相続で孫と養子縁組をすると節税できるが相続人不和に。

相続で孫と養子縁組をすると節税できるが相続人不和に。

相続税を節税するための養子縁組みは、何かと問題が多いのです。ある面ではメリットがありますが、隠れたとことにデメリットがあることもあります。

相続で養子縁組を考えるとき、配慮すべきことをまとめました。何事も両面があり一筋縄ではいかないというお話です。

被相続人と孫が養子縁組みをすれば、相続人が一人増加し基礎控除が600万と生命保険の非課税枠が500万増えます。合計では1,100万の控除となります。相続税がかかるかどうか境目の人には、かなり大きな金額です。

相続税対策としての養子縁組みの目的や条件、節税効果などを整理しました。また養子縁組みの当事者の気持ち、他の相続人の本音も偽らざるところを書きました。

詳しくは養子の気持ちとして以下に書きました。

■養子縁組の難しさは当事者になるとわかる。

そういう養子縁組みをするにあたり、目先に見え隠れするデメリットがあります。また将来に渡ってのデメリットも、考慮する必要があるのです。

安易な、節税目的の養子縁組みを推奨しているのではありません。養子縁組みには親族を含めて、新たな相続人として親子関係を受け入れる、お互いの気持ちの整理が必要であると申し上げたいのです。

◆ 養子縁組のパターンいろいろ。

相続税の節税のために養子縁組をする場合、下記のようなパターンが考えられます。実子がいる場合といない場合、実子が2人以上いる場合で事情が変わります。

・長男の妻を養子にする。(嫁養子)

・孫を養子にする 。(孫養子)

・娘の婿を養子にする。(婿養子)

・後妻の連れ子を養子にする。(連れ子養子)

・甥姪を後継ぎとして養子にする。(後継養子)

といったことが考えられます。揉めそうなケースは相続人に兄弟姉妹がいる場合です。孫を養子にすれば、兄弟姉妹間の相続の公平さが損なわれます。遺言でもあれば別ですが、そうでなければこの世知辛い世の中、遺産分割協議で揉めることも想定されます。

◆ 養子縁組のメリットを整理。

基本的には養子縁組をして相続人が増えますと、次のような相続税を減らす効果があります。

(1)相続税の基礎控除が一人分(600万)増える。

(2)生命保険の死亡保険金の非課税枠一人分(500万)増える。

(3)死亡退職金の非課税枠一人分(500万)増える。

(4)相続人が増えると相続税の税率が下がる。

死亡退職金の非課税枠は、オーナー経営者でもなければ該当しないかもしれません。しかしそれ以外の基礎控除の加算、死亡保険金の非課税枠は確保できそうです。

また相続税の計算手順上、相続人が増えることで低い税率の適用が可能になる場合があります。

◆ 相続での養子縁組とは。

養子にするのは娘婿でも長男の子(孫)でも構いません。普通養子の届けは本籍地の役場で受け付けてくれます。

養親と養子(孫の場合は親権者)の同意があり、証人が二人必要ですが書類さえ整えれば簡単な手続きです。

民法では養子の人数に制限はありませんが、税法では実子があれば一人、実子がなければ二人までとなっていますので、節税目的であれば1名が限度です。

養子縁組して節税すればなんと1,100万も控除(税額が控除になるのではなく、相続税の対象額が減ります。)になるわけですから、考えてみればこれは価値があります。また相続人が多くなれば、相続人一人当たりの取り分は減りますが、相続税の税率が下がります。

シンプルな事例で比較すると、たとえばご主人がすでに他界された二次相続のケースで、子が二人、孫が2人いる場合の基礎控除の事例をあげます。

A)何もしない場合

3.000+600×2+500×2=5,200万

B)養子一人(1,100万増加)

3,000+600×3+500×3=6,300万

[計算式の説明]

基礎控除[3,000万]+(基礎控除1人当たり[600万]×相続人数)+(死亡保険金控除[500万]×相続人数)=控除額合計

相続財産が6,300万以下なら養子1人で相続税は0円になり、相続税の申告すら不要になります。魅力的な手法ですが、ためらいも問題もあります。

・養子縁組は相続人の不満に。

養子縁組は相続全体からすれば、相続税の節税になっています。でも相続人一人一人から見れば単に自分の分け前が減り、予定していた相続財産が減額されることにしかなりません。

