足場節税が封じられた理由、税制改正での締め付けはやりすぎ。

足場節税が封じられた理由、税制改正での締め付けはやりすぎ。

中小企業の節税とは、決算ギリギリにならないといくら損金で落とせばよいか見えてこないということが多いので、節税対策を選定する時間が限られます。

法人保険では、大きな節税はできなくなりました。かといってオペレーティングリースは金額が稼げますが、投資リスクが心配ということがあります。以前はタイミングをうまく組み合わせて、課税の繰り延べができるものと言えば、足場レンタルがありました。

足場節税が封じられた経緯を中心に、税制改正大綱での節税封じの流れをまとめました。中小企業にとっては、節税策の外堀が埋まってしまった感じです。これで政権が変わり、法人税の増税ということになれば、まったく踏んだり蹴ったりとさんざんな事態です。

■中小企業の経営課題はその日暮らし、体験を側近が語ると泥縄経営。

◆ 副業目的の足場節税は、即時償却の対象外。

足場節税は、本業で得た利益を足場レンタル事業に投資するわけです。いわば本業以外の副業です。税制改正では、副業目的で取得した減価償却資産は、たとえ一個が10万円未満でも即時償却を認めませんということです。

資産計上して法定耐用年数で減価償却するくらいなら、利益の繰り延べになりませんから、誰も足場レンタルに投資する気になりません。今回の規制は節税目的の副業に対してであり、本業で足場レンタルしている場合は対象外です。

自民党「令和4年度税制改正大綱」でさらりと一言「取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付けの用に供したものを除外する。」ときました。

足場節税は自分で足場を使うために投資するのではなく、貸付けるための投資です。少額の減価償却資産とは足場に限らず、ドローンやLED、エアコンなどでも一個ずつが10万円以下であれば同様に貸付けの用に供するわけですから、今回の改正により損金処理ができず節税策は封じられることになります。損金とは費用のことですね。

◆ 足場節税の仕組みとリスク。

足場節税は、足場レンタルに投資することでその費用が企業の利益から引かれて税金を減らすことができます。

投資ですから足場を足場レンタル会社にリースすれば、賃料が得られますし、リース期間終了後には足場の売却益が得られます。利益の繰り延べになりますから、将来の減益や投資に利益を回すことができます。

法人保険と同じで、出口対策ができていないと節税にはなりませんが、リスクに備えて簿外に貯金ができていることになります。足場に投資することは、コロナ禍で吹けば飛ぶような中小企業にとって価値がある投資と言えると思います。

ただ、そもそも10万円未満の少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度ですから、やり過ぎると目を付けられるリスクもあります。

また法人保険のように安全性が高いわけでもないですし、金額的にはしょぼい節税策になるところです。その足場レンタルによる節税策すらも封じられたというわけです。

■M&A税制による節税効果と事業規模拡大。

◆ 足場レンタルのメリット・デメリット。

足場レンタルへの投資の一番のメリットは、比較的少額から可能ですから手軽な感じがあります。決算での利益の出具合によって、利益の調整弁として利用することができます。

またメリットかどうかわかりませんが、法人で契約する保険のように毎年費用が発生することはなく、1回限り節税投資になります。

足場節税では翌年から賃料が利益として出てきます。保険のように解約時期を選んで出口対策を行うというような調整はできません。利益の繰り延べができるのは出資した期だけとなります。言わば利益の繰り延べ分散というスキームです。

一番気を付けなくてはいけないのは、足場レンタル会社の破綻です。そうなると投資したお金はほとんど戻ってこないと考えるべきです。かといってそのために保険に入るのもいかがなものかと思ってしまいます。本業でやるには、それなりのリスクもあります。

■経営力向上計画の即時償却と節税保険の出口対策を組合せ大胆節税。

◆ 税制改正の内容をかみ砕くと。

令和4年度税制改正大綱では下記の3項目が同時に改正されています。中小企業に認められている10万円未満の少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度のほかに一括償却資産の損金算入制度では20万円未満でも損金化できなくなりました。

活用範囲の広い中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例でも、期間は延長になりましたが30万円未満でも即自償却できなくなります。

いずれの場合も「対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する。」とあります。節税目的で投資しても本業以外の場合はダメですよ、という縛りです。

