自分でやる相続登記の抜け漏れ想定外。

自分でやる相続登記の抜け漏れ想定外、実体験!?

本日の日経新聞のマネーの学びで「親の自宅誰が継ぐ」という記事がありましたが、相続に関する不動産登記法や民法の改正案が2021年度には成立する可能性があり相続登記への関心が高まっています。

相続登記とは相続による不動産の所有権移転登記を指します。

相続発生時に不動産などの相続登記は、現在のところ義務ではないため、先送りや放置されることがあります。特に田舎の農地や山林、家屋敷は売買の予定がなければ、登録免許税などの費用がかかるだけで相続登記するメリットがありません。売却が困難な不動産は、固定資産税や管理費用などが永久的にかかるだけの負の遺産と言えるのではないかと思います。相続登記が進まない本質的な原因です。

このままでは所有者不明の不動産は放置得になりますから、相続登記が義務化されるのはやむを得ないとしても、せめて登記に要する費用は極力抑えたいというのが本音だと思います。

ネット上には情報があふれている時代です。簡単な相続登記なら専門家に依頼しなくても自分でできるということを試してみました。素人がネット検索の情報だけで完璧に準備したつもりでも、法務局の登記官には通じませんでした。ミスやモレ、不備のオンパレードになりました。それでも言われるように原戸籍をとり、提出書類を訂正しながら最後はどうにかクリアできました。会社勤めで平日に時間が取れない方では、相続登記をご自分で完結するのは相当骨が折れると思います。

残念ながらよほど相続不動産が少なくシンプルな家系でないと、素人に相続登記の完璧は期待できません。ですが、ここは素人と割り切って登記官がOKを出すまで何度でも訂正すれば、そのうち合格になります。

相続登記を自分でやると依頼する資格者などへの委任状が不要になり、間違いに迅速に対応できます。また司法書士などへの報酬も発生しません。戸籍謄本などの公的な書類をとる費用と登録免許税はかかりますが、結構なコスト削減になります。なにより世の中のルールや仕組みがわかりとても勉強になります。そうだったのか!?相続登記。やっと手順がわかっても、知識を生かす次の機会はほぼありませんが。

◆ 改製原戸籍、どこにも書いてないぞ、なんと三代前の原戸籍。

多くの相続登記の情報サイトには、必要書類として被相続人の戸籍謄本と住民票の除票としか書いてありません。ところが、必要となるのは改製原戸籍(原戸籍/はらこせき)で、それもなんと三代前の母屋の被相続人の曾祖父の原戸籍まで求められました。

本来被相続人に隠し子がいないか調べれば済むはずだとおもぅのですが、そこまでつながりを調べる理由がわかりません。戸籍は何度かの改正を経て今日の戸籍制度になっています。そのため戸籍の連続性が途切れています。コンピューター化される以前の手書きの戸籍謄本は、別に保管されており改製原戸籍をさかのぼらないとつながりがわからないようになっています。保険をやっていると原戸籍は時々登場するのですが、一般の方にすれば、原戸籍??普通は意味不明です。

■相続登記で原戸籍がいる理由がわからない。

どこまで調べるかは理解できましたが、もう一記事書ける奥深さですのでここでは触れません。でも本当に三代前の原戸籍までさかのぼりました。

生命保険時代にご高齢のお客様の委任を受けて、はるばる遠方の役場まで原戸籍を求めてさまよったことを思い出しました。それまでは原戸籍(はらこせき)というものの存在も、その読み方も知りませんでした。

■生命保険営業 | 原戸籍を求めて。

◆ コロナ対応窓口の相続登記、受渡しだけ簡略化。

法務局の登記申請の窓口は、その場で相談をできるようなところではありません。コロナ禍のせいもあるのでしょうが、単に書類の受け渡しだけの窓口のようです。窓口の受付の方は、すこぶる不愛想、民間企業では3日で馘になりそうな人です。コロナ感染予防で分厚いアクリルのボード越しにお互いマスクをはめたまましゃべりますから、言っていることがよくわかりません。よほど自分でしっかり調べて準備していかないと書類の不備で門前払いになりそうです。たぶん日ごろは司法書士などの専門家が書類を提出するので、素人向けの窓口対応ができていないのですね。