これは他の相続人としては、面白かろうはずがありません。遺産の規模にもよりますが、サラリーマンの年収クラスがなくなることも珍しくないわけです。我慢して発泡酒で節約している身の上には、納得できない大きな金額です。

相続する財産の額が大きければ、大きいほど手取りの差額は大きくなります。

仮に孫を養子にするのであれば、それぞれ一人ずつ養子にすれば確かに公平ではありますが、節税効果は1人だけであり、それぞれに事情が違うのでそうもいかないのです。

この手の話は表向きの話と実のところの話とが絡んできますので、きちんと説明できないことが多く、親がなくなってから遺産分割協議でもめる原因になります。

◆ 養子縁組のデメリット

養子縁組を利用することで相続人が増えますので、確かに相続税の節税にはなります。しかし、次のようなデメリットもあります。

(1)節税養子は認められないことがある。(養子縁組はできます。)

(2)他の相続人の相続・遺留分が減るので不和になる。(遺産分割協議不調)

(3)孫を養子にする場合には相続税は2割加算(孫が代襲相続人であれば加算なし)

節税養子で最も気にすることは、節税目的だけで養子縁組をすれば、税務署から祖税回避行為とみなされる可能性が否定できません。かなり明確に否認規定が示されています。

相続税法の第63条には、以下のような記述があります。(引用)

(相続人の数に算入される養子の数の否認)

第六三条 第十五条第二項各号に掲げる場合において当該各号に定める養子の数を同項の相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)及び相続税額を計算することができる。

そもそも養子縁組が節税目的かどうかは第三者にわかることではないと思うのですが、いかがなものでしょう。

・養子縁組の本来の意味と目的。

養子縁組の動機には人の価値観が複雑にからみ、相続財産以前に家を継ぐとかお墓やお仏壇を守って次の代に引き継ぐということもあります。

また実子がいない人は自分の財産の引き継ぎ手を指定する意味で、養子縁組をする場合もあります。また子のない兄弟姉妹の財産を他の兄弟に渡さないために、自分の子を兄弟の養子にすることもあります。実際はとても複雑です。

養子縁組による相続の際の節税はあくまでも結果であると言うことのように思います。簡単には節だけが目的とはなり得ない、ということを理解することが大切なように思います。

孫を養子にすると、孫が相続人に加わります。相続税の一代飛ばしになりますから、歯止めとして2割加算となります。

加算ではありますが、一代飛ばしの相続は節税になっていますから、デメリット扱いをすべきではないかもしれません。ただし、子がなくなっており孫が代襲相続人である場合は2割加算がありません。

■相続人以外への遺贈は2割加算、生命保険の受取人が孫なら2割加算 。

◆ 相続の養子縁組、まとめ。

節税養子は有効な相続税の節税手段ではありますが、それだけでは否認されるリスクがあります。もともとの養子縁組という仕組みは、法的な親子関係を新たに作る役割があります。

そこは節税だけではない人間関係の人生模様があります。他の相続人に十分配慮した養子縁組をご検討いただければと思います。

もし養子縁組で節税したいとお考えなら、遺言書をお書きになるか、生命保険で受取人を指定しておくのがよいように思います。

養子縁組で相続税の節税とは言いますが、やり方を間違えると兄弟間の猜疑心が芽生えることにもなりかねません。くれぐれも慎重にと申し上げておきます。

縁切り覚悟!孫養子と偽装離婚で相続税の節税。

代償分割と生命保険で相続のもめごとはクリアできる。

養子縁組みで相続人不和に!

養子縁組みで相続人不和に、節税対策も要注意。

相続税対策生命保険の契約だけでは足りないとき使われる手が養子縁組みです。

被相続人と養子縁組みをすれば相続人が一人増加し基礎控除が600万と生命保険の死亡保険金控除が500万増えて合計では1,100万の控除となります。

相続税がかかるかどうか境目の人には大きな金額です。
ここに養子縁組みでの節税の難しさがあります。

詳しくは養子の気持ちとして以下に書きました。
養子縁組の難しさは当事者になるとわかる。

CIMG2355養子にするのは娘婿でも長男の子(孫)でも構いません。普通養子の届けは本籍地の役場で受け付けてくれます。

養親と養子(孫の場合は親権者)の同意があり、証人が二人必要ですが書類さえ整えれば簡単な手続きです。

相続は兄弟でもめる不公平、説得できない親の理由。

 