【斜体部分は引用です。】自民党「令和2年度税制改正大綱」

(4)少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する。

▲10万円未満でも全額損金できません。

(5)一括償却資産の損金算入制度について、対象資産から貸付(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する。

▲20万円未満でも一括償却できません。

(8)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外した上、その適用期限を2年延長する。

▲30万円未満でも即時償却できません。

◆ 足場節税が封じられた影響とまとめ。

足場レンタル会社の足場置き場はときおり見かけます。大量の足場が河川敷のような利用価値の低いところに野積みされています。

需要期のピークに備えて、実際の貸出量の何倍もの足場があるようで葛がまとわりついて冬場に枯れているのは、まるでモノトーン写真の世界です。

よほどうまく管理できていないと建築には波がありますから、利益を出すのは難しいのではないかと思えます。

・法人の節税手段は風前の灯火か。

一方、法人の節税手段として残されているものにオペレーティングリースがあります。足場節税のスキームとよく似ていますが、登場企業のケタが違うのと巨額な節税が見込めるという点に特色があります。突発的な利益が出た時には有効な節税手段だと思いますが、コロナ禍での投資対象には不安が残ります。

またオペレーティングリースの弱点は、節税商品が欲しいときに適切な商品が出てこないということがあります。足場節税と同じく投資先企業の破綻というリスクも考えておかなくてなりません。

今どき節税を考えなくてはならないということは、企業としての業績が伸びているわけで、運が良いと考えるべきです。しかし税金という見返りのないコストを抑制する工夫は必要です。

税金は適切な額に抑えて貯金するということが、企業の将来的なリスクを軽減することになります。節税保険だけでなく、足場節税が封じられた今、できることは限られています。納税して済ませるか、長期の計画的な設備投資による減価償却ということになりそうです。

中小企業の経営課題はその日暮らし、体験を側近が語ると泥縄経営。

医療費控除確定申告、マイナンバーカード方式の迷路、これは無理!?

※本記事は2022年時点でのマイナンバーカード方式にチャレンジした記録です。その後、改善され使いやすくなった部分もあります。現在に通じる部分もありますが、過去の記録としてお読みください。

人より先に医療費控除の確定申告を済ませることを目標にしてきました。

しかも、できるだけ新しい仕組みにチャレンジすることを自分に課していますから、e-TaxもID・パスワード方式からマイナンバー方式にステップアップしなくてはなりません。

情報がどんどん変わっていくので、無駄なICカードリーダーを買ってしまいました。マイナンバーカード方式の迷路にはまり、呻吟した経験を書きたいところですが、あまりにややこしい手順なので説明できそうにありません。

◆ 昨年の時点では、ICカードリーダーを購入していざマイナンバーカード方式へ直撃。

チャレンジすると宣言していたことですから、いまさら後へは引けません。昨年の時点では、スマホはiPhone8ですからICカードリーダーの代わりができません。

仕方なくオンラインでICカードリーダーを購入する羽目になりました。

ZOWEETEK ICカードリーダー ZW-12026-8、聞いたことがないメーカーです。しかしとにかく一回e-Taxができればよいので、楽天で最安値の次ぐらいをえらびました。

何と1,350円で送料無料でした。マイナンバーカードが取込まれてどこかのATMトラブルのようにならないか心配でしたが、結局写真だけ取って新品のまま使わずです。

◆ とにかくややこしい、折れない心でe-Tax。

マイナンバーカード方式でe-Taxを利用する場合、マイナポータルという仕組みを経由しなくてはなりません。

へたくそなウサギのイラストが目印ですが、マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスです。子育てに関する行政手続がワンストップで利用できたり、行政機関からのお知らせを確認できます。

別にマイナポータルがなくても困ることは、今のところないです。デもいずれはすべての手続き窓口となることは間違いありません。

マイナポータルの「もっとつながる」機能を利用し、e-Taxと連携することで、利用者識別番号と暗証番号を入力することなく、e-Taxにログインできるというわけです。e-Taxの入り口機能を果たしているわけです。

何ができるかというと、e-Taxではメッセージボックス等を確認できるほか、 所得税・贈与税・個人消費税の申告書や納税証明書、源泉所得税、法定調書などを作成することができます。

