情や気持ちはよくわかります。

ただ独自資料というのは間違いがないとしても、契約者にかたよった情報を与えるリスクは高いと言わざるを得ません。

それにもまして、今月あと1件できなければ資格を失い廃業というような保険営業には、保険業法のコンプライアンスが通じるとも思えないようなケースもあります。

◆ 事務手数料は保険料の割引と同じ。

節税目的の法人保険の比較をするときは、保障内容や保険料が安い会社ではなく、保険料が多くかけられて、解約返戻率がよいものを選びます。節税目的半分、事業保障半分のような半損の長期定期保険でも、解約返戻率は一番の比較要素になります。

そのとき事務手数料があると実質的な返戻率は、事務手数料の率の分だけよくなることになります。多くの会社では20名以上の契約があると団体契約として事務手数料の割引が2%~3%が受けられます。

事務手数料とは言え保険料の割引ですから、その分が実質的な解約返戻率を押し上げるわけです。

事務手数料の割引を受けるために、最低の保障額で社員を必要人数分加入させることがあります。別に保険料が余分にかかっても事務手数料の割引の方がメリットがあるわけです。事務手数料の割引が効く会社とそうでない会社は解約返戻率では多くの場合、勝負になりません。

ただ事務手数料は保険取扱事務を行った会社に支払われる手数料ですから、解約返戻金ではありません。この事務手数料を解約返戻率 にのせた、実質返戻率の資料を独自に作成して提案するのはいけません。保険業法的には、やはり顧客に誤解を与えかねないグレーな手法です。

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◆ 剛腕代理店は独自資料で独自説明。

保険業法などなんとも思っていないかのような代理店営業もいます。結果を出す代理店には、保険会社も言いにくいのでしょうか。前項で申し上げたような事務手数料を上乗せした提案書を、独自資料として提出することもあります。

買う側がその辺の事情を理解していれば、確かにわかりやすい資料なのです。でも、たぶんそこまで理解できている経営者はほとんどいないように思います。単に保険会社のA社は実質返戻率がどこよりもよいと理解します。

誤解するとまで言えないかも知れませんが、正しく理解できているとは言いがたいところです。独自資料を作成すると、どうしても売りたい保険商品が目立つように工夫してしまいます。保険業法の立場からは、誤解を招く資料となりそうです。

◆ 提案内容は理解できるまで確認、セカンドオピニオンが重要。

保険を売る側にもそれなりの理屈と事情があることは、おわかりいただけたのではないかと思います。それだけに保険代理店一社だけの情報に頼るのは感心しないところです。

保険提案は複数の窓口を作っておき、セカンドオピニオンとして活用することが大切です。確かに複数の保険代理店と付き合うのは気が重いし、骨が折れますが保険は大きな買い物です。

保険提案を受ける側として注意することは、理解できるまで確認することです。奥が深い保険という商品は、通り一遍の説明で理解できるものではありません。保険会社が異なればさらに保険商品も大きく異なります。

しっかり聞く、わかるまで聞く、その上でセカンドオピニオンです。ただセカンドオピニオンが別の保険代理店ということになると、話はより込み入ってしまう場合もあります。

保険を売るための資料ですから、売りたい保険をよく見せようとするのは、よくあることです。売りたい保険を一番見やすいところに持ってきたり、色を変えて強調したりすることはあり得る話です。

今では、実質返戻率を表示することは禁止されています。代理店の資料では、実質返戻率とは書いてありませんが、それわかるようにしてあります。約束されていない配当を込みにして単純返戻率以外に、返戻率を提案書に印字してくる生保もあります。

◆ 保険業法とグレーゾーン、まとめ。

保険会社に所属する保険外交員は、自分が所属する保険会社以外の商品を売ることはできません。もともと別の保険会社の商品と比較購買を提案することはできません。これは仕方がないことです。

それに対して保険代理店は複数の保険会社をあつかうことができますから、比較購買することが可能です。

最近では保険会社所属の保険営業は、会社で出せる提案書以外の資料を使用することはほとんどなくなりました。グレーゾーンの提案を行うのは、乗合いの保険代理店です。

保険営業や代理店が保険業法を順守するのは当然のことです。しかし買う側も売る側の事情をわきまえて、保険の比較検討を行い、過剰な説明は割り引いて聞くぐらいの度量が必要になります。

経営者の引退間際の悩みをとことん深掘り、共感間違いなし。

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