民法では養子の人数に制限はありませんが、税法では実子があれば一人、実子がなければ二人までとなっていますので、節税目的であれば1名が限度です。

養子縁組して節税すればなんと1,100万も控除になるわけですから、考えてみればこれはすごいことです。相続人が多くなれば相続税が少なくなる仕組みを目いっぱい活用しています。

シンプルな事例で比較すると、
例えばご主人がすでに他界された二次相続のケースで、子が二人、孫が2人いる場合、基礎控除は

A)何もしない場合
3000+600×2+500×2=5200万

B)養子一人(1,100万増加)
3,000+600×3+500×3=6300万

[計算式の説明] 基礎控除[3,000万]+(基礎控除1人当たり[600万]×相続人数)+(死亡保険金控除[500万]×相続人数)=控除額合計

相続財産が6,300万以下なら養子1人で相続税は0円になり、相続税の申告すら不要
になります。魅力的な手法ですがためらいも、問題もあります。

養子縁組は全体からすれば相続税の節税になっています。でも相続人一人一人から見れば単に自分の分け前が減り、予定していた相続財産が減額されることにしかなりません。

B)のケースでは6,300万の相続財産が有ったばあい、何もしなければ相続税はかかりますが、3150万が相続できます。相続税は(20%)430万ですから、手取り
2720万となります。養子が一人増えれば相続税はかかりませんが、2,100万まで減ってしまします。手取りで620万の減額となってしまします。

これは相続人としては面白かろうはずがありません。サラリーマンの年収クラスがなくなることになりますから、我慢して発泡酒で節約している身の上には納得できない大きな金額です。

相続する財産の額が大きければ大きいほど手取りの差額は大きくなります。

仮に孫を養子にするのであれば、それぞれ一人ずつ養子にすれば確かに公平ではありますが、節税効果は1人だけであり、それぞれに事情が違うのでそうもいかないのです。

この手の話は表向きの話と実のところの話とが絡んできますので、きちんと説明できないことが多く、親がなくなってから遺産分割協議でもめる原因になります。

もし養子縁組で節税したいとお考えなら、遺言書をお書きになるか、生命保険で受取人を指定しておくのがよいように思います。

養子縁組で相続税の節税とは言いますが、やり方を間違えると兄弟間の猜疑心が芽生えることにもなりかねません。くれぐれも慎重にと申し上げておきます。

生命保険|相続人以外への遺贈は2割加算。

生命保険の支払調書の改正が危ない理由。

生命保険の契約者変更(名義変更)に関する支払調書の改正(平成30年施行)の影響が、意外に大きいのです。契約者を変更すれば、生命保険契約の贈与になります。

贈与ということになれば、基礎控除の110万円を越える部分は贈与税の対象になります。税務署は支払調書により課税対象を把握し、適正に申告されているかどうかを確認しています。

保険会社は、ルールに従い保険金や解約返戻金などを払うと、税務署に支払調書を提出する義務があります。どういったときに支払調書が発行され、その内容がどのように改正されたか、影響範囲を含めて検証しました。

・ 念のための用語説明。

契約者=お金を出すひと、契約の所有者(変更できる)
被保険者=体を出すひと(変更できない)
受取人=保険金をもらう人(契約者が指定・変更できる)
保険料=保険会社に払うお金
保険金=保険事故のとき保険会社から受取るお金
保険事故=死亡などの保険金支払い事由に該当する事故
解約返戻金=解約した時に残っていれば受け取れるお金
契約者変更=名義変更
支払調書=特定の支払いをした事業者が、その明細を税務署に提出する書類
(多数の支払調書がありますが、ここでは生命保険会社が、税務署に提出する支払調書について書いています。)

[引用1] ・平成27年度税制改正の大綱(H27.1.14閣議決定)P47
(4)調書について、次の措置を講ずる。
① 保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこととする。
② 生命保険等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。

◆ 生命保険の支払調書の改正点。

支払調書は種類がいろいろありますが、生命保険の支払調書の記載事項について、の変更点を整理しました。

保険金や給付金、解約返戻金などが支払われると、保険会社は税務署に支払調書を提出します。

所得税の対象となる保険金などは、翌年1月31日まで、相続税や贈与税がの対象となる保険金などは、翌月の15日までに支払調書が提出されることになっています。

これまでの支払調書はシンプルです。

[平成30年以前の記載事項]支払調書では、以下の項目が税務署に報告されていました。

・受取人氏名、住所、個人番号
・契約者氏名、住所、個人番号
・被保険者氏名、住所
・保険金額等(又は満期金額、解約返戻金額)
・保険料総額(既払込保険料総額)
・保険事故発生日、保険金等の支払日