マイナポータルを通じてe-Taxを利用する場合は、最初に面倒な初期設定があります。マイナポータルの入り口で初期設定が必要なのと、e-Taxの入り口でも再度設定を求めてきます。

マイナポータルからe-Taxへ移動するならまだ迷いにくいかもしれませんが、e-Tax利用を目的とする場合、e-Taxサイトからマイナポータルへ移動して初期設定を終えてからe-Taxにまた戻ってくるような手順になります。

その間に事前準備として事前準備のセットアップという受付システムをダウンロードし、さらにJPKI利用者ソフト(公的認証局利用ソフト)のインストールを求められます。

折れそうになり、訳が分からなくなるのがこの辺です。文章で説明してわかることでもないので、とにかくややこしいということだけお伝えしたいと思ったことです。

医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

◆ 昨年末に買ったICカードリーダライタが無駄に!クソッ!

昨年末の情報では、マイナンバーカード方式でe-Taxで医療費控除の確定申告をする場合、マイナンバーカードの読み取りにiPhoneとPCは連携ができていませんでした。

マイナンバーカード方式にこだわるならマイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダが必要でした。

ところが年明けからQRコード(QRコードはデンソーウェーブの登録商標ですので二次元バーコードと呼んでいます。)方式ができるようになりました。iPhoneでマイナポータルアプリから表示されるQRコードを読み取り、パスワードを入れてマイナンバーカードの情報を読み取ることで、PCとiPhoneの連携ができるようになりました。

せっかく買ったICカードリーダーですが、使うことなくお蔵入りになりました。まったくクソッ!という気分です。

◆ マイナンバーカード方式、QRコード読み取りでもこれは無理!

QRコードでPCとiPhoneが連携できるようになって便利になったかと言えば、やめた方がよいと申し上げたいところです。

ID・パスワード方式の方が比較にならないくらいシンプルで簡単です。しかも国税庁のe-Taxサイト内で確定申告が完結します。マイナンバー方式が迷路化する原因は、マイナポータルにマイナンバーカード認証でログインしてからe-Taxサイトに移動するから、今自分がどこにいるかわからなくなるからです。

複数回チャレンジして都合1.5日ほどさまよいました。よほど執念深いか、こういうことがお得意でないとおすすめできないところです。途中で訳が分からなくなり数回は投げ出したくなりました。

QRコードをiPhoneで読み込んだ回数は、10回ではきかないと思いますし、まともに行けてもマイナンバーカードをiPhoneで読み込むことも5回くらいかかったような気がします。

一体、何回同じことをやらすねん、という腹立ちと間違った手順で堂々巡りをしているのではないかという不安が襲ってきます。これはよほどマニアックでチャレンジ精神がないと無理ですね。

◆ この手順は迷路、わかりにくさの原因。

何とか手順を記録しようとスクリーンショットをとっていたのですが、訳が分からなくなって途中でとるのをやめてしまいました。

申し訳ないですが、マイナンバー方式を一応クリアしたものの、その手順を順序だてて説明できそうにありません。国税庁のe-Taxサイトは毎年大きな改善がされてきました。

その点では前進していることは確認できますが、システム全体を見渡して設計する人がいないのでしょう。建て増し横つなぎするから、田舎の温泉旅館のように温泉にたどり着くまでが迷路になってしまうのです。

ただ、田舎の温泉旅館も慣れてしまえば迷路ではなくなります。いつかマイナンバー方式の迷路がほぐれてくることを期待したいと思います。

◆ マイナンバーカード方式はおすすめできない、ID・パスワード方式がはるかに簡単!

令和3年分の医療費控除確定申告は、今のところよほど自信のある方か、お暇な方以外はID・パスワード方式をおすすめします。比較にならないほど早くて簡単です。

マイナンバー方式はどうしても高いセキュリティーが求められますから認証というハードルがいくつも出てくるのは仕方がないところです。

せっかくマイナンバーカードを取得したから活用を考えるのはデジタル活用の時代に必要なことです。しかしやはり普通の人がフツーに使えないと、普及は難しくなると思います。

マイナンバーカード方式にチャレンジしてみて少しは勉強になったかというよりは、単に長々と迷い続けただけではないかと思ってしまいます。わかったという感じがないのです。