■相続登記はどこで?登記簿は全国、登記申請は地元の法務局。

◆ 事前相談は電話のみ、何を聞けば??そもそも不明。

コロナ禍の中、今や事前相談は窓口ではありません。電話予約ですから、出向いて行って窓口かと思っていたのですが、平日の時間指定の電話予約で電話相談となります。結局、電話相談のために有休をとって電話を待つ羽目になりました。こんなご時世ですから仕方がないですが、相続登記に関してろくに概要がわかっていないと何を質問すればよいかすらわかりません。

法務局の相談窓口の方は、相手の無知を予想して法務局の登記説明があるホームページへ誘導しようとされました。最低限、ここはしっかり読み込んで不明点を質問する程度でないとついていけないと思います。そもそも出てくる単語の意味が分からないのですから苦労します。

■法務局 不動産登記申請手続>不動産の所有者が亡くなった

◆ 固定資産税評価証明書と登記簿の不一致、登記簿優先。

困ったことがありました。よくあることのようですが、登記申請書を書く元の資料が固定資産税評価証明書ですが、別に確認のため取っている登記簿(不動産の全部事項証明書)とは微妙に一致しないことがあります。登記申請書に記載する不動産の明細は固定資産評価証明書によるか、あるいは登記簿の記載事項を優先すべきか迷ってしまいます。

特に不動産の内でも、建物に登記簿との不一致が見られます。建物は後で追加で建てたり、改修したりしたときに登記されないとおこるそうです。それで固定資産税評価証明書に従って登記申請書を作成したところ、窓口では登記簿で作成するように言われてしまいました。実は用心のため登記申請書を固定資産税評価証明書パターンと登記簿パターンの2種類作成していたので、差し替えるだけで提出できました。

◆ 遺産分割協議書、急所の書き方。

相続登記をしていないレベルのご家庭では遺産分割協議書も遺言書もないと思います。相続登記には遺産分割協議書が必要になります。遺産分割協議書に書かれていることと登記申請書の内容に食い違いがあっては認めてもらえません。本来なら相続すべき不動産の明細を正確に記載するのですが、相続登記だけを目的とした遺産分割協議書であれば「相続財産のうち不動産一切は、○○○○が相続する。」としてしまうと明細は不要です。法務局の事前相談で指導いただきました。これで間違いが少なくなりシンプルです。要は条件がきちんと指定されていればよいわけですね。

◆ 収入印紙の貼り方、コピー、郵送、電話指示。

相続する不動産が多くなると登録免許税も多額になります。収入印紙の枚数が多くなり、事前に空けておいたスペースでは、貼り付ける場所に困ることになります。でも登記の窓口に言えば収入印紙貼り付け用の紙をくれますからA4一杯に収入印紙を貼り、登記申請書にホッチキス止めして、申請書に押した印鑑で割り印をしておけばOKでした。会社の契約書などと違って、収入印紙に消印は不要です。

後で知ったことですが、登録免許税は現金納付が原則だそうです。3万円までは収入印紙でよいそうですが、それ以上は銀行で納付してから領収書を貼り付けて提出するそうです。でも実際は法務局の中に収入印紙売り場があり3万円以上でも収入印紙を購入して貼り付ければ特に問題はありませんでした。

それより、自分の登録免許税の計算が合っているかどうか自信がないのに先に収入印紙を貼って登記申請書を提出させるのはいかがなものかと思います。払いすぎていても貼り付けた収入印紙は現金に戻りませんから。