この支払調書には、契約者変更は記載する必要がありませんでした。税務署も保険会社から提出される支払調書だけでは、過去の贈与の事実はつかめませんでした。

また、保険金や解約返戻金等の支払が100万円超でなければ、支払調書は発行されません。(年金は雑所得となりますので、年間20万円超となっています。)

生命保険の支払調書の改正点を、できるだけわかりやすく整理しました。一つは提出ルールの変更です。もう一つは支払調書の記載事項の変更です。

[提出ルールの変更]

保険契約者等の異動に関する調書で下記項目を報告。

契約者死亡による契約者変更(名義変更)手続きを行った場合に、新たに「異動に関する調書」が発行されることになります。

・新保険契約者、氏名、住所
・死亡した保険契約者、氏名、住所
・被保険者氏名、住所
・解約返戻金相当額
・保険料総額(既払込保険料総額)
・死亡した保険契約者の払込保険料
・評価日

(異動調書の見本)

契約者死亡(相続時)による契約者変更(名義変更)に異動調書提出義務。

契約者が死亡しても被保険者が生存していれば、保険金は支払われません。保険契約をみなし相続財産として、相続人が引き継ぐことになります。

・保険金支払が発生していなくても、契約者死亡により相続が発生すると解約返戻金相当額で異動調書提出。

・相続で引き継がれる生命保険契約の把握が目的。

・事例でいうと、

契約者(保険料負担者)=親 被保険者=子

契約者死亡により契約者変更=子が新契約者

この場合被保険者は生存していますから、死亡保険金は支払われませんが、生命保険の契約者は変更になります。みなし相続財産として解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。

相続人が新たな契約者として保険料を払い続けるか、払済みにするかは人それぞれです。しかし生命保険会社では、契約者死亡による契約者変更は解約返戻金相当額を記載した異動調書を発行することが義務化されました。

[記載事項の追加・変更]

生命保険契約等の一時金の支払調書で下記項目を報告。

生命保険の支払調書には現行記載事項に以下が追加されます。

・直前の保険契約者等の住所・氏名を記載
・現契約者が払い込んだ保険料を記載
・契約者変更の回数を記載

(記載事項追加の見本)

【生命保険契約等の一時金の支払調書】の注意事項から抜粋しました。

(6)契約者以外の者が保険料等の払込みをしていることが明らかなものについては、「保険契約者等」の欄にその保険料等の払込人を記載すること。
(7)第86条第1項第8号に規定する契約者の変更があった場合には、次によること。
イ 「直前の契約者等」の欄に、当該変更前の契約者の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地を記載すること。
ロ 「既払込保険料」の項の内書に、現契約者((6)に該当する場合には、その保険料等の払込人)が払い込んだ保険料等の額を記入すること。
ハ 「契約者変更の回数」の欄に、当該生命保険契約等に係る契約者の変更の回数を記載すること。

既払込保険料総額から現契約者が払い込んだ保険料を引けば、死亡した契約者からの贈与になる保険料の額がわかります。

契約者変更の回数が多ければ、保険会社に照会をかけてもともとの保険料負担者を確認することができます。

ここまで詳細に支払調書で報告されれば、相続財産に生命保険契約の加算漏れはほぼなくなると思います。それが課税当局の狙いです。

・契約者死亡時でなければ契約者を変更しても支払調書は提出されません。

・保険契約がお金に変わる時(保険金、解約返戻金等)支払調書提出義務が発生。

・生命保険契約の契約者変更による贈与事実の把握が目的。

契約者を変更しただけでは贈与は発生しません。当然贈与税の時効も開始しません。

ここを勘違いすると痛い目にあいます。税務署は生命保険契約がお金に変わるときを贈与の開始とみなします。その結果、支払調書が提出されると、税務署は贈与の事実を把握することになり「お尋ね」を発行する場合が出てきます。

誰から誰に契約者変更が行われたかを追記することで、契約者変更により支払時契約者(最終契約者)に相続されたことが明確になります。

生命保険契約はみなし相続財産として相続されます。最終契約者が負担していない保険料に相当する解約返戻金は、相続税の対象と言うことになります。

一時払終身保険などの契約者変更(名義変更)を行えば最終契約者の保険料負担は0円ですから、そっくり相続税の対象となります。

支払調書がなければこれも把握できないことになりますが、支払調書の改正により明白になります。

◆ 保険業界の大量の契約者変更(名義変更)