どうにかこうにかさまよいながら出口を見つけた迷路ですが、どこを通ったかと言われれば、説明できるものではありません。e-Taxのサイトで医療費控除の明細を入力するあたりまでくると先が見えてきますが、それまでは自信が持てませんでした。

今年の確定申告期間までにはまだ時間がありますので、もう少し整理して有益な情報がお届けできるよう精進したいと思っています。ああ疲れた!というのが本音です。

医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

ドル建て終身保険の名義変更、究極のメリットとリスク。

ドル建て終身保険の名義変更、究極のメリットとリスク。

法人契約の逓増定期保険を個人に名義変更することで、資金移動ができる逓増定期の名義変更スキームは、ホワイトデーショックで道が閉ざされたことはご存じの通りです。

このままでは、名義変更スキームをメインにしていた保険代理店はコロナショックどころではなく息が継げない存続にかかわる事態です。ぎりぎりの知恵比べというべき執念であの手この手で抜け道を探します。

その中で、これまでの国税通達に準拠しながら、名義変更で法人から個人へ資産を移行する仕組みが提案されています。二度にわたる国税通達に抜け穴はないように見えましたが、その上を行く名義変更スキームを中小企業のオーナーの立場で検証してみました。決しておすすめしているわけではなく、事業承継を円滑にするための選択肢として、ありうる可能性を提示しているとお考え下さい。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 解約返戻率に差ができれば名義変更できる訳。

名義変更スキームは解約返戻率に十分な差があれば、解約返戻率の差額分が譲渡を受けた個人にプラスになる仕組みです。法人で保険料を資産計上していても、名義変更によって派生する法人の損失は節税になっていますし、解約返戻金で得た一時所得は個人の資産となりました。それがホワイトデーショックでできなくなった結果、新しい名義変更ウルトラCスキームが登場したというわけです。

米国ドル建終身保険(初期低解約返戻金型)10年短期払いをたとえばG社で設計すると、11年目に解約返戻率が大きく変化します。終身保険は全額資産計上、損金額がありませんからそもそも通達の規制の枠外にあります。予定利率の高いドル建で、初期低解約返戻金型の保険を設計するとどこかで解約返戻率が高くなる時期が来ます。

このドル建て終身保険を10年の短期払いで設計すると、払込が終わるときドル建て運用益がたまりますから、解約返戻率が必然的によくなります。(被保険者の性別と年齢によります。)

◆ 終身保険の名義変更が国税通達に準拠している根拠。

バレンタインショックで国税庁から発遣された通達は「法人税基本通達9-3-5の2」です。これは最高解約返戻率に応じて4パターンの損金率が規定され、保険料の損金算入による利益の繰り延べ効果がほぼなくなりました。

しかしこの通達内容をよく見ると、対象となる保険は「法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの親族を含む。)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険(以下9-3-5の2において定期保険等という。」とされています。どこにも終身保険を対象とするとは書かれていません。

またホワイトデーショックで発遣された通達には、保険契約等に関する権利の評価として、個人への名義変更時の「支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利(法人税基本通達9-3-5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、当該支給時資産計上額により評価する。」とされています。

解約返戻金が資産計上額の70%以上であれば、何の問題もないことになります。今回検証しているG生命の終身保険は、解約返戻率がわずかに70%に届いていませんが、規制対象外の終身保険ですから解約返戻金相当額で譲渡することは妥当であると言えます。根拠法は下記をご参照ください。

所得税法36-37名義変更時点での解約返戻金相当額

支給時解約返戻金の額が、支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利(法人税基本通達9-3-5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、当該支給時資産計上額により評価する。

終身保険であること、または名義変更時の解約返戻金が資産計上額の70%超であれば適法であることが示されているわけです。その後の解約返戻金が100%超であっても問題にはならないことになります。

◆ 終身保険の名義変更に係るリスクとデメリットから検証。

・初期(10年間)低解約返戻金リスク 70%

初期低解約返戻率の保険商品は、解約返戻金が多く場合において本来あるはずの金額の7割ほどに減額されています。その分を先送りして、初期低解約期間を終えたころ解約返戻率が一気に上がります。ドル建てですと運用がよくなりますから100%を越えて30年後には140%超にもなります。

資産運用の金融商品としても魅力があります。しかし、一番のデメリットは早期に解約しなければならなくなったときの損失が大きくなるということです。たとえば10年間、保険料を継続して払い続ける自信がなければ手出しはできません。