提出した関係資料(戸籍謄本・住民票・遺産分割協議書・相関関係図etc.)はコピーを取りホッチキス止めして割り印をし、原本と相違ありませんと書いて捺印しておけば、原本は返してくれます。提出前にコピーをとっておけば別に原本を返してもらう必要のない方は、そのままでも特に困ることはありません。

提出した登記申請書関係の書類は複数の登記官が内容の確認を行い、問題があれば電話がかかってきます。足りない書類や訂正があれば説明されますので、準備をして再度法務局に行くと登記官が必要書類の確認と訂正が必要な個所を指示してくれます。一通りの修正が終わればまた登記官が確認し、問題がなければ電話で知らせてくれますので郵送か、引き取りを決めます。シールで番号を隠した登記識別情報のシートを登記完了の証拠として受け取ります。

登記申請書を提出するときは免許証などの本人確認書類は求められませんでしたが、登記識別情報を受取るときは、本人確認書類は必要になるそうです。

必要であれば登記完了後の登記簿(不動産の全部事項証明書)を請求して間違いなく登記されているか確認することができます。筆数が多いと登記簿の取得も結構お金がかかります。

◆ 住所は戸籍より住民票に統一。

住民票の住所と戸籍謄本の住所が一致していないと遺産分割協議書も含めて2種類の住所があることになりますので、提出する書類の住所は住民票に記載された住所に統一する必要があります。

細かいことですが、登記でこういう部分は妥協がありません。

住所の書き方も手を抜かず、住民票に記載されたとおりに正確に書かなくてはなりません。ついつい日常的に書いている住所を書いてしまいますが、こういうところは厳密です。遺産分割協に捨印を押しておけば、住所を訂正するとき便利です。

◆ 登記申請書は認印、訂正も認印。

遺産分割協議書は実印ですが、登記申請書は相続人の認印でかまいません。実印は不要です。もちろん訂正がある場合も、ページ間の割り印も同じ認印で問題ありません。固いようで固くない変な法務局です。もちろん実印でもかまいませんが、認印でよいところに実印は押さない方がよいと思います。

◆ 付属屋の詳細は不要、付1と記載。

不動産の記載に関して指導がありました。建物の場合、付属屋なるものがついている場合がありますが、付属屋は「付1」として不動産番号を書いておけばよいそうです。そんなことはさすがに検索しても出てきません。登記に関係ないことだそうで、登記官が赤のボールペンで勝手に直していました。関係ない項目は訂正しても訂正印はいらないそうです。どうもしっくりこない話です。

◆ 自分でやる相続登記の抜け漏れ想定外まとめ。

基本的な相続登記の知識や手順は法務局のサイト以外にも詳しいところは山の様にありますのでそちらをご参照ください。ここでは、実際に司法書士に一切頼らずネット情報と事前相談だけで、自力で相続登記を完了した記録です。

相続登記のため有給を3日消化しました。最初は固定資産税納税通知書を頼りに法務局で登記簿と公図をとり現地を確認しました。

やっぱり実際に現地を自分の目で見ておかないと不安が残るものです。山林や原野になっている土地はさすがにどうしようもありませんでしたが、足で歩くと現況には数々の新事実も出てきました。

相続登記を素人が行うと必ずと言ってよいほど抜けや漏れが出てきます。エッ!?と思うような想定外の資料を求められたりします。登記という仕事は間違いが許されませんから、登記官も複数でチェックしてから承認を出すそうです。そういう仕組みがあるから、社会の公平性が保たれているとも言えます。

いずれ相続登記は義務化され、罰則が規定されるかもしれません。10年以内に遺産分割を決めて相続しないと法定割合で相続したことになり責任が分散することにもなるそうです。どうなるかはまだわかりませんが、登録免許税が有利な期間に相続登記を完了されるのがよろしいようです。

自分で相続登記を行った実感から言えば、金銭的な余裕があるなら司法書士に任せてしまうというのも十分ありうる選択肢だと思いました。特に家系が複雑な場合や親族が疎遠な場合は第三者に事務処理を委託する方がスムーズに進むと思います。

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