保険営業や名義変更をした契約者にとっては、気になるというより内心戦々恐々といったところではないかと思います。保険営業の場面では契約者変更(名義変更)はそれほど珍しい保全手続きではありません。

親が子を被保険者にして親自身が契約者になり保険料を負担すれば、いずれ必然的に契約者を子に変更するときが来ます。

子が独立したり結婚すれば契約者を子に変更し、保険料負担者も子に移行します。

仮に契約者を変更せず親が保険料を負担し続けても、いつかは相続が発生し生命保険契約は子に引き継がれますから、やはりどこかで契約者変更は避けられないのです。

実はよく考えれば保険料は、生活費でも養育費でもありません。親から子へのまぎれもない贈与です。税法上贈与税の対象になるのは当然と言うべきです。

相続間際に生命保険契約の名義変更を行うケースもあります。子を被保険者にして一時払終身保険に何本か加入して、子に名義変更します。名義変更しただけでは支払調書はいきません。課税当局に把握されることなく相続財産を減額できることになります。

しかし相続税がかかる方にとり相続税の税務調査となれば、すべては明るみに出ますので、そうは問屋が卸しません。

・相続税がかからない庶民は9割。

実は相続税がかからない方は、相続件数の9割以上というデータがあります。ほとんどの庶民は相続税がかからないのです。

相続税がかからなければ、相続税の税務調査もありません。多くの場合、途中で解約して現金化しないかぎり、贈与税という問題にはならないと考えられます。

これまでは、契約者変更しても保険金の支払いが発生しなければ、支払調書は提出されませんでした。税務署は生命保険契約の贈与について生命保険会社に照会をかけないとわからなかったのです。

この手の隠れ贈与とでもいうべき生命保険契約は、保険営業のセールストーク「支払調書が行くわけでなし、税務署にわかることはありません。」に乗せられて大量にあると思われます。

どうしても解約して現金化するなら、一気にせずに支払調書が出ない解約返戻金100万以下の減額を心がけてください。相続が発生するまでは、保険が継続する程度の残額は残しておく必要があります。

◆ 支払調書の改正点、まとめ。

生命保険の支払調書の改正点を整理して、その影響範囲を検証しました。かなり踏み込んだ改正により、課税当局の課税漏れをなくそうという姿勢が見えてきます。

課税当局の姿勢は、所得税や贈与税の補完機能として相続税を考えています。相続が発生する前に課税漏れがあった場合、一生分の課税漏れを相続税ですべて清算させるという狙いがあります。まさに相続税は税務の最後の砦な訳です。

裏を返せば、相続税がかからない程度の庶民が、こっそり行う生命保険契約の名義変更は、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

しかし相続した生命保険を解約してしまいますと支払調書が税務署に提出されます。

万が一課税当局に捕捉されれば、追徴課税が課せられます。追徴課税というのは状況にもよりますが、最悪の意場合、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、の4つのパターンに延滞税がオンされる可能性があります。

また支払調書に過去の名義変更が記載されていないからと言って、安心できるわけではありません。税務署が過大な保険契約や不審に感じれば、保険会社に照会をかけます。こうなれば洗いざらい報告されることは避けられません。

・相続税がかからなければ、解約しないこと。

生命保険の契約者変更(名義変更)は、まぎれもない贈与です。しかし何度も申し上げていますが、生命保険契約の契約者を変更したからと言ってその対価を支払うことは家族内ではありえないことです。

対価を払えば売買ですから贈与ではないですが、そんなことは誰もしません。

士業のサイトでは、資産家をターゲットにしていますから、生命保険契約の名義変更は、贈与税と相続税に注意するよう赤字で書いています。相続税がかからない庶民は、そこまで気にする必要はないわけです。

相続税がかかるなら正直に申告し、相続税がかからないなら解約して現金化を急がないようにすれば、とくに生命保険を名義変更をしても大きな問題になることはないと言えそうです。

■保険営業が活用すべき周辺情報をまとめたページ
保険営業が活用すべき生命保険周辺情報、医療費控除・相続登記・保険ブログ。

生命保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

掛け捨て保険と保険営業、売りたい保険の裏事情。

掛け捨て保険と保険営業、売りたい保険の裏事情。

売りたい保険と買いたい保険、売る側と買う側、生命保険の契約の両面を知り尽くしたからこそ言えるポイントがあります。売りたい保険と買いたい保険が一致するかどうかは別問題。貯蓄性のある保険は、金融商品として妙味がない時代になりました。