・10年間保険積立として税の先払いリスク。

前項と同じ内容ですが、途中解約は大きな損失につながりますから急な資金需要には対応できません。継続的に10年以上保険料を払い続けその間、保険積立として税金を払う覚悟が必要になります。これまで損金保険でメリットを享受してきた経営者にはとって、終身保険は理解できないかもしれません。

・為替リスク→円安、円高

ドル建てですから、円貨との関係で為替リスクがあります。為替リスクは10年というスパンで見ると、大きく様変わりする可能性があります。保険料を支払うときは円高で解約返戻金や保険金を受け取るとき円安になれば、手にした一時所得のメリットはさらに大きくなります。

しかしその逆の場合も十分起こりえます。11年目に名義変更して解約返戻金を受け取るときに円高に振れていれば、一時所得は大きく目減りすることもあり得ます。余裕があればドルのまま寝かせておくということもありですが・・

・逓増定期より資金移動効率が劣る、保険料過大化

名義変更による資金移動の効率という点では、逓増定期保険に劣るようです。払込保険料累計の3割超が一時所得となりますから、大きく資金移動をするばあい保険料は結構過大化します。ということは保険積立金として寝かせるキャッシュが大きくなるということです。これは当座のキャッシュフローがよほど潤沢な企業でないと、保険料支払いが維持できなくなる可能性があります。

・税制変更リスク

バレンタインショックやホワイトデーショックのように、通達で税制変更ということもあり得ます。ただ、ドル建終身保険の名義変更が拡大しない限り、問題はないと思いますが、国税に目をつけられれば、通達ひとつでメリットはなくなる可能性が残ります。税制変更リスクは、抜け穴を探してメリットを受けようとすると常についてまわるリスクです。

・買取資金管理リスク→11年目の担当

10年以上の長丁場で、解約する日を楽しみにしながら保険料を会社で払い続ける商品です。名義変更、一時所得を目指すのであれば、この保険の真の目的を知った人か、もしくはご自身がその間管理をされないといけません。

とくにこの名義変更のスキームでは、11年目に保険を買い取る資金にポイントがありますので、わかった管理者が必要という点はデメリットになるかもしれません。

しかしこの保険は終身保険ですから、逓増定期保険のようにピークを過ぎれば解約返戻率が大きく下がるようなことはありません。10年で払込満了として保険契約を会社で持ち続けても損失は発生しません。解約して経営資金に充てることも可能ですし、いつの日か死亡保険金を会社が受け取ることもあります。

◆ 米国ドル建て終身保険の名義変更、それでも魅力のメリットについて。

・個人に名義変更し資金移動が可能→差額一時所扱い

ドル建て終身保険の名義変更の一番のメリットは、法人の資金を役員報酬や賞与でもなく配当でもない方法で個人に付け替えることができることです。また手にした一時所得は、50万の特別控除を引いた残りの半額に対して所得税が課税されます。言ってみれば一時所得は、半額が非課税となるわけですからすこぶる美味しいのです

・名義変更時の雑損失で節税が可能(節税保険出口対策)

ドル建て終身保険も初期低解約返戻型ですと、低解約期間の名義変更になります。保険積立をしている保険料累計より、解約返戻金は大きく下回ります。その差額は、名義変更時に会社の雑損失になります。利益の出ている企業では、この雑損失に使い道があります。そもそも雑損失は、資金の流出ではなく節税になっています。

・終身保険として死亡保障を10年確保

資金移動を目的としていますが、終身保険の機能も併せ持ちますから解約するまでの10年間は大きな死亡保障があります。本来なら別途保険料を支払って事業保障を確保すべきですが、この保険では一挙両得になっています。

・名義変更なしでも米国ドル建てで11年目以降の高資金運用効率

米国ドル建てですから、資金運用効率は円貨と比べてはるかに良くなります。10年目までは初期低解約返戻率型ですから解約返戻金は増えませんが、11年目からは契約返戻率が下がることなくぐんぐん伸びていきます。これは円建てでは考えられない伸びとなります。

◆ 米国ドル建終身保険の名義変更、ポイントと老婆心まとめ。

ポイントを整理しました。なかなかむつかしい面がありますから、逓増定期の名義変更のようにすぐに飛びつくということはないかもしれません。慎重な判断の上、資金繰りに余裕がある中小企業だけが、選択肢として考えることができそうです。

