法定相続人以外へ遺贈すると相続税は2割加算。
遺贈とは被相続人が遺言書に書くことで被相続人の財産を相続人もしくは第三者に無償で渡すこと、と言ってしまうと相続とどこが違うかわかりにくくなります。
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◆ 遺贈は相続人以外にも可能です。
遺贈は相続人とばかり限ってはいません。長男の嫁でも、内縁の妻でも孫でも、相続人としての資格がなくても遺言で指定があれば受遺者(遺贈を受ける人)になれます。
遺贈は死因贈与とは異なりますので受贈者の承諾がいるわけではありません。受遺者になりたくなければ放棄すればよいだけです。
何が相続人と違うのかと言うと相続人と異なり遺贈の範囲のみに責任があります。
もちろん遺留分も代襲相続もありません。相続人と違いますから誰か別の相続人が相続放棄をしても受遺者の遺贈分は変わりません。
(厳密には包括受遺者となれば相続全体にかかわるので相続人と同一の権利義務が発生します。)
◆ 受遺者(相続人ではないが遺贈を受けた人)も相続税の義務があります。
遺贈を受けた受遺者も相続税を払いますが、通常の相続税計算で算出した相続税額の2割加算が適用されます。
これは本来相続人でもないのに相続財産を取得できるからよしとするほかないですが、内縁の妻などに遺贈するようなケースでは、気の毒な話です。
◆ 孫に遺贈することもできるが相続税は2割増し。
親が相続人として存命なら代襲相続とはならないので、一代飛ばして孫に財産を分けたいなら遺贈すればよいのですが、当然相続税は2割加算となります。
相続財産を受け取るわけですから、ば相続財産を受け取る人に生前贈与をしたことになり、生前贈与を受けていれば3年もち戻しのルールも適用されます。孫に贈与すればこの3年もち戻しが該当しないと思っていても、課税当局には通用しないようです。
3年もち戻しのル-ル:相続人に対し生前贈与を行っても、相続発生前3年分は相続財産に足し戻して相続税が課税されること。相続人以外に贈与しても3年もち戻しは適用されない。
◆ 生命保険の受取人を孫にすれば死亡保険金の遺贈となり、相続税が2割加算。
注意すべきは生命保険の受取人を孫にしておくと遺贈のようなことになります。
孫が被相続人の死亡を原因として死亡保険金を受け取れば、遺言書に遺贈を指定したと同じことになり、孫の払う相続税は2割加算となり、生前贈与3年もち戻しのルールが適用されます。
さらに困ったことに孫は被相続人と養子縁組をしていなければ、正式な相続人ではありませんから、死亡保険金に適用される非課税枠500万円が使えないことになります。
生命保険の契約では受取人指定は一親等以内の血族でお願いするのが普通ではありますが、そうはいかないケースもあります。モラルリスクがなくても、生命保険の受取人指定は相続が絡むと意外に難しい展開をはらんできます。
この辺はやはり詳しい専門家に相談されないと、適切なアドバイスは期待できないように思います。
生命保険に詳しい税理士、それも相続税に強みのある税理士さんでないといかんかなと思います。
ただ、幸か不幸かわかりませんが、一所懸命孫に生前贈与し、生命保険の受取人を孫に指定した被相続人たる爺婆はこの世にいないので、自分の失敗に気づくこともないという神の計らいです。
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