M&A節税と事業規模拡大。

M&A節税と事業規模拡大。

2021年度税制改正関連法には、中小企業のM&A (事業譲渡、買収)に対する税優遇が多数盛り込まれました。

M&Aは増加しており取り扱う機関も多種多様です。M&Aをビジネスとする企業は活発な動きを見せています。

日本の中小企業が抱える最大の問題は事業承継ではないでしょうか。中でも後継者不足は実際深刻なものがあります。後継者不足の切り札としてM&Aは活用が広がると考えられます。M&Aと言えば、どうしても敵対的なイメージがありますが、多くのケースでは双方の合意と納得をもとに、売り手も買い手もメリットが享受できるM&Aが主力になってきています。

そんな中、降ってわいたように税制改正にM&A優遇が出てきました。税制面の優遇策は特別に手厚くされました。国策の一環ですが、ポストコロナ時代の目玉として、中小企業の整理集約が進むのでしょうか。それが国民の望んでいる方向性なのでしょうか。

◆ M&A節税で飛躍のチャンス。

節税保険が国税通達によって封じられてから、保険に変わる課税繰り延べの仕組みとしてオペレーティングリースや4割損金保険の組み合わせを検討する中で、M&Aでの節税策にたどり着いたというわけです。

節税保険壊滅、令和元年の悲劇しめくくり。

節税保険が必要な企業というのは、継続的に利益が出て内部留保もしっかりしている会社が多いわけです。そういう企業は蓄えた利益をどのように有効に使うかを考えます。企業が成長するためには売り上げを伸ばすことが必要ですが、これを飛躍的に達成する手法としてM&Aは効率的な戦略です。

今回のM&Aに関する改定は税制面で手厚い後押しになりますから、一気に事業を成長させることも可能です。しかし、議論の背景をみると生産性の低い中小企業を整理集約するためのM&Aです。ポストコロナを見据えて事業を飛躍させるチャンスと言える半面、長引くコロナ禍で経営状態が思わしくない中小企業には、こん後の施策によっては、冷酷な決断を迫られることになるかもしれません。

◆ M&Aで中小企業が節税できる理由。

税制改正大綱では「中小企業の経営資源の集約化に資する税制」と呼ばれていますが、「中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築などにより、生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築していくことが重要」としています。

経営資源の集約化により生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業に対して、「中小企業の株式取得後に簿外債務、偶発債務等が顕在化するリスクに備えるため、準備金を積み立てたときは、損金算入を認める措置を講ずる」とされています。

生産性向上等を目指す計画の認定とは、「中小企業等経営力強化法」が改正されるのでその認定を取得した企業ということになります。M&Aを目指す中小企業は、令和6年3月31日までに、「経営資源集約化措置(仮称)」が記載された中小企業等経営力強化法の経営力向上計画の認定を受ける必要があります。

認定企業のメリットとして、M&Aには見えざるリスクがありますから、それに備える準備金を積み立ててもその損金処理を認めるという内容です。認定を受けた中小企業は、その株式等の価格の低落による損失リスクに備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を「中小企業事業再編投資損失準備金」として積み立てることができます。これを損金で積み立ててもよいですよということです。ただし5年間保持した後には、さらに5年間の間に均等に益金として取り崩しなさいというルールです。

そのこと自体が節税になるのではありませんが、いきなり株式取得価額の7割を損金化できて5年先まで利益を繰り延べることができますから、中小企業にとってこれはありがたいのです。

その間に出口対策を設計すれば本当の節税になります。他にもM&Aの効果を高める設備投資減税、雇用確保ための賃金増加額に対する税額控除などの制度があります。

◆ 経営資源集約化税制の本当の狙い。

掛け声は「M&Aによる自発的な再編の促進」とか「M&Aによる事業規模の拡大」とか言われていますが、その大本にあるのがデービット・アトキンソンの中小企業切り捨ての暴論です。デービット・アトキンソンは「生産性の向上のために中小企業を現在の半分までに減らす。」と菅首相のブレーンとして進言していることは周知のとおりです。これだけではなく地銀の再編も強引に推し進めています。

日本の会社は99.7%の中小企業で構成されています。地方再生と言いながら、地方切り捨ての施策に思えてなりません。経営資源集約化税制の本当の狙いが中小企業の切り捨てにあるとしても、日本の420万社もある中小企業を半分にできるわけがありません。M&Aの土俵に乗らない零細企業も数えきれないほどありますが、それらが地方の雇用を支え、過疎化の限界値に達しつつある日本の地方経済を支えているのです。

持続化給付金で食いつなぐ保険営業の土壇場。

◆ M&A節税、まとめ。

経営資源集約化税制の狙いがどこにあったにせよ、M&Aに関する税制改正は利益の出ている企業にとってうまく使えば大幅な課税の繰り延べが可能になります。

その後の設備投資などと組み合わせれば出口対策の設計できるかもしれません。

法人保険で利益の繰り延べという選択肢がほぼなくなった今となっては、国策として進めているM&A税制は有力な選択肢であり、M&Aという少々ハードルが高い手法の活用が進むのではないかと思います。

ただ、その中小企業に籍を置き、税制改正に振り回され、さらには補助金や一括償却などの施策を無差別に投げかける縦割り行政にはうんざりします。国の省庁、各地方自治体、関連団体に所属するその施策を運営する公務員のなんと多いことか、手間をかけて申請書を出しても採択されて受け取る補助金はわずかです。関係する公務員の人件費や関連費用を節約して法人税を減税した方がよほど効果的ではないかと思います。

公務員や関連団体の職員のための施策だと感じるのはhokenfpだけではないと思います。しかし中小企業ができることは限られています。都合よくうまく立ち回り、小狡く制度を利用するという知恵が生き残りのためには必要ではないかと思います。M&A税制と愚痴がセットなったお盆前のブログ記事です。

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