保険はつまるところ掛け捨てが前提です。保障を買うから掛け捨て保険、それ以上に上乗せする保険料が加算されれば貯蓄性があります。しかし掛け捨てでないと言っても、増えるわけでもない自分のお金を、ただ預けているだけと言えるかもしれません。

■保険営業はやめた方がよい理由、成功か挫折かリアルな体験談。

◆ 掛け捨て生命保険とは、保険会社が儲かる商品。

掛け捨て保険という言い方があります。保険の予定利率が高かりし頃、貯蓄性のない保険を揶揄(やゆ)する意味すらありました。「掛け捨て」という言い方は、保険料を無駄に捨てているというような意味合いがありそうです。保障を買っているのが保険ですから、決して捨てているわけではないのですが、保険事故がないと保険料を損したような気になる心理です。

予定利率は、保険会社が見込む運用利率ですが、史上最低の水準(0.25%)まで落ち込んでいます。保険会社としては保険料収入の運用難に直面した結果、

保険料を上げたり、貯蓄性の高い保険の販売停止をしたりと、対応をすすめてきました。

保険会社は儲かる生命保険を設計し、そういう商品のコミッション率を高くします。保険会社が儲かる商品とは保障性が高く見えて、かつ掛け捨ての生命保険です。

貯蓄性の高い保険は生命保険会社にすれば、運用難の時代に収益源としてはメインになりにくいという事情があります。もちろん生命保険会社の戦略ですから、すべての保険会社が同様の考え方であるとは申し上げていません。

保険会社はビジネスです。収益を上げる責任がありますから、より儲かる保険のコミッション率を高くします。保険会社が売らせたい生命保険が、保険営業の売りたい保険になる事情がそこにあります。販売を強化するキャンペーンなどが後押しする仕組みまであります。

◆保険営業が、売りたい保険の裏事情。

保険営業が形のないものを売るビジネスであることはご承知の通りです。保険営業にとってその保険期間の全期間にわたり責任を負うわけではありません。

突き詰めれば生命保険は保険会社と生命保険契約者との2者の契約です。その間に保険営業や代理店が入るわけではありません。それゆえ生命保険を販売する営業としては責任を感じる部分がある反面、仕事をやめてしまえばお終いという割り切りもあります。

保険営業にとり、自分の成績が評価される保険をおすすめするのは致し方ない面があります。

どうしても生活のため、保険営業には資格維持のため契約をとり続けなければならないという、逼迫した事情があります。これは保険業界共通の宿命でもあります。駆け出しの保険営業もベテラン優績者も特級代理店にいたるまで避けて通れない仕組みになっています。営業を成績に追い立てるような仕組みがないと、保険業界は成り立たないようなハードなビジネスの世界なのです。

アスリートの世界に似ていますが、記録を出したからといってそこに安住の地があるわけではなく、それ以上の次の目標が立ちはだかっているのです。アスリートには体力の衰えに従い引退という花道もありますが、保険営業には失職、転職そして生活苦しかありません。

過酷な保険営業の裏事情、そこに売りたい保険が生まれる余地があるのです。

◆ 掛け捨て保険、保険営業の裏事情、まとめ。

掛け捨て保険が悪いと申し上げている訳では決してありません。

むしろ、生命保険の基本は「掛け捨て」と言えるのではないかと思います。掛け捨ては、無駄のない保険料で、必要な保障を買っているということを理解すべきかと思います。

ただそれだけでは、生命保険の役割は果たせません。たとえ率が悪くても貯蓄性の代表格である養老保険や終身保険には、ライフプランや相続において十分な価値と存在意義があります。

保険営業には、生活をかけて保険を売るという事情があります。掛け捨て保険の販売を会社が強化しているならそれに従い、自分が有利になる保険をお客様に提案し、おすすめするのは仕方がないことだと思います。

ただ行き過ぎると、重大月などと意味不明の強化月間を設けて、躊躇する顧客に迫ります。「重大月ですから、何とか契約を!?」 これはやはり無理筋というものです。

保険営業のコツは、敢えてその事を言い出さないと取れない。

保険営業の生き残り、節税できない法人保険の方向性を模索。