・経営者の自己責任で管理

・長期保険管理の視点が必要

・中期的な余剰資金が必要

米国ドル建て終身保険の名義変更という、新しいスキームについて検証してきました。メリットも大きいですがデメリットやリスクも侮れません。それでも普通の経営をしていては、事業承継において資金移動は容易ではありません。ひとつの選択肢として、逓増定期保険に代わる新しいスキームを検討する価値はあります。

大事な事は10年以上の長期スパンで管理する必要があります。任せる人がいなければ、経営者自身で管理するより方法がありません。まさに自己責任と言うことです。もう一つの点では中期的な余剰資金が必要となります。経営資金がギリギリであれば到底使えるスキームではありません。

過去のオプションの歴史を見れば、為替リスクも小さくないことが理解されると思います。また通達というのは勝って解釈すると、そんなはずではなかったという国税解釈が後から出てくることがあります。

ただ米国ドル建て終身保険のメリットが、大きいことはよくわかります。逓増定期の名義変更と違う点は、忘れるリスクが思いのほか小さいのです。10年保険料を払って名義変更を忘れた場合、有効な終身保険として払込保険料以上の解約返戻金と大きな死亡保障が終身で確保できます。

追記:円建てで5年目までは低解約返戻率(70%)その後100%超の終身保険の提案があります。これは適法で為替リスクがなく名義変更して5年で勝負がつきます。

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

本来であれば、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます、と口上を述べるところですが、そうも言ってられない年頃になりました。新しいことにチャレンジするには、限界があることを感じています。

法人保険を活用して中小企業の財務を強化したり、事業承継の資金移動を円滑にしたりする手法は、これまでの記事で案内してきたようにここ数年で大きく足かせがはまり打つ手が限られてきました。

コロナ禍でも利益が出ている企業がありますが、そい言う企業にとって期末にまとめて損金化できる保険商品がほぼ無くなりました。その結果、保険本来の保障機能に立ち返ったということではありますが、金融商品としての投資価値が低下し保険を売る立場の保険営業も保険商品を買う立場の中小企業のオーナーも手詰まり感が否めないところです。

そういう状況は、そのことを記事のネタとしてきたhokenfpにおいても変化を余儀なくされています。賢明な読者諸兄におかれましてはお気づきのことと思いますが、記事ネタの範囲が徐々に保険からズレるようになってきました。平たく言えば、実務的に一歩踏み込んだ保険記事がネタ切れになりつつあるということになります。

2014年7月から個人的見解を含む保険関連記事を毎週書き続けて541記事、間違いや税制の変更、新たな見解による通達の発遣などにより現状と合わない記事も多く見られるようになりました。

手を入れるには膨大すぎ、キーワードはまとまりがなく検索でヒットするだけの順位を確保出来なくなってきました。

サイトのタイトルは「保険は相談するな!」で始めていますから、その点でも記事内容との食い違いが目立っています。サイト全体の方向性を見直す時期に差し掛かって久しいと感じています。記事更新のペースを落として内容やカテゴリー、キーワードの見直しを進めたいと考えています。まだ実務では現役ですから捻出できる時間に制限があります。その中でレベルアップを目論んでいます。

節税保険や名義変更のスキームは手を変え品を変え登場してきています。名義変更では知恵の利いた面白い保険商品もあります。通達の要件を守りながら保険を活用した資産の移転も可能です。税制改正大綱では、目立たない改正ですが財産債務調書の提出要件が厳しくなりました。10億前後以上の資産家は注意が必要です。

読者の皆様にお伝えしたい情報は、現役ゆえに多岐にわたりますが、時間の制限がある中で情報収集と内容の精度に関しては壁にあたっているという感覚があります。投稿の頻度にこだわらず、内容の精度を重視した方向性を考えています。投稿を継続することが、自己の情報量を拡大することにつながるということは間違いありません。また、新しいこと未知なことに対しても意欲的にチャレンジして記事ネタにする貪欲さもブロガーの宿命的な特色と言えるでしょう。

本年も、焦燥と苦悩の一年になると思いますが、引き続きよろしくお願い申し上げます。